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aikoも全アルバム・リスニング〜以前の印象と、現在の認識の変化について

どうも。

今日は本来やるつもりのなかったネタでいきます。

このnoteでは、ごくたまに日本のアーティストの全作視聴企画をやっています。過去にユーミン、ラルク、サザン、グレイプバイン、そして先月、ミスチルをやりました。

 僕としては、そんなに早くその次をやるつもりはなかったんです。というより、予定としては3月21日にサブスク解禁される大瀧詠一に合わせてはなにかやろうと思っていました。

が!

たった数日で、14枚もアルバム聴けたアーティストが急に出た!


これは僕も全くの予定外で驚いたんですが、なんかしゃべりたいことも出てきたので、やっちゃおうと思います。

それが

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はい。aikoです。彼女のことに関してちょっと話してみようかと思います。

彼女に関して言うと、もうぶっちゃけ本音言いますと、昔の印象、正直良くなかったんですよ。どちらかというと聞くのにはかなり消極的だったことを告白しておきます。

ただ、どうしても「なんか聴いてみたいなあ」と思うようになっていた自分がいたこともまた事実です。そして、ちょうど

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新作アルバム「どうしたって伝えられないから」が出たタイミングだったので「よし聴いてみるか」と思ったら、

ほう・・・

となったので、ベスト盤「aikoの唄」を聴いたんですね。そうしたら

良いんだけど、曲がどれも似て聞こえるから、どの時期がどの時期かよくわからんな・・

と思ってですね、じゃあ、「いっそのこと、頭から全部聴いていくか」となったんですね。そしたらなんと

3日で14枚、全部聴けました!

しかも

かなり楽しかった(笑)!

そして、同時に「今まで理解してやれなくてゴメン!」という気にもなりました。

なので、やってみようかなあ、と思った次第です。

彼女のことを知ったのは1999年。まだ僕がNHKで「ライブビート」っていう番組をやってたときです。その頃に聴いてみてはいたんですが、正直、そのときの印象があんまり良くなかったんですね。

その理由を箇条書きにして述べていくと

①昔ながらのニュー・ミュージック〜Jポップの系譜だと思った
②ヤマハのオーディション➡️ポニー・キャニオンのルート
③レーベルの先輩女子が偉大だった
④初期のヒット・シングルにピンとこなかった

という感じです。

まず①に関しては、僕、日本のフォーク/ニュー・ミュージック、あと、バブル時代のシンガーソングライターって、生理的にちょっと苦手なんですね。今もなんですけど、番組やってた90sの僕はオルタナにズブズブな頃ですから、余計にその意識が強かった。だから、ちょっと物足りなく感じてしまったんですよね。で、彼女の場合、ヤマハのティーンズからキャニオンにいったでしょ?ヤマハのオーディションからキャニオンって、古くは中島みゆき、チャゲアスじゃないですか。そこがねえ〜。時代が違うとはいえ、ひっかかちゃったんですよねえ。

もっとも、この時期、キャニオンってすごく良いレーベルだったんですよ。移籍でオリジナル・ラブ、L⇄R、エレカシがやってきた頃だし、新人もよかったんですよ。グレイプバインにホフディラン。そして女性アーティストに

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Bonnie Pinkと小島麻由美いましたからね。このふたりは本当に才能があった!二人とも大好きでしたね。Bonnie Pinkは平成の名盤にも作品選んだくらいだし、麻由美ちゃんは縁あって割と仕事上、良くしてもらったりもして。シングルのカップリングにライブビートの音源使ってもらったりもしてます。彼女はカルト・アーティストですけど、再評価ならいつでも起こりうるとも思っていたりします。

だから、「この二人と比べるとなあ〜」とはよく思ってたんですね。Bonnieの持ってた洋楽的なオルタナ・ポップ感と麻由美ちゃんのアンダーグラウンドな感じ。そういうエッジィなポイントが欲しかった、というのがあります。そこに対してaikoで聞こえたきたのが「花火」「カブトムシ」「ボーイフレンド」だったでしょ。これだと、インディ/オルタナとの接点が見出しにくかったし、「ファン層ももっとJポップ・リスナーっぽいのかな」とも思ってました。

だから、長いこと、僕のアンテナには引っかかってこず、そのまま20年が流れてたのです

が!

彼女に関してきになることが出てきました。これが次の2点です。

①20年、ずっとかなりコンスタントに売れ続けていることを知った
②信頼できる筋の人から絶賛の声が聞こえてきている

僕は2002年にはもう邦楽の仕事はやらなくなっていたし、10年にはブラジルに行っていたので情報的にも疎かったのですが、aikoがずっと売れ続けてる話は耳に入ってて。「いくら興味がないとはいえ、そこまでずっと売れるということはなにかあるのかな」とは思うようにもなってて。

そこに加えて、かなり信頼できるタイプのリスナーの方々が彼女を絶賛してることも知って。それは田中宗一郎さんだったりとか、僕が正直苦手なジャズの方とか。それだけじゃなく僕のツイッターのフォロワーさんの中にもかなりのファンの方もそれなりの数いたりもして。だから、「これは彼女の歴史の中で、大きなターニング・ポイントがあったのかな」と思ったんですね。「それがどこなのか突き止めたい!」という気持ちも芽生えていたことはたしかでした。

で、

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デビュー・アルバムの「小さな丸い好日」から聴いてみたんですけど、「あっ、意外とこのときからいいね」と思ったんですね。

むしろ感心したのは「このときから、やりたいことがすごく一貫してあったんだな」ということです。たしかにニュー・ミュージックなとこは感じたりはしたんですけど、なんか声質のせいもあるんでしょうけど、ジャクソン・ファイブ思い出す瞬間があったり、このときから中後期のビートルズ意識したアレンジがあったり。あと、思った以上にオルタナ・ギター・バンド・アレンジだし。「この時代から、前時代のものとは差別化される工夫はほどこしてあったんだな」と思いました。

で、ブレイクしたセカンドの「桜の木の下」も、さすがに1stで感じがつかめたからなのか、勢いありますね。ここで「カブトムシ」があるわけですけど、あの曲でのビートルズ・アレンジがその前から一貫してあったものだったんだな、というのがファーストとの連続性でわかったりして興味深かったですね。

で、その後に「夏服」「秋そばにいるよ」と、シングル・ヒットをぎりぎり覚えてるアルバムを聞いて。で、この時期に思ったのが「ちょっとシングルだけ、浮いてない?」ということですね。特に「夏服」。レコード会社なりに、売れそうな曲、ピックアップしてたんだとは思うんですけど、そこは僕には裏目だったのかな、と思いました。

で!

ここから僕の評価がガラッと変わりましたね。


この2000年代の半ばに差し掛かる頃から後半にかけてが、彼女、すごくよくなってますね。特に「カバン」って曲はビートルズの中でも「アイ・アム・ザ・ウォルラスかよ!」って感じの、彼女みたいなタイプのアーティストが通常ほとんど行わないアプローチで「えっ!?」ってなりましたね。

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この「カバン」が入ってるこの「夢の中のまっすぐな道」という2005年のアルバムは、コード、リズムともにかなり技巧的なことしてて、かなり面白いアルバムですね。さすがにこれは、僕が99年頃に混同したアーティストからは聞かれないテクニックですね。あと、バンド・アンサンブルがすごく強化され、サウンドに輪郭がでてきてますね。とりわけこの次の「彼女」「秘密」といったアルバムだと、それが強まってて。こういうとこに関しても「ああ、誤解してたね。ごめんなさい」という気になりました。

そして!

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この2012年の「時のシルエット」というアルバム、ほかでもすでに言われてますけど、僕的にも文句なしに最高傑作ですね。

これ聴いて思い出したのが、不思議とこれなんですよね。

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はい(笑)。AC/DCの「バック・イン・ブラック」。もちろん、「サウンドが」じゃないですよ(笑)。aikoって、どこを切っても曲、金太郎飴じゃないですか。なれないできくと、さっきも言ったように、ベスト盤聴いても、どれがどの時期の曲かさっぱりわからなくなる。でも、アルバム1枚1枚聴いていけば、どういう過程を通ってきたアーティストなのかはわかるし、充実した内容のときははっきりそうとわかる。で、どう聴いても同じなはずなのに、どう聴いてもこれが飛び抜けて最高。この意味でこの2枚、すごく似てるんです!

やっぱり、彼女のアルバム史上、いちばん曲の振れ幅があって、それぞれの方向で過去最高になってること。あと、「くちびる」に顕著なんですけど、島田昌典のストリングス・アレンジのキレがすごいですね、このアルバム。ここもケミストリー起こしている要因のひとつでしょうね。

あと、

aiko自身の歌詞がもっともエモーショナル。

ここも大きいですよね。「くちびる」「ずっと」で歌われる、愛の本気度で言ったら、これまででマックスな感じなのは、今回はじめて聴いてみた僕でも伝わりましたからね。

で、日本にいなかったから知らなかったわけですが、このときの状況を聴いて「ははあん」となったわけです。

でも、そんな

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テイラー・スウィフトのような、「具体的な人物を思い浮かべて憶測を楽しむ」ような作品って、それまでの日本にあったのかな?ちょっと、それは定かでないので調べたいとこですが、そういうとこでもこれ、後世に語れる作品ではありますね。

ただ、テイラーと違うのは、彼女がいろんな人との、比較的ライトな関係からいろんな曲書いてるのに比して、ここら辺りのaiko、一人の人にズブズブなわけでしょ?

それで

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この「泡のような愛だった」っていう、タイトルからして意味深なアルバムなわけでしょ。これ、前のアルバムと前後して聞くと、もうすごくかわいそうというか、聴いてて悲しいくらい痛々しいというか。この辺りのドラマは、なんかものすごく引きつけますよね。これ、また、元カレも元カレで音楽的にはもうかなり大きく飛躍して、もうトップ・アーティストなわけじゃないですか。やっぱ、余計に気になるというか。まあ、個人の事情なので、何があったかはわかんないし、口出すわけにはいかないんですけど、この前のアルバムで歌った内容思い返すに泣けますよね。実際、僕は本当に涙出てしまいました・・。

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こうして心配になりつつも、2018年のこの「湿った夏の始まり」という作品が、またかなりの充実作で。最新作も、これにはちょっと及ばないかなとは思ったんですが、さすがだなと思わせる作品で。こんな感じで、スルスルーッと聞けたわけです。聞きながら意外と入り込んでいたのは、この話の内容で察していただけたらと思います(笑)。

 これなあ〜、もっと早く今回のこの企画やっていれば、「平成の50枚」に選出してたなあ。おしい。作品はもちろん「時のシルエット」。これは日本のポップ・ミュージック史で語られるアルバムになるんじゃないかな。もっともまだaikoに同期の(って事実がすごいんですけど)林檎や宇多田ほどの評価がついてないから、彼女らの名作と同じ次元で語られるようになるかはわからないですが、それでもカルト名作にはなるような気がしてます。

「時のシルエット」のあとは「夢の中のまっすぐな道」「彼女」「湿った夏の始まり」「暁のラブレター」「秘密」「泡のような愛だった」の順番で好きかな。やっぱ、5枚目以降が好きですね。でも、デビューの頃から平均点はのきなみかなり高めですね。やってることがとにかくブレないので(笑)。MVなんて見てると、歌う時、踊る時の仕草まで一貫してて。本当に表現としてやりたいことがカッチリとあるんだな、この人は、と思いましたね。そのことに気がつけただけでも収穫だったかなと思います。















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