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エンタメ界で急台頭!2010年代の海外テレビ・シリーズを10のポイントで振り返る

どうも。

では、「昨日やるはずだったネタ」というのを、ここではしましょう。コレです!

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やはり、2010年代最後のエミー賞が終わった直後ですので、

2010年代の海外テレビ・シリーズを振り返る!

これをやっておこうと思います。

2019年も、あともう数ヶ月ありますけど、もう、これから始まるような新番組は2020年代のカルチャーで語った方が良くなるでしょうから、まだ9月ですが、テレビなら今振り返っても早すぎはしないと思います。

2010年代というのは、他の音楽や映画と比較しても、テレビ番組の影響力の伸びが顕著だったように思います。僕の記憶を辿ってみても、こんなに影響力のある時代、なかったですからね。

では、それがどんな感じだったか、見てみましょう。

1. アメリカの地上波民放局の衰退

まずは、これがありますよね。

アメリカの場合、1950年代から80年代にかけてはNBC、CBS、ABCの三大ネットワークが絶対でした。そこに90年代にFOXとThe CWがオルタナティヴな民放局として加わってきていました。特にFOXが、「3大ネットワークより、ちょっと尖った感じ」というのを90sに出してきていたように思います。00sでも、そのイメージは残っていました。

ところがもう、いわゆるアワード関係で見てみると、もう3大ネットワークはおろか、FOXでも太刀打ちできないい常態になってますね、今。それくらい、ケーブルの有料チャンネルとサブスクが完全に力、掌握していますね。だいたい今、こういう局で新番組といったところで注目されなくなってますからね。

それでも2010sの初めはまだ「モダン・ファミリー」(ABC)がエミーのコメディ部門を何年にわたって制していたり、視聴率全米1位になった「ビッグバン・セオリー」(CBS)もかなりおなじみの番組にこそなっていましたけど、特に「ビッグバン・セオリー」なんてそうですけど「ダサい番組)扱いも終盤の方はされてましたからね。

もう今や民放でアワードにかかるのって、「This Is Us」(NBC)くらいでしょ?ちょっと前までだったら、「サインフェルド」「フレンズ」「The Office」「30ロック」と生んできたNBCの木曜コメディとかも強かったんですけど、もう、そのNBCのコメディも「サタディ・ナイト・ライヴ」一択になりつつありますからね。

2.有料局の優良インディ・チャンネル化

もう、これは止められない現象というかですね。

もうひとえに圧倒的に強いのはHBOですよ。あそこが90sの終わりに出してきたに出してきた「ソプラノズ」「セックス・アンド・ザ・シティ」、あと「The Wire」も入れてもいいかな。あれがテレビ界のゲーム・チェンジャーだった気がします。あそこから「ちゃんとしたドラマ見たいならHBO」みたいな流れが出てきて、そこにAMCが「マッドメン」と「ブレイキング・バッド」で続いて、他にもSHOWTIMEとかFXが続いた、という感じですね。

今でいうと、HBO一人勝ちですね。やっぱり、生みだしてくるものの量と質が他の局と圧倒的に違いますからね。2010年代で言えば、やっぱり「ゲーム・オブ・スローンズ」で牽引したし、他にもコメディから、限定シリーズまで、各種取り揃ってますからね。

なんか見ていて、90sから00sのロックにおける、優良インディ・レーベルを見てるかのようですよ。もう、ヴューワーにとっての「信頼のブランド」になっているというかね。


3.リアリティ・ショーの栄枯盛衰(1)消えたMTVのおバカ系

あと、これも顕著ですよね。

今振り返るに、2000sって、MTVを筆頭とした「おバカ・リアリティ・ショー」の時代だったと思うんですよね。それはオジー・オズボーンの「オズボーンズ」を始め、ジェシカ・シンプソンの「Newly Weds」とか。それからパリス・ヒルトンとニコール・リッチーの「シンプル・ライフ」、「The Hills」、それからバカの極め付けの「ジャージー・ショア」ね。こういう、全米の人たちが「自分たちよりバカそうな人たちを見て楽しむ」みたいなものが2000s、すごく流行ってました。僕も最初は見てましたけど、だんだんそのニュアンスが濃厚になっていくうちに不快感の方が強くなってきたので見るのやめました。

ただ、それが2010s入って、「カーダシアンズ」と「リアル・ハウスワイヴス」のシリーズがその名残を見せてたのを除けば、一様に衰退しましたよね。MTVなんて、「これからどうすんの?」という感じもありますけど。

これもひとえに

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このリアリティ・ショー出身のバカ親父が、「おバカなアメリカ」の頂点に立ってしまったことで笑えなくなってしまったでしょ。ここ、デカい気がします。これ以降、逆に、ポリティカルになった「サタディ・ナイト・ライヴ」をはじめ、スティーヴン・コルベール、ジョン・オリヴァー、トレヴァー・ノア、サマンサ・ビーみたいな、深夜の政治風刺コメディが影響力持ったりしているのも、この反動のような気がしています。

4リアリティ・ショー(2)。淘汰されたコンペティション系

ここも本当にガラッと変わったと思います。

2010年代への変わり目って、まだ「アメリカン・アイドル」が全米視聴率1位だったんですけど、それからすぐに坂を転げるように落ちていって、打ち切りの頃には誰も見なくなってましたからね。

それはやはり、「番組で当たれば一攫千金」みたいな夢に限界があったことで終わったんでしょうね。やっぱり「歌の才能だけを競う」のでは限界があった、というか。音楽って、それだけじゃない、ということが多くの人にわかられちゃったんでしょうね。

今やその仕掛け人のサイモン・コーウェルも、ワン・ダイレクションとフィフス・ハーモニー(カミラ・カベーロ、ノーマニ)を置き土産に「Got Talent」シリーズで、音楽にこだわらずに紹介する方向にシフトしちゃったでしょ。もう、そこが限界なんだろうという気がします。音楽コンペティション系でも、「Voice」も続いてはいるけどスターは出てませんからね。

そんな中で今続いてるコンペティションって、料理系のヤツか、

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このルポールの「ドラッグレース」みたいなものか、ですよね。方や実用性、その影響で「コンマリ」も受けた気がするんですが、それか、ルポールくらい強烈で、出演者にドラマ性のあるものか。LGBTの現在の波が後押ししている側面もあるでしょう。それくらいでしょうね。リアリティ・ショー、需要は無くならないと思うんですが、2000sのようなわけにはいかなくなってる気がします。

5.自作自演系の台頭

これも、一つの特徴な気がしますね。クリエイターが、自ら主演し、話題になってしまうもの。

これ、実はこの10年だけじゃなく、例えば「サインフェルド」の生みの親のラリー・デヴィッドの「Curb Your Enthusiasm」とかティナ・フェイの「30ロック」もあったんですが

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レナ・ダナムが2012年に「Girls」で出てきたのは大きかったと思います。この当時、彼女、25で、それで主演、脚本、監督、兼ねてましたからね。しかも彼氏役がアダム・ドライヴァーで、その後に「スター・ウォーズ」でのカイロ・レンをはじめ、今や大スターですからね。ちなみに、うちの娘の名前、彼女に因んでいたりします(笑)。

ただ、もう今の視点で言えば

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都合よくツーショットの写真があるんだなあ。「アトランタ」のドナルド・グローヴァーと「フリーバッグ」のフィービー・ウォーラー・ブリッジ。今や、「主演と脚本手がける」といったらこの2人です。どちらも私小説的に見せつつも、それぞれの立場で賢いブラック・ジョークを交えながら、黒人男性やイギリス女性の日常をリアリティを映し出しているというかね。すごく個人アイデンティティのにじみ出た、なんか音楽作品とかの感触に近いものを提示してくるんですよね。僕が惹かれたポイントはそこだったりするかもしれません。

ドナルドの方は、それこそさっき言ったNBCの伝統の木曜コメディ枠の番組「Community」の出身で、あれも2010sの隠れた名番組なので、機会があったら見て欲しいです。

6.サブスクの台頭

そして2010s中盤からはサブスクは欠かせません。

今から考えると。ネットフリックスって、当初はドラマのサブスクではなく、映画レンタルの代替物として流行ったものなんですよね。僕はブラジルで2011年に加入してますけど、その時の目的もただ、それでしかなかったですから。

それが

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まだ、2013年と6年前のことに過ぎないんですよね。この「ハウス・オブ・カード」を1号としてネットフリックスが配信ドラマ・ビジネスで一気に台頭してくることになります。

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世界的なドラマ配信ブームに火をつけたとなると、「ストレンジャー・シングス」になるんでしょうかね。これも2016年なので、ほんの3年前の話なんですけど。

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すると、他もそれに追随して、huluとかアマゾン・プライムなんかも台頭してきましたよね。さっきの「フリーバッグ」、そしてこの「ミセス・メイゼル」をはじめ、アマプラも欠かせないサブスクになってますよね。

7.イギリスもテレビ・ブームに参戦

あと、アメリカだけじゃなく、イギリスも現在の国際的なテレビ・シリーズ・ブームに参戦したのも大きいですね。

もともとプライド高いイギリス人のことです。「アメリカ人の作る番組よりBBCやITVの作るものの方がいいに決まっている」。そんな思いもあったでしょうか。

イギリスものが浮上するキッカケになったといえば

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BBCのアメリカのブランチ、BBCアメリカがこの「Orphan Black」で当てたのが最初でしょうね。。その次に主婦層にバカ当たりした「ダウントン・アビー」が続いて、今の「キリング・イヴ」につながる流れができましたからね。

そうじゃなくても、「ゲーム・オブ・スローンズ」も「フリーバッグ」も、イギリスなわけですから。やっぱり、演技、そうとう鍛えられてるイギリス人、絡むと、クオリティのあるもの、強化されます。

8.ハリウッド系大物も進出

そして、これだけテレビがホットになると、これまでハリウッドで活躍していたような映画スターも、昔みたいな「テレビなんかに出るようになったら落ち目」の偏見なくテレビ、やるようになりましたよね。

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このHBOの「Little Big Lies」なんてその典型ですからね。ニコール・キッドマンにリース・ウィザースプーンにローラ・ダーン。第2シーズンはそこにメリル・ストリープまで加わってしまったわけですからね。

あと、「ストレンジャー・シングス」でのウィノナ・ライダー、「ミスター・ロボット」でのクリスチャン・スレイター、「The Act」を始め、最近、こちら専門になりつつあるパトリシア・アークエットみたいに、テレビで復活するパターンも出つつあります。

9.ミニ・シリーズで秀逸な作品。オスカー狙える映画も。

あと、今年の「チェルノブイリ」とか「ボクらを見る目」に顕著なように、限定のシリーズで、かなりの評判を取る作品も出てきました。

そして、去年のアルフォンソ・キュアロンの「Roma」のように、まずはネットフリックスでの配信が先にありきで、そこからオスカー狙って、もう少しで作品賞まで取りそうになるものまで出てきています。

今年も巨匠マーティン・スコセッシが「アイリッシュマン」でそれに続こうとしていますね。あと、映画ではないですけど、デヴィッド・フィンチャーみたいなハリウッドでの大物監督も、「マインドハンター」を始め、テレビのエピソードの監督を積極的にやってもいますね。

10.問題点。最初だけ良く、後でつまらなくなったものも


ただ、問題点が全くないわけではありません。ものによっては、「出てきた時の勢いはすごかったんだけど」というものが、最初の2、3シーズン良かっただけで、あとは尻すぼみ・・という例も少なくありません。

例えば「Homeland」とか「The Handmaids Tale」なんて、最初はエミーの作品賞までとったのに、第3シーズンになる頃にはノミネートさえされなくなってしまった。

あと、ネットフリックスの「Orange Is The New Black」のように、途中からマーケッティングの理論が入りだして、人気のパートを極限まで長引かせたら、ドラマの最初のプロットとのつじつまがあわ間なくなって自滅した、みたいな番組もあります。やっぱり、当初は「自由な表現」だったものも、ビジネスとして軌道に乗り出すと、こういう風になっちゃうんですよね。これ、2020年代の課題かとも思います。

それ考えると

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むしろ第5シーズン超えて以降に人気のピークが来た「ブレキング・バッド」とかGOTはもっと評価すべきだと僕は思いますけどね。

・・という感じでしょうか。





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