多く人の人生の一部を42年も占め続けるシリーズというのは、ものすごいことだと思う。
どうも。
いやあ、とうとう、終わったんですよね。
この
9章からなる「スター・ウォーズ」サーガ。1977年から足掛け42年で、ついに終わりました。
いやあ、これはすごいことですよ。だって、これ、冷静に考えて、たとえば僕だったらはじまったの、これ7歳、小学校2年生のときですよ。そのシリーズが終わったのが49歳のとき。人の人生において、そんなにも長い間、「ああ、大好きだなあ、この映画」「早く次が見たいんだけど、次はいつになるのかな」などとそんなにも長く思わせることって、なかなかないというか。言いかえれば、そんなにも長きに渡って、世界中の非常に多くの人を童心に帰らせることができるというか。そういうパワーというのは、尋常なものではないと思うんですよね。
なぜ、そのようなことを言うのかというと、
実は僕が、その「世代特権」を人生でみすみす逃していたからです。
もう、僕なんて、タイミングで言えば、こんな「一生に一回あるかないか」くらいの、42年体験、ど真ん中で体験できたはずだったんですよ。それが、長きに渡って入りそこねたことから、かなり長い間、フイにしてきたんですよねえ。
「スター・ウォーズ」、42年前にはじまったときから、すでにかなりビッグでしたよ。僕が定期購読していた子供向け雑誌でも、特集、毎号のように組まれてましたからね。子供向けなので、特にロボット勢が多く取り上げられていましたね。あのジョン・ウイリアムズの音楽も、いたるところで耳にしたしね。
あの当時、このディスコ・ヴァージョンも全米シングル・チャートでも1位になって、日本でもよくかかってました。
あのときに見に行けば良かったんですけどねえ。ひとつ、恨めしかったのは、この当時の僕の両親ですね。その当時にまだ一緒に住んでいた生みの父親は「宇宙戦艦ヤマト」とかは映画館に連れて見に行ってくれたんですけど、「スター・ウォーズ」という選択肢はなかった。しかも、上映途中で映画館入るという変な癖のあった人だったので、映画、好きになれなかったんですよ(苦笑)。で、母親が映画にゼロ興味な人で。あまりものを人のせいにはしたくないんですけど、さすがに小学生くらいだと、「自分の意思による決定」というのは難しいものです。環境、すごく大事です。あとは友達付き合いかなあ。今、思い返しても、あの当時、「友達同士でスター・ウォーズ、見に行こう」なんてことが友達の間で流行らなかったんですよね。僕らでそれ、やったのが「エレファントマン」で、映画の内容があんなにシリアスだったにもかかわらず、子供向けホラーだと勘違いしていた僕らは帰路のときに無言になった、というかわいい小6のときの思い出はありますけど(笑)、「帝国の逆襲」をそのノリで見れてたかもしれないのに。まあ、あの当時、僕の住んでた北九州八幡東区に映画館なかったし、「小倉行くのに路面電車で30分」というのは子供にとっては冒険行為でしたからね。
なので、小学生、もしくは幼児の子供をお持ちの皆さんで洋画好きの方、これをお読みでしたら
子供の間でトレンドになっているものは最大限見せてあげてください!
だって、こんなふうに、42年も人のハートの一部になる体験になりうるようなものが含まれている可能性もあるわけですよ。それをライト・タイミングでその波に乗れたら、一生モノで大事にするじゃないですか。今だったらたとえばそれが、マーヴェルでも、ピクサーでも、ディズニー・アニメでもいいですよ。幼いときに見て、感動して、彼、彼女なりのまだ決して多くはない記憶の中にいい思い出として残ったものを育めば、それは将来的になにかにつながるし、それが最大規模の場合は、42年も大事にできるシリーズにつながるわけですからね。
僕自身の責任で言えば、中2のとき、当時大学生だったうちの姉が大阪で「ジェダイの復讐」のオールナイト上映見て、異常に興奮していたことがあったんですよ。あのときに見に行けばよかったんですけどねえ。ただ、この時期が、前にも言ったように両親の離婚体験したこともあって、趣味がすごくドラマ的なものを好んで見るようになってた時期でもあったんですよね。必要以上に大人びた感性になってたときで、その状態がしかも僕の場合、割と長く続いたものですからね。子供の時分に、「子供に相応なもの」見るって、すごく大事だし、そうすれば、映画見る幅、確実に広がったはずなのに。
そういうこともあって、僕の場合、音楽の趣味は、かなり早くから無邪気に音楽聞いてたこともあって、いまだにポップなものに対して柔軟に対応できる方だと思ってるんですけど、映画の趣味がねえ、この部分は自分でもあんまり好きじゃないんですけど、どうしてもアクションとかSFものとか、長いこと苦手にしててね。いまだに、理由がないと見ないジャンルになってて。コメディは幼いときから大好きで、いまだにナンバーワンに好きなジャンルなんですけど、そのほかのエンタメっぽい映画が本能的に童心に帰って見れるような感性をいまだに持ちえないのは、自分でもすごく悔しいんですよ、これが(苦笑)。
その影響もあったので、次のセカンド・ウェイヴ、エピソード1から3のとき、30歳になる直前くらいだったかな。このときは、映画はかなり見るようになってたんですけど、「自分の見るジャンルじゃない」と思い込んでてね。音楽での趣味がかなりインディ寄りになってたこともあったとは思うんですけど、それっぽい映画の趣味にもなってて。で、評判も一般的に良くなかったじゃないですか。そういうこともあって、このときは見なかったんですね。
それが変わったのは、30代の後半でしたね。ひとつは映画が広いレンジで大好きな今のワイフと出会ったこと。あと、もうひとつが、国際的な映画批評のあり方というのをちゃんと知ったことでしたね。ここでだいぶ開けて、いろんな感じのものが見れるようになったて、実はこのときに、「スター・ウォーズ」も後追いで見てます(苦笑)。1977年のエピソード4だけは大学生のときにビデオ借りて見てたんですけど、あとはこのときに見ましたね。
・・・ということがあって、エピソード7から、やっと間に合ったわけです(苦笑)。この頃には僕も子持ちになっていて、上のトムは7のときに3歳ながら「連れてってよお」とせがまれ8、そして9で間に合うことになったりもしました。
これもですね、よく実現したもんだと思いますね。だって、元のクリエイターのジョージ・ルーカスが頓挫して、しかも主演の役者3人のうち2人が、とっくの昔に「過去の人」になってる状態だったのに。あきらめかけた9章サーガがよく完成したものだと思います。
僕自身がそういう「ああ、子供時代、青春時代の貴重な思い出になりそうだったもの」を逃した悔恨の気持が強いせいもあってか、復活したこのシリーズのこと、悪く言えないんですよ。さらに言えば、エピソード8の、長年のファンからの不満というのもわかるし、「長年見てきた思いから言ってることだし、この点でも遅れて入った僕には議論に加わる余地はない」とも思ってます。
ということもあり、エピソード9,僕は寛容です。あれで良かったと思ってるし、長年のファンの方が願ってきた「ファミリー・サーガ」として終わってよかったんじゃないかと。それを揺り戻すために、エピソード7、もしくは8から参加したキャラクターの影が一気に薄くなって、そこからの流れに一貫性がなくなってしまったことは否めないですけどね。そこは最初から、3作分をしっかりJJエイブラムスに任せなかったディズニーに責任があるかなとも思うんですけど、ただ、ディズニーが手を上げてなかったら、9章サーガ自体が出来上がっていたかどうかが微妙だったわけで、それも痛し痒しなとこかなと。
ただ、もう、「42年もかけて続くストーリー」なるものが今後うまれるかどうかなんて、もう、わかんないじゃないですか。そういうものをフルで体験できた方は心底羨ましいし、「ずっと見守ってきたんだ」という、その方たちが今感じているであろう、ある種の達成感は心から祝福したいと思ってます。
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