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THE MAGRITTE Museum vol.5 『ゴルゴンダ』ルネ・マグリット

ルネ・マグリットの代表作『ゴルコンダ』

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▲ 1953年 キャンバスに油彩 80.7×100.6cm
Houston, The Menil Collection

「ゴルコンダ」というタイトルは、友人の詩人ルイ・スクテネア氏がつけたという説が有力です。

浮遊した平均的な男たちは、遠くから見ると、山高帽の大雨の雫が落下しているように見え、「浮遊」と「落下」という矛盾した要素を同時に表現し、また「浮遊」と「落下」はマグリットの憂鬱とした感情を表現しているようにも見えます。
マグリットの「目立ちたくない」ことと、「普通」というどこか矛盾した感情を一つの絵にうまく表現しています。

元来、マグリットは目出ちたがり屋ではなく、それは、顔を青リンゴで隠した「人の子」、顔を鳥で隠した「山高帽の男」、数々の後ろ向きの絵などが物語っています。

また、スキャンダラスにも無縁で、芸術家としては珍しく、幼なじみの妻ジョルジェットと慎ましく生活していました。実際にマグリットは庶民的なアパートに住んでいました。 

マグリットはこの作品についてこのようなコメントを残しています。

「たくさんの男がいる。いろいろな男たちだ。だが、これだけたくさんの男が同時に現れると、それぞれの個性を考えることはなくなる。男たちは同じ服装をしている。できるだけ単純に、かたまりとして見えるように。・・・・・・ゴルコンダとはインドの古都であり、その富で知られていた。いわば幻の都のようなものである。私にとって空を歩くことはまるで奇跡のようなものだ。一方、山高帽は不思議でもなんでもない。ごくふつうの頭部を保護するものにほかならない。だから、山高帽の男たちはごくふつうの目立たない平均的な人間である。私もまたこの帽子をかぶっている。目立ちたいとは思わないからだ」
▲ タッシェン「マグリット」より


ゴルコンダは、1687年にムガル帝国の第6代皇帝アウランゼーブによって滅ぼされたインドの都市の名です。かつては世界有数のダイヤモンドの産地として栄え、イギリス国王の王冠を飾る106カラットのダイヤモンドもここで発見されました。
この絵でマグリットが言わんとしたことを、かつて栄華を極めた者たちへの皮肉や、空の空間を皆で分かち合うといった平等思想の現れと解釈できなくもありません。

しかし、この絵はマグリットのもう一つの側面を表しているのではないでしょうか。
空いっぱいに浮かんだメロン帽子の男性、誰もがこれがマグリット自身だと知っています。

しかし、どのメロン帽子の男が本当のマグリットで、どの男が偽物のマグリットだと断定できるでしょうか。
我々が人の目を避けたいとき、二つの方法を使います。一つはどこかに隠れて出ないこと。
もう一つの方法は、人ごみに紛れてしますことです。

ここでは、数多くのマグリットの分身に紛れて、マグリットの本当の姿は消されてしまったのです。
森耕冶著『マグリット 光と闇に隠された素顔』より

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▲ 上記 THE MAGRITTE 1F レプリカ

株式会社マグリット
専務取締役 羽原正人
THE MAGRITTE @partylabo.

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