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映画「アイリッシュマン」感想 スコセッシがサブスク時代に投げかけた、アメリカン・ニューシネマ最後の(意外なまでにポップな)傑作!

どうも。

年間ベストアルバムを先にするか、2010年代ベストを先にするか、迷ってるんですが、それより先に映画レヴューが数本いきます。まずはコレです!

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来週の金曜、11/29からネットフリックスで配信の始まるマーティン・スコセッシの新作「アイリッシュマン」。これですね先週の金曜、幸運にも映画館の限定公開でみることに成功しました!もう、はじまる前から、かなりの評判の作品なんですが、どんな映画なのでしょうか。

早速あらすじから見てみましょう。

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話は本作の主人公、フランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)が自身の人生を振り返るところから始まります。アイルランド移民としてフィラデルフィアで育ったフランクは第二次大戦の軍人で、終戦後、地元のギャングに肉を得るビジネスをやってましたが、ある時に窃盗がバレて裁判になります。ただ、ついた弁護士は彼にとってはラッキーな人物で、その弁護士を介して、ペンシルヴァニア州一のギャング、”ラス”ことラッセル・ブファリーノ(ジョー・ペシ)を紹介されます。

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フランクは、ラスとは一生ものの付き合いとなりますが、彼の元で様々な仕事をこなします。いうまでもなく、それには殺人も含まれます。

フランクの家には4人の娘がいましたが、その中のペギーは昔からパパのことを、得体の知れない強い人物のように感じて生きてきました。

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フランクのヒットマンとしての腕の高さは裏社会では有名となり、やがてフィラデルフィアのボス、アンジェロ・ブルーノ(ハーヴェイ・カイテル)、さらにはアメリカの労働組合の裏の大物ジミー・ホッファ(アル・パチーノ)の耳に届くようになります。

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1960年代前半、ホッファは組合のライバル、トニー・プロとの抗争や、若き捜査官で、かのジョンFケネディの弟、ロバート・ケネディ司法長官の厳しいマフィア撲滅運動に苦しみますが、そこをフランクは助け、悪事の数々を重ねます。豪放磊落なホッファは、大人社会を怖がっていたペギーにとっても”いいオジサン”でした。

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そして1964年、ホッファが逮捕されてムショ入りしている間にフランクは裏の社会で大活躍し・・・。

・・と、ここまでにしておきましょう。

これはですね、まず何がすごいかというと

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マーティン・スコセッシの映画に、ロバート・デニーロ、ハーヴィー・カイテル、ジョー・ペシの黄金の3人が久々に顔を揃えました!ジョー・ペシなんて引退状態にあったのに、これのために復帰しました。そこに加え、なんと、名優アル・パチーノが、スコセッシ映画初登場ですよ!しかも

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ゴッドファーザーII」(1974)、「HEAT」(1995)に次ぐ、20数年に一度のデニーロ、パシーノ・コンビが見れた、というわけです。まあ、「ゴッドファーザーII」は一緒に出てる時間はないので、顔を揃えたという意味では「HEAT」以来かな。それでもすごいことですけどね。

古くからの映画ファンなら、「もう、これだけで十分オッケー!」となるはずですが、この映画、

この大物たちに名前負けしないどころか、それ以上の内容なんです!

もう、そう聞いたら、「見るしかない!」ってなりません?本当にその価値、ありますよ。

この映画、何がいいって、普通、「上にあげた名前の人たちが出る」って聞いたら、普通、かなり重厚そうな血なまぐさいドラマを想像するじゃないですか。まあ、「血なまぐさい」は当たり前なんですが(笑)、これ

想像以上に、かなり見せ方、ポップなんですよ!

従来のマフィア映画、そしてスコセッシ映画に見られがちだった重々しさ。それがこの映画には無縁です。笑えるシーンがかなり多く、テンポ感もすごくいいんです。

それを支えるのは

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やっぱ、この2人なんですよね。今回、パチーノがかなり笑えます(笑)。パチーノといえば、やっぱりあのダミ声なんですけど、あれが最高に生きた。天真爛漫なガハハ笑いの、いい意味”困ったヤツ”なんですよね。彼の演技が、他の人の演技をかなり食うくらいのかなりの存在感があります。その横で、”手下”を、、日常の世界ではあたかも何事もなかったかのように飄々と演技するデニーロが、通常よりもむしろ抑えめな演技。老け役増えてから、この人の場合、そういうタイプの演技の方が増えてはいるんですけど、その路線のデニーロの中では、今回のがベストじゃないかな。このコンビのケミストリーがかなり光ってます。

そしてこれ、

上映時間が3時間20分もある映画なのに、全く疲れない!

ここも特筆すべきことですね。僕、これ、当初、「スコセッシの映画なのに、疲れて寝落ちとかしたらどうしよう」とか心配してたんですけど、それどころか「腕時計さえ1回も見ることなく、最後まで映画に集中できた」作品にしっかりとなりましたよ!

それもこれも

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今のスコセッシのなせる技です!

これ、今回思うにですね、ネットフリックスで公開したの、これ、あえてだと思いましたね。僕が思うにですね、今回の映画、これ

スコセッシからの、サブスクやHBOに対する回答だと思います!

これ、長い時間なのに全然見飽きない理由は、

これが連続ドラマを立て続けに見るような作りになっているから。

いわゆる”ビンジ・ウォッチング”ってヤツですね。。ドラマのエピソードを何話も続けて見るときのような。これ、その感覚で見ると、本当に見飽きないんです。本当に「45分で1回切っていいように作ってあるんじゃないか」とみて思ったくらいですから。

これは思うにスコセッシ、最近、HBOとかネットフリックスのドラマの内容が映画を凌駕さえしていることに、映画界から彼なりの答えを出したんじゃないかと思ってます。だいたいスコセッシ自身、

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この10年、HBOで「ボードウォーク・エンパイア」と「ヴァイナル」の2つのドラマのプロデュースやってましたからね。そこで覚えた最近のテレビの手法を今回の映画にフィードバックさせたんじゃないかな、と思ってます。だから「連ドラ感覚でネトフリで見てもいいよ」ということなんじゃないかと。実際、それで見ても楽しいはずだし、映画館のスクリーンで見たらもっと楽しいよ、という感じで。こう言うところに目配りと時代の先読みを見せる点で、70代を迎えてもスコセッシ、やっぱり冴えてるなと思います。先日、「マーヴェルなんてテーマパーク映画」といって物議を醸しましたが、こう言う作品で答え出されちゃったら、うかつに反論もできないというものです。

あと、話自体がポップで軽いには

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「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」で味をしめたかな、とも思いましたけどね。

あと、今回のような作品を作るにあたって

よく、こんないい題材、残ってたな

とも思いましたね。

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このフランク・シーランは実在の人物なんですけど、政界の裏にこんな、何10、何100と人殺してるような人が、よく数10年も逮捕もされずに存在する、そんなアメリカって国は怖いな、という、「裏社会の都市伝説」を見るような、そんな感覚ですね。それから

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ジミー・ホッファが映画化されるのは今回が2回目で1992年にはジャック・ニコルソンが演じてるんですよね。これ、僕、覚えてて、「へえ、またやるんだ」と思ったんですけど、ニコルソン、もちろん桁外れの役者ではあるんですけど、スコセッシの作品のパワーもあってか、今回のパチーノの方がはるかに印象に残りますね。

これ、評判もすごく良く、もっぱら今年のオスカーの最有力候補にも挙げられているんですが、候補作全部見ないとなんとも言えないのは承知の上ですけど、これ

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今年はこれとワンハリが争うので、いいんじゃないかな・・・

だって、映画史に残る名匠が揃って、キャリアを代表するような名作を同時に出す年なんて珍しいですよ。その点は是非とも考慮すべきだと僕は思うんですけどね。


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