本国オンエア時間終了後、すぐにネットフリックスへ。Kドラマの国際的展開の素早さ

どうも。

週末にネットフリックスでこれがはじまりました。

この「サイコだけど大丈夫」という韓国ドラマです。これ、本国でも放送が20日にはじまったばかりですけど、もうネットフリックスで見れます！

　こういうことって、このドラマが決してはじめてではないんですが、最近のKドラマ、こういう展開、少なくないです。僕もハマったのは最近なので、どの作品からこの現象がはじまったのか知りたいところなんですけどね。

だってないですよ。本国での放送時間が終了した時点から国際配信が可能なドラマなんて。アメリカのドラマでさえ、その展開、やってませんからね。HBOなんてもうやっててもおかしくないのに、韓国のドラマの方が先にそれをやってるというのはすごいことです。

これ、たとえば、ブラジル、日本もそうかも知れませんが、他の国で同じことやれば、「国際放送したところで誰か見るの？」ということになりがちかもしれません。ところが韓国ドラマの場合は、この配信戦略をとったところで唐突感がまったくないんですよね。

なぜか。それは

すでにKドラマ・ブランドが地球の一部で機能しているから。

これはKポップ同様、エンタメを「輸出産業」としてとらえる同国が長年かけて行なった着実な国際戦略ゆえですね。もう、この「サイコだけど大丈夫」もツイッター反応見てると、すでに日本語、インドネシア語、タイ語、タガログ（フィリピン）語が入り混じってます。もう、これらの国であの国のドラマが大量にオンエアされてて、熱心なファンがついちゃってるんですね。だから真っ先に国際配信することは、世界にすでにできたコアファンを刺激する行為だし、大いに喜ばれるわけです。

しかもネットフリックスで本国と同時展開されているのは、本国でも注目度の高い作品です。そのほとんどが、梨泰院と不時着のときから僕の言っている、最近のKドラマの二大人気ケーブル局、JTBCとTvNのドラマですからね。

しかも、この「サイコ」同様、もっとも人気の高い週末ドラマを主に放送してます。韓国のドラマの放送方法って変わってて、毎週２話ずつ放送なんですね。「月・火」「水・木」、そして「金・土」もしくは「土・日」でセットになってますが、老舗のKBSをのぞいて、各局ともにもっとも力を入れているのは週末ドラマ。「梨泰院」も「不時着」も共にそれぞれJTBCとTvNの週末ドラマでしたが、「サイコ」はTvNの最新の週末ドラマです。

そして、見はじめたこのサイコですが、まだ全16話だか20話だかのうちの２話なので、ウケるかどうかはわからず、韓国での視聴率も滑り出しは決して良くはありません。おそらくそれは、かなり異色で濃い内容のドラマだから。　

これはですね

ヒロインは、韓国でもっとも売れっ子の絵本作家なんですが、いわゆるティム・バートンとかニール・ゲイマンみたいな、ゴシック・ホラー・ファンタジー系の作家で、子供たちの教育的には大問題され、その作品通りの言動を実際に行う人であるため、行く先々で物議を巻き起こす、マスコミにも非常に有名な問題児。その人に

ストーカーのように追いかけられてしまう、彼女の幼馴染の看護との関係を描いたものです。この看護師役が「視聴率男」とも呼ばれるキム・スヒョンの兵役除隊後の最初の主演作としても話題です。

これ、茶の間でやるにはかなり冒険作でして、合間合間にゴシック・ホラー趣味の３Dとか血しぶきに溢れ、いつも誰かが死んだり大怪我負ったりしてます。さらに

主人公の兄さん、この人が知的障害者で、かなりの怪演で怖いんですよ。この人、こないだここでも紹介したペクサン・アワードで「椿の花咲く頃」の演技で助演男優賞とった人なんですけど、演技、激うまです。

このドラマなんですが、まだどっちに転ぶかはなんとも言えません。こういうタイプのドラマにいきおいありがちなセンセーショナリズムに走りすぎるとコケる可能性も高まるでしょう。ですが、僕は

かなり面白くなりそうな予感はなんとなくしてます。

それはヒロインが「ひどく見える行為が実は良心に基づいたもので、攻撃された側が明らかに嫌なヤツ」だったり、彼女や主人公兄弟との過去やバックグラウンドになにか秘密がありそうだったり、主人公をひそかに思う地味な女性がいたり、コメディ要素のあるヒロインの付き人たちとか、面白く発展できそうな要素が見て取れるので。僕はこれ、引き続いてみようかと思ってます。

しかもこれ、毎週少しずつ見れるというのは、やっぱいい！今もビンジ・ウォッチングしてるドラマがあるんですけど、一気に何話も見るのもいいんですけど、あれ、やると他のことできなくなるので、「もう少し時間かけてゆっくりみたいなあ」とはどうしても思うんですよね。今の韓国の戦略は、そうした配信ドラマの面倒な性質までうまいことフォローしてる意味でも合理的で興味深いと思いますよ。