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2021年注目の音楽傾向(2)ネオ・ハートランド(アメリカン)ロック、台頭か?

どうも。

では、昨日の続き、行きましょう。2021年の気になった音楽傾向。

今日のお題はこちらです!

ネオ・ハートランド・ロック

・・・といっても、ピンとこない人の方がほとんどだと思います(笑)。

「そもそもハートランド・ロックってなんだよ」。そう思う人もいるかと思いますが、こんな感じです。

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ブルース・スプリングスティーン、ジョン・メレンキャンプ、ボブ・シーガー、トム・ペティ・・・。「ん?それってアメリカン・ロックっていうんじゃないの?」。そう思う人が多いかと思います。そもそも、「アメリカン・ロック」なんていってもアメリカの人、通じません。これ、現地だと「ハートランド・ロック」と呼ばれていたものです。

「日本だと売り出しにくかったもの」。そういう風に思う人もいらっしゃるかもしれませんが、洋楽だとそうかもしれませんが、実は邦楽だと佐野元春とか尾崎豊、浜田省吾といった人たちの音楽要素になっていたから影響はあったんですよね。

ただ90sのオルタナティヴ・ロック台頭以降はあんまり目立たなくなっていました。絶滅したジャンルと思っていた人もいたかもしれません。どうなっていたか。それは後でまとめて話すけど、

2021年に新しいアーティストで再浮上の兆しがある!

そう思ったので、特集した次第です。

まず、これから行きましょうか。

ウォー・オン・ドラッグスのこの「I Don't Live Here Anymore」。これがタイトルのアルバム、僕も年間ベストの15位に入れましたけど、この人たち、これがこういう路線のはじめでもなんでもなくて

2015年に出てきたときは、このまんま、ロキシー・ミュージックの「夜に抱かれて」をボブ・ディランが歌ったみたいな感じで出てきて話題になりました。

彼らは出てきたときからディランとかスプリングスティーン感じさせる音楽性だったんですけど、同時にエイティーズっぽくもあったから、なんかダイア・ストレイツみたいに僕には聞こえてましたね。で、僕、リアルタイムでこのテの音楽が人気あったときと全くなくなったの両方知ってるから、なんか聴いててちょっと照れくさくなる瞬間も正直彼らに関してはあったんですよね。ただ、今作で「なつかしい」よりはもう少し先進的なエッジのある方向に進んだので、やっとしっくりくる感じになりました。まあ、上の新曲のイントロ、ジャーニーみたいなんですけど(笑)、それでもシンセの使い方がかなり有効的に上手くなったと思います。

それと時を同じくして

ザ・キラーズが新作「Pressure Machine」を出しまして、これがまた、かなりコッテコテのハートランド・ロックになってました。

キラーズといえば、一般イメージとしてはシンセがきらびやかな80sリバイバルのイメージがあると思うんですが、この曲をはじめ、アルバム、かなり土っぽいんですよ。この曲なんてサビでハーモニカまで吹いててね。

ただ、彼らの場合もその傾向は昔からありまして

2006年のセカンド・あるばむ「Sam's Town」からすでにスプリングスティーンへの愛は音楽で表現してまして。

それが今年になって

とうとう御大スプリングスティーンに自分たちの歌でデュエットしてもらうところまでこぎつけました。

このキラーズのアルバムも僕の今年の年間ベストで13位。一般的な評判も彼らの中でも屈指でよかったように思います。

そのキラーズとウォー・オン・ドラッグスがですね、今年のアルバムで共同プロデューサーが同じだったんですよね。

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それがこのショーン・エヴェレットという人です。彼、これまでアラバマ・シェイクス、ビッグシーフ、HAIMなどの仕事をしてきたんですけど、主にエンジニアだったんですね。このタイミングで本格的にプロデューサーとして注目されはじめてますけど、これから売れっ子になる気がしています。

そんなふた組が出た年に、なんと後輩格のアーティストが

この曲調で全英シングル・トップ10を出しました!


それがサム・フェンダー。まだ20代半ばくらいのイギリス人ですけど、かねてからスプリングスティーン好きを公言しています。ただ、彼がそれを表現しようとすると、どうしてもキラーズそっくりになる(笑)。ただ、キラーズというのは7枚も全英アルバム1位にしてるような大物ですから、それがゆえにイギリスでは効果的なんですよね。アルバム出て3カ月目ですけど、この曲がシングル・ヒットしたので、早くもロングヒットを記録しそうな勢いです。

 しかしまあ〜

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今のこのタイミングでスプリングスティーン・フォロワーがここまで立てt付けに目立ってくるとは!

彼自身も2020年の秋に「A Letter To You」という素晴らしいアルバム出しましたけどね。彼の場合、2002年の「The Rising」と言うアルバムで復活してずっとよく、その都度でフォロワーやリスペクトするアーティストもいたんですけど、それがまとまって出てきたのが2021年だったというのは面白い現象だったと思います。

あと、スプリングスティーン・フォロワーでいうと、これだけじゃないんですよ。

アルバムじゃなくシングルだけでしたけど、シャロン・ヴァン・エッテンとエンジェル・オルセンのこの共演曲「Like I Used To」は、スプリングスティーンの中でもとりわけフィル・スペクター要素を濃くしたすごくいい曲でしたね。

スプリングスティーンだけがハートランドじゃありません。このほかにも

ルーシー・デイカスにも、ハートランド要素、強めですね。彼女はフィービー・ブリッジャーズ、ジュリアン・ベイカーとのボーイジーニアスのうちのひとりとして有名ですけど、彼女はこの中でニール・ヤング色が強い人です。

このブランディ・カーライルも分類上はカントリーですけど、その中できわめてブルーズ・ロック寄りのプロデューサー、デイヴ・カッブが絡んでるのでハートランド・ロック的に聞こえる瞬間、ありますね。

 こんな感じで、土くさい感じのロックがこんなにウケたのって一体何年ぶり?って感じのシーンになってましたね。

では、なんでハートランド・ロックが80年代以来、復活しつつあるのか。その間はどうだったのか、そのことについて語っていきましょう。

①90sはカントリーに吸収されていた

ひとつはやはりこれがあるでしょうね。いわゆるウィルコとかライアン・アダムスみたいなオルタナ・カントリーだけでなく、普通のカントリー・ミュージックもロックっぽいアレンジが主流になって。だとしたら、ハートランド・ロックってアレンジ的に手っ取り早かったというか。

 ただ、こうなってしまうと、結構マニアの領域で一般まで手が届きにくいものにもなっていて。そこで乖離がまずできたことはあげられます。

②オルタナ、インディ・ロックにもハートランド要素はあったが真正面からの言及が避けられた

あと、オルタナティヴ・ロックでもインディ・ロックでも、ハートランドっぽいものなら実はあったんですよね。パールジャムなんてグランジの中では一番スプリングスティーンに音も熱い姿勢もそっくりだし、キングス・オブ・レオンなんかも言うまでもないですよね。

ただ、、やっぱり90s、00sの段階で、「昔のオヤジ連中が聞いてた音楽」と、やっぱり「70s、80sの、印象がクールじゃない過去のロック」な印象がなんとなくあって使いづらかったんでしょうね。

 キラーズがこのときすでにスプリングスティーン要素出してきてましたけど、あの頃はまだどっちかというと「意外な組あわせ」の印象で、そこまで音楽的に真剣にとらえられてなかった気がしますね。

③実は2010s前後にリバイバルしかけている

実は00sの後半から10s前半にかけて、「ハートランド復活か」の雰囲気あったんですよ。ガスライト・アンセムとかホールド・ステディとか、もう直球でスプリングスティーンの影響を受けたパンクバンドが出てきて。結構期待されたんですよね。ただ、そんなに大きく爆発しなかったので、やや忘れられてる感じですね。

④インディでフォーク、ルーツ志向の音楽が10年代に浸透した

ただ、アメリカのインディ・ロックでフォークやルーツ志向の音楽がはやりはじめていた土壌はありましたよね。Bon Iverとかフリート・フォクシーズ、ザ・ナショナルあたりの。

 あと、女性シンガーソングライターにとりわけフォーク志向の人が多く出てきましたよね。さっきのエンジェル・オルセンもそうだし、ビッグ・シーフ、フィービー・ブリッジャーズ、ワクサハッチー。

 こうしたものがインディで熱くなり始めていた矢先にテイラー・スウィフトがインディ・フォーク・アルバムの「Folklore」「Evermore」のヒットを出して、こういう音がそろそろメインストリームに近づいていた。今年のこの一連の流れがすべてテイラーの「Folklore」以降の流れなのも気になります。

 この流れ、なんか続きそうな気がするんですよね。さっきのサム・フェンダーがいい例なんですけど、シングル・ヒットがたまに単発で出るような感じになりそうな気がしています。

 












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