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ライブ評「MITA Festival」(1)ラナ・デル・レイ〜なんだかんだで話題は独占!

どうも。

ではお待たせしました。

先週末にサンパウロのヴァーレ・ド・アニャンガバウーというところで行われましたフェスティバル、MITAフェスティバル、これのレビューを行いましょう。

このフェス、数年前にリオで始まったのかな。最初は国内ものばかりの印象だったんですけど、去年にゴリラズ呼んだくらいから注目度さらに上がって、今年はリオとサンパウロの2箇所開催となりました。

そしたら、呼ぶメンツがすごく豪華になりまして、

今年はなんとラナ・デル・レイとフローレンス&ザ・マシーンとHAIM揃い踏みというかなり大胆なブッキング。これでチケットの売れ行きもかなり好調d、初日はソールドアウトになってましたね。

 それもこれもラナ・デル・レイのパワーにつきます。彼女は2013年、2018年と過去に2度ブラジルには来てて、両方とも見に行ってますけど、もう本当にいつもすごいんですよ。

この2回ともその場にいましたけど、もうファンの熱狂度が異様で、ファンの取り乱しかたがすごかったんですよ。女の子と、ゲイのファンベースが特にね。一人の女神様を拝みに来たみたいな、伍長とか冗談抜きにそんな感じで。

ラナ本人もMCで間髪一切なしでリアクション帰ってくるファンとのやりとりで可笑しくなって笑うことしきり。これがすごく微笑ましい空間を生んでたんですよね。

 さて、これが今回どうなったか。

今回のこのヴァーレ・ド・アニャンガバウーというのは非常に変わった会場でして。なんと、真隣がオフィス・ビル!隣だけじゃなく、周囲がビル、しかも由緒正しい古い建築の建物だらけなんですね。

それもそのはず、ここサンパウロ市庁舎のすぐ近くで、3枚目の写真の真ん中のでかい通りあるでしょ??ここを会場としているんですよね。そこの端と端で2つのステージを作るわけなんですけど、その距離がすごく長い!ここに全部人入れても数万人の人が入ります。周囲のビルも土日であれば人はいないので、大きな音を出しても大丈夫。そんな環境の会場なんですよね。

 そして、ライブはラナだけでなく、昼間からずっとやってました。メインステージだけでも、ジェニー・ベス、Not Not Bad Good、フルームがライブをやりましたね。ラナに集中してきていたので、そんなに意識しては見なかったんですけど、良いことは良かったですよ。ジェニー・ベスはサヴェージズは恋しくはなるんですけど、正当にインダストリアル・ロックやってて、挙げ句の果てにはナイン・インチ・ネールズの「Closer」のカバーもやってましたね。NNBGはジャズをサイケデリックなジャム・バンド風味にやってましたね。そしてフルームはシーケンサーを自身の両脇において、インディ・ロックと親和性高さ王な洒落たトラックを、女の子のフィーチャリングシンガーとしてプレイしてましたね。EDMブームの中に出てきた人たちの中で、センス良い方から数えてかなり早めの印象ありましたけど、それは変わらなかったですね。

で、ラナなんですが、今回、やってくるにあたって、ブラジル、事前からかなり彼女に密着してました。


ブラジルに着いたのは今回のライブの1週前の木曜でした。その週末にリオでのライブに出ましたからね。空港に着くや出待ちの人がたくさんいたんですけど、そこでサイン会、セルフィー会になりました。ラナ、「サインを拒まない人」として、ファン・サービス、ファンの間ではかなり有名です。

そして、リオ公演とサンパウロ公演の間では、アマゾンに行って先住民と交遊。一緒に伝統のダンスを踊るなどして楽しんでもいました。

僕ももう、期待値はすごく高くてですね。

これがチケットなんですけど、価格差を見てください。1094レアルと385レアル。高い方がラナの出た日のチケットなのですが、彼女をちゃんと見たいがために、安いチケットの2・5倍くらいの値段を叩いたんです(笑)!僕もそれくらい、しっかり見たいと熱烈に思っていました。

そのライブなのですが、本来、「20時20分くらいにスタート」との予定で、チケっっと売り切れの超満員で、前方の方、押される中、待ってました。ただ、待てど暮らせど、ラナが出てこない!これは嫌でしたね。だって、このライブ、22時までには終わって安全に家に帰れることを売りにもしてましたから。それくらい、ブラジルの夜は危ないのです。

 そして8時50分、30分が経過した瞬間にはついにブーイング。主催者を批判するヤジも飛び一触即発。これはちょっと残念でしたね。せっかく、いつもすごく雰囲気の良い感じで行われるラナの公演だけに、これは避けて欲しかった。主催者側にも何らかのアナウンス欲しかったところですね。

で、21時も回り「キャンセルか・・・」と思った、その矢先にやっと明かりが暗くなり

出てきました!「A&W」のラップのパートからライブはスタート。

リオ公演では、マリリン・モンローのコスプレで登場して着替える、トイうパターンだったんですけど、この日はカジュアルな服装にヘアもあんまりセットしてない状態。で、笑わなくて機嫌悪そうだったんですよね。一体、何があったのか。

 これがマドンナだと、「まだ現地に到着してません!」というのがいつものことなんですけど(笑)、彼女が開演前に舞台裏にいたことは、その後、ブラジル人のこの日の出演アーティストたちが写真いっぱい撮ってたことで明らかになってます。

3曲めの「Bartender」の時にヘアセットしながら歌ってたんですけど、この時、すごく機嫌悪そうでしたね。初めて見る表情でした。なんか、予定してた段取りと違ってたんじゃないかな。そういう気がしてます。MITA側が何かやらかしたんだと思ってます。

 あと、リオの時もそうだったらしいんですけど、この日、全部ではないんですけど、部分的にプレイバック(口パク)使ってて、そこも残念だったかな。これまで僕の行った2回、特に一番最初の2013年の時は、ヴォーカルがぶれて不安定ながらも歌そのものはちゃんと歌ってましたからね。今回、ちょっっとセーブした部分がありましたね。

 それもなんかよく分からない基準でされてたんですよね。ジュリアン・カサブランカスだと新曲の歌詞覚えられないからカンペをフロアに貼るんですけど(笑)、古いとか新しいとか関係なくそれがされてたし、生で歌ってた部分で「歌うまくなったなあ」と思わせるところはあったし、「生で歌ってたのに、突然プレイバックになるの?」と思う変な瞬間があったし。この辺りの演出上の最もだいぶ謎です。ただ、ラナ自身、自分がモニターに映された時に「あら、いけない」と慌てて口隠したりしたの、あれはいただけなかったですね。そういうとこはちゃんとしていかないと、今年はグラストンベリー、シカゴのロラパルーザと大きなライブ続きますからね。ただでさえ叩かれやすい人なんだから気をつけないと(苦笑)。

 ただ、それでも、そこまで悪い印象持たなかったのは、やっぱり彼女はブラジルのファン、好きなのか、ファンを相手にするとすごく馴染んで気前良くなるんですよね。今回も声出してケラケラ笑ってて。そこまでのこともこれまでのライブにはなかったことなので、「酔ってたりしてないかな」とも思ったんですけど。

 あと、ライブの選曲的にはかなり面白かったんですよね。すごくベスト盤的なセットリストではあるんですけど、「Ultraviolence」からの「Flipside」みたいなディープカット(隠れ名曲)的な選曲も見られたりして。この選曲で「Honeymoon」と「Chemtrails Over The Country Club」からの選曲がなかったんですが、これ、以前からの傾向です。あんまり本人、好きじゃなさそう。前者は公言もしてますしね。あれだけ多作だと、そういうのも出てきそうですね。

ハイライトとしては2つあって。一つは即興リクエスト。「Get Free」「Cinnamon Girl」がそれでしたけど、前者はライブって気にはかなり珍しかったですね。

 あと、今回の見せ場は

最新シングルでもある、「Candy Necklace」での黒人ピアニストとのデュエットですね。アルバムだと、これがジョン・バティスティなんですけど、今回はツアー・メンバーで。

 今回のツアー、いつもつけてるストリングス部隊がいなくて、バンド形態だったんですけど、バック・ヴォーカルの三人の女性も皆黒人。彼女、2021年に黒人カルチャーについての発言で必要以上のバッシング受けてましたが、それに対する対応策でしょう。今回のアマゾン探訪での先住民との交友もそうですけど、人種問題にはかなり気を使ってますね。勝手に「白い保守文化」に彼女を置こうとする人、見かけるんですけど、単なる誤解だと思います。

ライブは40分遅れて始まった分、40分遅れて終わったのでその分、帰るときの緊張感こそ高まりましたが(笑)、短縮されたりすることはなかったので、その意味では良かったです。

https://twitter.com/LDRaddic/status/1665207390986174466

そして最後は、花が絡まったブランコに乗っての「Video Games」。こんな絵が似合うのは、世界広しといえども、彼女くらいしかいません(笑)、もう、「キャラ勝ち」としか言いようがないし、こういう唯一無二の世界観が示せる点では、現状、世界でも勝ててるアーティストがなかなかいいないのは確か。その辺、カリスマなんですよね、やはり。

ということで、過去3回のライブの中では一番物たりなさこそ残ったものの、楽しめるものだったことは確かです。今回のアルバムで、ツアーを積極的にやろうと思ったことも彼女にとっては貴重だし。何作かに1度しか、そういうモードにならない人ですからね。

では、セットリストを書いて締めましょう。

1.A&W
2.Young And Beautiful
3.Bartender
4.The Grants
5.Flipside
6.Cherry
7.Pretty When You Cry
8.Ride
9.Born To Die
10.Blue Jeans
11.Norman Fucking Rockwell
12.Arcadia
13.Ultraviolence
14.WhiteMustang
15.Candy Necklace
16.Venice Bitch
17.Diet Mountain Dew
18.Summertime Sadness
19.Get Free
20.Did You Know That Theres A Tunnel Under Ocean Blvd
21.Cinnamon Girl
22.Video Games








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