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映画「ザ・ハーダー・ゼイ・フォール 報復の荒野」感想 現在黒人映画屈指の豪華キャストによる、痛快チャンバラ・ウェスタン

どうも。

ここのところ、ネットフリックスで力作映画が立て続いて発表されています。なのでレビューしたいと思います。

今回はこれです!

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「ザ・ハーダー・ゼイ・フォール」。これ、パッと英語だけだとわかりにくいんですけど、19世紀を舞台とした西部劇。それも、黒人オールキャストでの異色西部劇。しかも、出演キャスト、すごいんですよ、これ。本当に「今現在のブラック・ムーヴィーのオールスター」的な顔ぶれです。

どんな映画なのでしょうか。あらすじを見てみましょう。


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時は19世紀後半の中西部。ギャングのボスで逮捕中の、ルーファス・バック(イドリス・エルバ)が子分たちの列車襲撃で保安官たちを襲って脱獄。街に戻って市長を追い出し、支配しようとします。

そのルーファス・バックに恨みを覚えている者がありました。

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それがナット・ラヴ(ジョナサン・メイジャーズ)でした。彼は20年前、子どものころにバックに父親と母親を銃殺された悲しい思い出がありました。額の傷はそのときにつけられたものです。彼はビルとジムの二人の早打ちガンマンと、当時としては非常に中性的な男性カフィーを引き連れていました。

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そんなナットの心のよりどころは、カフィーがボディガードをつとめるバーでシンガーをつとめているメアリー(ザジー・ビーツ)でした。19世紀とは思えない(笑)非常にワイルドなセクシーさを持つメアリーは、なかなか武術の方も立つようです。

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ナットはメアリーのサロンにいるところを黒人保安官のベース・リーヴス(デルロイ・リンド)に逮捕されます。しかし、リーヴスはナットを、凶悪犯であるバック逮捕のための捜査に協力するように呼びかけます。

そこで

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バック逮捕のためのチームが組まれますが、その矢先に

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メアリーがバックのギャングの女ボス、トルーディ・スミス(レジーナ・スミス)につかまり、無法地帯となったバックが略奪した市の警察に監禁します。

ナットたちのメアリー救出作戦がはじまり・・・。

・・・という感じです。

いやあ、これ、本当に出演者、すごいですよ。

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悪役のイドリス・エルバは今、黒人のトップ・アクターなので言うまでもないんですけど、今年だと「スーサイド・スクワッド」で話題になったばかりでしょ。

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主役のジョナサン・メイジャーズはHBOのドラマ「ラヴクラフト・カウンティ」であてたばかり。

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ザジー・ビーツはドナルド・グローヴァーのドラマ「アトランタ」でのドナルドの相手役だし

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デルロイ・リンドはスパイク・リー映画の常連俳優で去年「ダ・5ブラッズ」で主演でしょ。

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ラキース・スタンフィールドは今年「Judas And The Black Messiah」で主演なんだけど助演でノミネートされたでしょ。「ゲット・アウト」で脳を入れ替えられた黒人青年役も印象的でした。

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で、何と言ってもレジーナ・キングですよ。「ビール・ストリートの恋人たち」でオスカー助演女優を受賞した後に「ウォッチマン」での主演で大当たり。「ワン・ナイト・イン・マイアミ」では監督までつとめて高い評価。その後のこれですからね。

これ、制作側は本当に完璧なオールスター・キャストを目論んでいたようでシンシア・エルヴォ、ウェズリー・スナイプス、「This Is Us」のスターリングKブラウンにも声がかかっていたようです。

 で、これだけすごいオールスター集めて、やった内容が

派手なチャンバラ!

これいいんですよ。ま〜あ、暴力描写がひどいのなんの(笑)!それをここにいる役者たちが喜々として楽しんでやってるのが面白いです。

 でも、いいのかなあ、ネットフリックス。つい最近、「イカゲーム」で暴力、世界的に話題になったばかりでしょ?これもネットフリックス作品ではかなり成功した映画なんですけど、2作連続、暴力で話題を呼んだネッフリ、というレッテルを貼られてしまわないかは少し心配です。

あと、これ、「えっ、黒人でウェスタン?」と思うでしょ。でも、これ、前例あるんです。

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1993年に「黒豹のバラード」という、黒人ウェスタン・映画がありまして、アメリカではかなりヒットして日本でも公開されて僕も見に行ってます。

あのときも、「史実では黒人カウボーイはかなり多かった」とのことで、「それなのになぜウェスタンに黒人が出てこないのだ」という理由でこれは制作されました。監督は1972年の伝説的ブラック・ムーヴィー「スウィート・スウィートバック」の監督のメルヴィン・ヴァン・ピーブルズの息子のマリオ・ヴァン・ピーブルズということでも話題を呼びました。

あと、これ

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主人公のナット・ラヴも、敵役のルーファス・バックのギャング団も、実在はする人物です。もっといえばザジーの演じたメアリーもそう。これらの人々をかき集めてフィクションにしたのが本作のようです。

 だから僕、今回のこの映画の話を聞いたときに、この「黒豹のバラード」を思い出したんですけど、やっぱ時の経過で黒人俳優の進出が目覚しい昨今、見事なハリウッド・ウェスタンになっていましたね。これに関しては黒人映画関係者、誇っていいんじゃないかな。立派なメインストリーム映画だったと思います。

個人的には

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適切な写真がなかったんですけど、このレジーナ・キングとザジー・ビーツの女同士の格闘。これ必見です!これが一番かっこよかったです・こういう見せ場作れるところもさすがはレジーナだし、若手だとザジーですよね。

あと

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このカフィーというキャラクターは女優さんが男性をやっているんですが、この中でこの人が女装をやるシーンがあって、そこんとこがすごく今っぽいですよね。これも一応、「黒人女性で軍に入隊した実在人物」をモデルにしてあるんだそうですよ。

あと、この「ザ・ハーダー・ゼイ・・・」というと、「えっ、それ、もしかして」と思う人はレゲエに通じてる人だと思います。

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もちろん、1972年の伝説のレゲエ映画「ザ・ハーダー・ゼイ・カム」のことを指しているわけですけど、この映画、劇中でレゲエが満載なんです!監督を務めたジェイムス・サミュエルという人がもともとイギリスのミュージシャンだった人で、彼が自ら音楽を手掛けているのも、この映画の見所でもあります。

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