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全オリジナル・アルバム FromワーストToベスト(第27回) ポール・ウェラー/ザ・ジャム/スタイル・カウンシル その1 27位〜11位

どうも。

では、先月すでに約束してあったとおり、これ、行きましょう。

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ニュー・アルバムが出たばかりですね。ポール・ウェラー。今回の全オリジナル・アルバムFromワーストToベストは彼の、ソロだけでなく、ザ・ジャム、スタイル・カウンシルも含め、40年を超える全27枚のアルバムに順位をつけたいと思います。

ウェラーは僕も長いこと好きなアーティストだったりもするんですけど、果たして何が上位に来るか。今回は27位から11位までを紹介していきます。

では27位から。

27.The Modernist/Style Council (1989 発売中止)

ワーストに選ばせていただいたのは、これは「幻のあるアルバム」ですね。1989年に出る予定だった「The Modernist」。これ、全編ハウス・ミュージックのアルバムという、当時、世を「エッ!」と思わせたアルバムで、それでライブもやってるんですけど、これがすごく不評で。結局リアルタイムでは出なくて、10年くらい後にこっそり出てるんですけど・・・、まあ、彼からは全く期待しない音ですね(苦笑)。スタカン自体が冒険するプロジェクトだとは思うんですけど、彼は本当に似合ってません。そのことを彼のその後のキャリアが物語ってると思います。

26.The Cost Of Loving/Style Council (1986 UK#2)

ワースト2もスタカンですね。「The Cost Of Loving」。これもなんか似合ってないというか。スタカンがソウルフルなのが売りなのは確かだったんですけど、これっじゃただ単に、アメリカの、当時「ブラコン(ブラック・コンテンポラリー)」と呼ばれたものの焼き直しというか。この人、しっかり生楽器鳴らしてないとダメなタイプですね。この当時、日本でもCMとか出てたんですけどねえ。

25.Studio 150/Paul Weller (2004 UK#2)

ワースト3は、今度はソロ作から。90sの終わりから2000sの半ばまで、ソロでもスランプがあったウェラーですが、これはその中でも一番迷いあるかな。おそらくはそれの打開の目的もあったんじゃないかな。いまいちど、自分自身の好きな音楽を見つめ直そうとしたカバー集だったんですけど、結局どの曲もまったりしてしまいました。フォークも、ソウルも、カーペンターズの名演で知られる「Close To You」も全部同じ感じで。その「まったり」こそをやめてほしかったんですけど、見えないときは見えないものです。

24.Heliocentric/Paul Weller (2000 UK#2)

24位は「ヒーリオセントリック」。60s後期風のソウルフルなブルーズ・ロックにたどり着いたのは良かったものの、なんかそこの居心地がよくなりすぎたか、曲が安全パイで冒険がなくなり、落ち着いた雰囲気だけが強いんですよね。

23.Illumination/Paul Weller (2002 UK#1)

というわけで、その次のアルバムのこれも好きじゃないですね。先行シングルになった「Written In The Stars」って曲だけ、サンプリングの要素と、60sのオルガン・ジャズの洒落たファンクネスがあって好きなんですけど、そのほかの曲が、この前後にずっと続いていたレイドバックしたまったるとした路線で。よほど、そういうモードが快適だったのかな。

22.Sonic Kicks/Paul Weller (2012 UK#1)

続いては、これは割と近年の作品ですね。この2作前から、老いに鞭打つような作品が続いているのですが、このアルバムはちょっと飛ばしすぎて、つんのめってしまいましたね。「何も、そこまで頑張らなくても」という感じで、その分、曲がいまひとつ。まあ、こういう失敗作も出してしまえるあたりが、好調たる所以でもあったわけですけど。

21.Confessions Of A Pop Group/Style Council (1988 UK#15)

 スタカンのリアルタイムでのラスト・アルバムですね。このアルバム、最初は「おっ、コンセプト・アルバムか!?」と思うくらい、スケールの大きな大曲ではじまるんですけど、アナログで言うB面になると途端にこの前作みたいなブラコンに逆戻りで。で、この次のアルバムがハウス。いろいろやるのが面白かったスタカンではあるんですけど、なんかそれが「ノルマ」になって、ウェラー本人が実際にうまくできるか、本当にやりたい音楽なのかが怪しくなったところがつらかったかな。

20.As Is Now/Paul Weller(2006 UK#4)

 ソロでの倦怠期の最後のアルバムですね。この中で、速いテンポで飛ばす曲が先行リード曲にもなってたので、「おお、遂にウェラー復活か!」とも当時思ったのですが、それがその曲だけであとがまったりしたままで肩透かしだったことを思い出します。でも、ここからが復活の兆しだったような気もします。

19.True Meanings/Paul Weller (2018 UK#2)

 前作ですね。飛ばし気味なアルバムが続いていた中での、じっくりアコースティックで聞かせるアルバム。リリースも、その前から1年くらいしか経っていないこともあって、突発的に、企画的にやりたいことだったのかなと思います。曲はいいんですけどね。

18.This Is The Modern World/The Jam (1977 UK#22)

ジャムは駄作はないと思うんですけど、比較で言えばこれがワーストですね。ファーストは見事なパンク・アルバムなんですけど、このセカンドがファーストに入らなかった曲で短期に作った印象が否めなくて。もう少し間が経って、曲の新しいアイデアが活かされる次作以降の飛躍はすごいですけどね。

17.A Kind Revolution/Paul Weller (2017 UK#5)

 ここからは、もう好きなアルバムしかないですね。2017年のこのアルバムも、08年に蘇生してからの、パンキッシュでサイケな路線で基本は作られてるんですけど、そこにソウル色も引き戻して作った感じですよね。この路線を深めて作ったのが今作なような気がします。

16.Heavy Soul/Paul Weller (1997 UK#2)

「ブリットポップの兄貴役」として60s後半のソリッドなブルーズ・ロックの路線の最後であり、そこから後のまったりした、おそらくウェラー本人には気持ちよかったんだろうという渋いソウルフルな路線の最初ですね。シングルヒットしたソリッドな「Peacock Suit」や、哀愁のソウルバラードの「Up In The Suzes Room」など見逃せない曲もあり、ライブでの頻度も高いアルバムではあるんですけど、しぶすぎかな。

15.Introducing The Style Council/Style Council (1983 US#172)

 これはスタカンの、扱いとしては1st EPなんですが、シングル文化だったイギリスでは出てなくて、日本やアメリカで準アルバムの形で出てまして、アメリカでの中ブレイクに役立ってます。ジャム末期で見せてた、アナログのオルガン使ったソウルフルな路線が開花してますが、いかんせんシングル曲の少ない寄せ集めなので、1枚通したときの聴き応えにやや欠けるのが惜しいです。

14.Saturns Pattern (2015 UK#2)

近年ではこれもいいアルバムでしたね。08年以降の吹っ切れたウェラーの、よりライブ向きに作ったアルバムですね。実際、ここからのライブの選曲、今、多めですしね。この2つ前とか、今作に比べていきおいインパクトで落ちるかなと思ったのでここにしましたが、時間経てばもう少し上に行くかもしれません。

13.In The City/The Jam (1977 UK#20)

パンク史的にも大事なジャムのデビュー作です。ロンドン・パンクのバンドでアルバム出した順でもジャムって早くてクラッシュのデビュー作のひと月後です。今聴いても、その後のジャムのシグネチャー・サウンドになる切れ味鋭いザクザクしたギター、かっこいいんですけど、ビートルズもカバーしたラリー・ウィリアムズの「Slow Down」とか60sのTVシリーズ・ヴァージョンの「バットマンのテーマ」のカバーで、パンクが60sのブリティッシュ・ビートの伝統にも繋がり得るものなんだということを示した作品としても貴重です。

12.Paul Weller/Paul Weller Movement (1992 UK#8)

 ポール・ウェラーのソロ・デビュー作ですね。バンドに慣れてた本人もソロに照れがあってか「ムーヴメント」という名称をつけてバンドっぽい雰囲気でデビューです。基本的に「バック・トゥ・ベイシック」な、その後の路線の最初でソリッドでブルージーなギターロックでも当時インパクトあったんですけど、今聞き返すとあのとき以上に、当時流行ってたアシッド・ジャズの痕跡感じますね。これをよりソリッドにした路線がブリットポップの時代を誘導するんですけど、そことアシッドジャズのミッシング・リンクを感じさせます。

11.22 Dreams (2008 UK#1)

そして11位が2008年、ソロでの一つの転機となった「22 Dreams」です。ここでは、ウェラー自身が、これまでの路線に加えて、好きながらこれまであまり活かしきってなかったフォークとか、ビーチボーイズとかサイケまでを表現して、これまでの自分の音楽認識を最初から疑って、再アプローチを欠けた、まさにミュージシャンとしての自分を再生させた、すごく大事なアルバムで、本当はトップ10に入れるべきだったかもしれないアルバムです。これはタイトル通り、22曲の実験作で、その成果がこれから10数年の彼の音楽の軸にもなってきます。

・・・ということで、明日はいよいよトップ10です!











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