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「アメリカの原爆投下」に疑問を抱く人であればあるほど「オッペンハイマー」は見るべきだし、公開もされるべき

どうも。

今日は8月6日ですね。そう聞くと時節柄、話すトピックもそれに合わせたものを考えてしまいがちです。

先日

先日のバーベンハイマー騒動、これが日本の人たちの抗議をアメリカ人たちにぶつけても空回りしてしまった、それがなぜなのか。そのことについて書きました。思った以上に反響があり、嬉しいことに大半の方に冷静に読んでいただけてすごく感謝しています。

 あの戦争を始まりから全体で見て、さらに「日本対アメリカ」の図式からもっと俯瞰して国際的な視点で見ないと、日本人がいくら原爆の被害に怒ったところで冷静な対話を求めていかないと「ナチス擁護」「大日本帝國擁護」と誤解されて主張は理解されないし、アメリカだけでなく他の国の人たちからも理解されない。あの時に書き損ねましたが、ブラジルで日本人のあのミームの抗議の記事が上がった際も、ブラジル人たちからもアメリカ人と同じように反論されてました。日本への擁護は少なくとも僕が見た時点ではゼロでした。おそらく、他の国でもそうでしょう。そこは本当に気をつけないとならないことです。

 その点に関しては


 多くの日本人の反原爆の主張のもととなってる「はだしのゲン」を書かれた中沢啓治さんもそうです。単に日本人の被害者意識だけに訴えてるわけではなく、日本の戦争責任もこの方、すごく追及されています。そこのところも忘れない方がいいと思います。

 ただ、あの記事でも書いたように、僕自身は、アメリカの原爆投下は「やる必要はなかった」と思ってます。もう、第二次大戦のそもそもの敵のヒトラーは降伏してて、日本軍の降伏も時間の問題なくらい弱ってた。ブラジルだと、サッカーでの礼儀として、すでに大量得点とってリードした試合で、相手にさらに屈辱を与えるようなことは試合終了間際にはしない、みたいな暗黙の了解のようなものがあるんですけど、それに近いことをやったイメージですね。で、それをやっても日本側の直接的な降伏の理由にもならなかった(ここに関しては日本も大いに問題アリですが)わけでもあるし。

・・・との、論でなぞっていくとですね


「オッペンハイマー」はむしろ、日本人にちゃんと見られないといけない映画です。

 

 僕はこの映画の始まった週末、7月22日のことになりますが、この映画、もう見てます。自信もって言えます。


まさに、今言ったみたいな理論がこの映画の劇中で語られることもそうなんですけど、この映画の中で

原爆投下を支持した当時のアメリカ大統領ハリー・トルーマン、この人の描き方にものすごく悪意があるからです。

 オッペンハイマーが原爆投下の実態を知って罪悪感に苛まれ、この映画ですでに有名になっている「I had blood on my hands」というセリフをトルーマンに青ざめた顔で言った時のトルーマンの態度。ここはこの映画の一つのヤマです。

 ちなみに、このトルーマン、誰かというと、ゲイリー・オールドマン。見えないでしょ?相変わらず役者としてすごいです。悪役もかなり名演こなしてますがその中の一つですね。

 この他にも「原爆をどこに落とすか」、ここの会話も日本人としては難しいです。あと、戦争が終わったところもですね。確かに、ここまでの時点で日本人なら耐えられなくなって映画館を去ってしまうことも考えられます。

が!

最後まで見れば、こうした描写がアメリカ人にとってむしろかなり耳が痛い話なのはすぐにわかります。


 こないだの記事にも書いたように、アメリカでは「被曝の現場の写真を見せることすらタブー」とされているのが現状です。だから、この映画でも、日本の被害のシーン、描けてないんです。さらに言えば


この記事はアメリカでの「原爆投下は必要だったか」のアンケートで「必要なかった」派が増えた、という記事なんですけど、それでも「65歳以上は70%、18歳から29歳でも47%」が原爆投下の肯定を2015年の時点で行ってるんです。そんな中で、反感を買う恐れがありながらも、クリストファー・ノーラン、あえてそのタブーに切り込んでるわけです。

 そういうことも考えてですね、この映画、むしろ日本人には有利な作品なんですよ。「原爆が日本に落とされる映画だから、無条件に公開なし」とかが予想されてますけど、それは全く逆の行動です。日本の被曝の現実を知ってほしいなら、むしろこれ、国際的には良い契機です。そして批評的にも、来年のオスカーには間違いなくかかりそうなほど絶賛もされてます。

世界に対して、原爆投下が正しかったのかを問われるチャンスが、少なくとも来年の3月までに世界に対して広がってるんですよ。そういう作品を日本で公開しないというのは全くもって馬鹿げた話です。


もっとも、この映画、「オッペンハイマー自身を、実際より美化して描いている」との声も聞きます。ブラジルの新聞記事でもそれは読んだし、

日本語でも

このnoteに詳しく書かれています。オッペンハイマーのさらなる理解を深めたい方は読まれるといいと思います。

これを読むとオッペンハイマー自身も決して褒められた人ではないんですが、それだけ、ノーランの問題提起の原爆投下への問題提起の気持ちが上回ったものだと思いたいです。

 「オッペンハイマー」の日本公開と、被曝に対しての国際理解が、時間かかってもいいから進むことを願っています。





 

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