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暦(高島暦/六輝、中段、二十八宿)をどうとらえるべきか?3-1

六輝、中段、二十八宿

はじめに

日本では、行事を行うときに『暦』を重視する傾向があります。最近の新郎新婦は暦を気にする方が少なくなったものの、地域によって、ご両親や祖父母は気にする方もいらっしゃいます。
ただ、この暦をどのようにとらえればよいのでしょうか。予め行事にふさわしい日なのか、ふさわしくない日なのか、定めること【将来を予測すること】は「宗教」ではなく、「占い」の領域に入ると思われます。また、一部行政では『迷信』と捉えていて、廃止を求めている機関もあるようです。

暦がどういうものなのか、ということをよく理解した上で、自分にとってどのように捉えることが本当に良いことなのか、考えていきたいと思っています。まずは、暦についてみていきましょう。


高島暦の『六輝』(六曜とも言います)の大安、赤口、先勝、友引、先負、仏滅はよく知られていますが、その他にも、『中段』(十二直)、『二十八宿』、『下段』があり、4つの項目があります。それに加え、選日(特殊日)の一粒万倍日、不成就日、三隣亡、天赦等を含めますと、5つの項目がある訳です。この5つの項目のすべてが、行事にふさわしい項目であることはほぼありません。同じ日において、一方で行事に適しているとする項目と、もう一方で、行事に適していないとする項目があります。

この矛盾について、高島易断総本部に直接お聞きしたことがありますが、本人のとらえ方が重要だという見解でした。例えば、結婚式の日取りを決める場合、六輝の大安や友引を選ぶ方が多いのですが、六輝が『大安』でも、中段が『閉(とづ)』(この日は諸事閉止する意で金銭の収納、建墓は吉。棟上げ、結婚、開店などは凶。)という日があります。この場合、どちらを優先すればよいのでしょうか?

『いい日に結婚したのだから、今後必ずいい夫婦生活が送れる。安泰だ。』といったような、間違った解釈をしないように、結婚後もお互いの関係を良好に保つよう努めなさい。という意図があるようです。仮に5つの項目がすべて“良し”とする日があったとしても、現実的な夫婦生活においてお互いの関係について何の努力もなければ、いずれは破綻してしまいます。暦は、『縁起を担ぐ』程度に留めて、結果を招くのは自分自身である。という認識が重要ではないでしょうか。


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◆『六輝』について
ー 六輝のなかで大吉とされるのは、先負の午後のみ

中国の三国史で有名な名将『諸葛孔明』が、戦の吉凶を占うもの(先勝/先に攻めたら勝てる・先負/先に攻めたら負ける等)として考案したとの説もありますが、史実ではなくあくまでも伝説として伝えられているものです。明治の改暦でそれまで人気だった『十二直』(中段)ののち、昭和初期から注目され始めましたので、日本での歴史はそんなに長くないのです。六輝が生まれた中国では、現在は使用されておらず、全世界で使用しているのは日本だけなのです。神仏教のなかで高島暦を使用する宗教も存在するようですが、キリスト教は六輝を使用しませんので、教会式を行う新郎新婦が六輝を気にするというのは、本来矛盾している考え方といえるのです。
『13日の金曜日』につきましては、『暦をどうとらえるべきか?3-3』で少し触れています。

行政及び公共機関は、暦を「根拠のない迷信」等という理由で、積極的な廃止を求めている機関もあるようです。(迷信とは、人々に信じられていることのうちで、合理的な根拠を欠いているもの。)
『行政をはじめとする公共機関が作成するカレンダーでは使用せず、掲載を取りやめるよう行政指導を行っている機関もある。これは、根拠のない迷信であること、無用な混乱を避けるなどの理由による。また、部落解放同盟では「六曜のような科学的根拠のない迷信を信じることは差別的行為につながる恐れがある」などの理由から、積極的な廃止を求めている。こうした背景などから、2016年には大分県佐伯市でカレンダー配布を巡る騒動も起きている。』
wikipediaより

旧暦の月と日の和を6で割った余りの数で決まります。
(月+日)÷6=余り0→ 大安
(月+日)÷6=余り1→ 赤口
(月+日)÷6=余り2→ 先勝
(月+日)÷6=余り3→ 友引
(月+日)÷6=余り4→ 先負
(月+日)÷6=余り5→ 仏滅

大安: この日、結婚、旅行、建築、開店など、何事をなすにも吉日とされる。

赤口:新規の事始めはもちろんのこと、何事をなすにも忌むべき日とされる。ただし、正午のみ吉

先勝:急用や訴訟などに吉の日とされる。ただし、午後は凶となる。

友引午前中と夕刻と夜は相引きで勝負なしの吉の日。ただし、昼は凶。

先負:この日は静かにしているのが良いとされ、特に公事や急用をさける日。午後は大吉

仏滅:この日に開店、移転など、新規に事を起こすことはもちろんのこと、何事をするのも忌むべき日とされる。

▶ 一般的に大安が最高吉日と捉えがちであるが、六輝のなかで大吉とされるのは、先負の午後のみである。


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◆『中段』(十二直)

江戸時代の『かな暦』の中段に載っていたものです。日常生活に深く関わり、六輝が注目される昭和初期まではこの『中段』(十二直とも言います)はかなり重要視されていました。年配の方や地方によっては、六輝より中段の方を優先される方もいらっしゃいます。仏滅でも中段がよければ吉日というとらえ方もあります。

(たつ) :この日は建の意で最高吉日神仏の祭、結婚、開店等すべて大吉。動土蔵開き凶。

除(のぞく):この日は不浄を払い百凶を除き去り、医師かかり始め、種まき吉。結婚、動土は凶。

(みつ) :この日は満の意で万象万物すべて満たされる良日建築、移転、結婚、祝い事吉

(たいら):この日は平の意で物事の平等分配を図るので、地固め、種まき、結婚、祝い事吉

(さだん):良悪が定まる意で、建築、結婚、開店、開業等祝い事は吉。樹木の植替え凶。

(とる) :この日は執の意で、万事活動育成を促す日祝い事等吉で財産整理などには凶。

破(やぶる):この日は破の意で、訴訟等には吉ですが、結婚その他約束事、神仏の祭等は凶。

危(あやぶ):この日は万事に危倶を含み、何事も控えめに謹んで吉。旅行、登山、船乗り等は凶。

(なる) :この日は成就の意で、建築、開店、種まき等の新規事はすべて吉。訴訟事等は大凶。

納(おさん):この日は別名天倉といい、万物を納めるのみ吉。神仏祭、結婚、見合い等凶。

(ひらく):険を開き通じる意で、建築、結婚、開業等吉。ただし葬儀、その他の不浄事凶。

閉(とづ) :この日は諸事閉止する意で金銭の収納、建墓は吉。棟上げ、結婚、開店などは凶。

▲ 太字は婚礼に適しているといわれている項目。


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◆『二十八宿』(にじゅうはっしゅく)

『二十八宿』とは、季節を定める方法として、古代中国で考え出されたものです。夕暮、西の空に細い三日月が見えますが、この三日月は朔日から数えて三日目の月という意味です。朔日の日の月を新月と呼びますが、新月と二日の月は見えません。三日でようやく見えて、この三日月の位置から見えなかった新月と二日の月を推定し、月、星、太陽などの位置がある程度正確に計算できたものと言われています。そこで、月の通る道に沿って、目立つ星を目標に二十八の星座を決め、これを二十八宿と称して日、月に配当して、古来より吉凶を占うのに用いられています。各星宿は天空を西から東へと数え、黄道帯を、東方青龍、北方玄武、西方白虎、南方朱雀の四宮とし、これをさらに7分割して配当されてます。

▶ 東方七宿
角(かく) :婚礼普請着初吉葬儀凶
亢(こう) :種播結納吉家造は凶
氐(てい) :婚礼酒造種播吉普請凶
房(ぼう) :新規事婚礼棟上等大吉
心(しん) :神祭移転旅行吉他は凶
尾(び)  :開店婚礼造作吉衣裁凶
箕(き)  :普請動土池堀吉葬儀凶

▶ 北方七宿
斗(と)  :新規事倉庫建築動土吉
牛(ぎゅう)何事に用いても吉祥日
女(じょ) :稽古事始吉訴訟婚葬凶
虚(きょ) :学問吉積極的行動は凶
危(き)  :壁塗酒造旅行吉仕立凶
室(しつ) :祝事婚礼造作祭紀等凶
壁(へき) :旅行婚礼万事大吉南凶

▶ 西方七宿
奎(けい) :柱立棟上神仏祭事等吉
婁(ろう) :普請造作庭造作公事吉
胃(い)  :世話事普請造作公事吉
昴(ぼう) :参詣祝事新規事婚礼吉
畢(ひつ) :祭紀婚礼棟上取引始吉
觜(し)  :稽古事始吉造作着初凶
参(しん) :婚礼旅行は吉葬儀は凶

▶ 南方七宿
井(せい) :参詣動土種播吉衣裁凶
鬼(き)  :婚礼のみ凶他全て大吉
柳(りゅう):造作婚礼葬儀などは凶
星(せい) :祭紀治療吉婚礼葬儀凶
張(ちょう)見合い神仏祈願祝宴吉
翼(よく) :耕作始め樹木植替え吉
軫(しん) :地鎮祭紀就職婚姻祭紀吉

『高島易断本暦』より

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※『下段』『選日』(特殊日)の解説は今後ご紹介していきます。

厄年厄日について、お釈迦様はどのような教えなのでしょうか。
『暦(高島暦/選日)をどうとらえるべきか?(お釈迦様の教えは?)3-3』をご覧ください。

株式会社マグリット
専務取締役 羽原正人
THE MAGRITTE @partylabo.

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