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ドラマ「It's A Sin 哀しみの天使たち」 ゲイ・カルチャー、AIDS、ポップ・ミュージック。80sイギリスが凝縮された、知るべきドラマ

どうも。

実は見溜めした作品があるので、ここ数日くらいで出していきたいと思ってます。

今日はドラマで、これを紹介しましょう。

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この「It's A Sin」というイギリスのドラマです。今年の前半にイギリスではBBCのチャンネル4で放送されまして、そのときからすごく話題になっていたのですごく見たかったドラマです。

 これがちょうど、6月末にブラジルでHBO Maxがはじまったタイミングで配信されていたので「これは見なくては!」と思って見始めたら、あっと言う間に見終わりました。

 そうしたらこれ、日本でも「It's A Sin 哀しみの天使たち」のタイトルで8月から日本でもスターチャンネルで放送されるようですね。

 なので、この場を借りて、ぜひ紹介したいと思います。

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話は1981年、主人公リッチー(オリー・アレクサンダー)がロンドンに上京して大学生活をはじめるところからはじまります。

 厳格な家庭に育ったリッチーは俳優志望でしたが親にそれが言えずに法学部に入学。しかし、それ以上に言えない秘密が彼にはありました。

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大学のキャンパスで偶然にインド系の美青年アッシュに見とれていると

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そこを演劇科の学生のジルに見透かされ、「紹介するね」と、リッチーは仲を取り持たれます。

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ジルはゲイたちの周りにいることが心から好きで、リッチーとの間にも強い友情が生まれます。

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やがて2人はステージでも活動するようにもなります。リッチーにとってジルの存在は、自分の本当のセクシャリティを隠すのに都合のいい存在で、ジルの方もあくまで友情として楽しんでいました。

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リッチーとジルはやがてフラットで、仲間のゲイたちと共同生活をするようになります。ひとりはナイジェリア系のロスコー。ゲイをひどく嫌悪するアフリカ系の家庭の中でロスコーは忌み嫌われ、そこから逃げるように生活しています。

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そして、若きセールスマン、コリンが加わります。彼は就職先の社長にも狙われたりもするのですが

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すぐに恋人のヘンリー・コルトレーン(ニール・パトリック・ハリス)を見つけて、深い仲になるのですが

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そのヘンリーが、当時としては謎の奇病にかかってしまいます。そして、この病こそが、青春を謳歌するリッチーたちに暗い影を投げかけはじめ・・・。

・・・といった内容です。

これですけどね。いやあ、思うところはいっぱいありますよ。

だって

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80年代のイギリスのポップ・ミュージックといったら、もうゲイ・カルチャー真っ盛りでしたからね。「シンセポップのデュオ」なんて言ったら真っ先にゲイであることを疑ってしまうような、そんな時代ですよ。ここまであからさまにゲイということを売り文句にしてアーティストが次々と台頭したことって、このときが間違いなくはじめてだったし、そのあともここまでの強いインパクトを持った時期、なかったと思います。

 加えて、80年代、イギリス、ゲイ、エイズといったら

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やはりクイーンのフレディ・マーキュリーがいるわけですからね。フレディ自身も80sに入ってゲイ・ライフを謳歌する声が聞かれはじめて、87年にエイズに陽性反応を示して、91年に他界しています。

 そして、このドラマのタイトルそのものも

このペットショップ・ボーイズの1987年の大ヒット曲「It's A Sin」にひっかけているわけですからね。これ、邦題が「哀しみの天使」。ドラマの日本題ももちろんそれに引っ掛けているわけです。

 というわけで、エイティーズの、とりわけイギリスのポップ・カルチャーに影響を受けた人なら、これ、みな必見のドラマなのです!あのとき、なんとなく情報としてかじっていたゲイ・カルチャー。この実態がどういうものだったか。それを、まさに上にあげたようなアーティストたちの曲が頻繁にかかりながら描かれるので、それだけでも楽しめますよ。

 加えてこれ、

エイズのタイムラインとして非常に正確!

これ、5回放送なんですけど、エピソードの区切りが絶妙なんですよ。エイズが一番最初に見つかった1981年を1回目に、話題になり始めた1983年。僕もこれ、「トゥナイト」っていう、テレ朝の深夜番組でまさにこの年に知ったんですけどね。3回目が1986年。この年にエイズ、急増して社会問題になってます。4回目が1988年。そしてラストが1991年。ここまでの説明で、「あれ、その年ってもしかして」と思ったあなたは正解です。

 この10年かけたロンドンでのエイズをめぐるドラマを

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このオリー・アレクサンダーが絶妙に演じます。

彼なんですけど

エレクトロ・ポップ・ユニット、イヤーズ&イヤーズのシンガーとして、そっちですでに成功してた人です。ということで、「あのオリーが」と思って見る人も多いでしょう。

オリーは今年のブリット・アワードで、エルトン・ジョン御大と、まさにこの「It's A Sin」をデュエットしたことでも話題を呼んでいました。

 あと、僕が推したいポイントとしては

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このジル役のリディア・ウェストって女優さんがすごくいいんですよ。ゲイたちと、彼らに対して無理解な、今なんかよりもずっとずっと保守的だった時代のあいだに立って、献身的にゲイたちに尽くす健気な姿。これがかなり胸を打ちます。

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あと、短い出演時間ではありますが、アメリカから「ドギー・ハウザー」「ママと恋に落ちるまで」で有名な、ゲイ・カミングアウトしたことでも知られるニール・パトリック・ハリスが協力していることも見逃せません。

・・という感じです。

放送まであと1ヶ月強ありますが、興味を持たれた方はぜひ見ていただきたいです。


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