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足し算ではなく引き算で創造性を高める


単身赴任からの帰省2日目。子どもと遊ぶ大変さと体力不足を痛感しています。それにしても子どもの創造性には舌を巻く。おままごとや公園あそび、カードゲームに興じるときの発想の豊かさ、自由度に驚かされます。そして同時に、「どうすれば自分の創造性が高まるのか?」について思いをいたさずにはおれませんでした。

たくさんのおもちゃを与えられた子どもと、4つのおもちゃを与えられた子どもを比較して創造性を図る実験が行われました。後者は集中力が2倍になって、手持ちのおもちゃを駆使していろんな遊びを考案したと報告されています。

学生にエッセイを書かせるときに、「お金やモノがない環境で育つとは?」というテーマを与えられた学生と、特にテーマを与えられなかった学生にどんな違いが認められるかを調べる研究では、創造的な文章を書いたのは前者だったと結論づけました。実際に制限があるわけではなく、単に「不足の状態」をイメージしただけでも創造性が22%も高まったことが明らかに。

おままごとでは、水色のビー玉を「水」に見立ててお皿洗いを演じていました。公園では、すべり台ひとつで数種類の「すべり方」を披露。カードゲームでは、数枚のカードが紛失しているにもかかわらずルールを臨機応変に変更してゲームを成立させていました。「制限」は確かに創造性という能力の伸長に貢献していると、我が娘たちとふれあいながら確認できました。

そういえばアフリカのマラウイで国中が干ばつの飢饉に襲われたとき、廃材を組み合わせて風車をつくり、風力発電で地下水をくみ上げるシステムを考案した少年がいました。限りなく限界にちかい、ありとあらゆるリソースが制限された状況が逆に斬新な発想を生み、多くの人命を救ったという偉業を私たちはどう解釈すべきでしょうか。

会社に所属していると、お金も人も、モノや場所も割としっかり準備されていて、「なんでもできそう」に感じてしまいます。特にお金に関しては、大きな企業ほど使える額が大きいので「心強さ」を覚えるかもしれません。ですがアイデアを絞り出すときはあえて、リソースを減らす努力をしたほうがよさそうです。足し算より引き算。創造性は「制限」によってもたらされるからです。

たしかに、上司からの依頼、たとえばプレゼン資料の作成には必ず「期限」が設けられていて、期限があるからこそ創造性が発動されて作業がはかどることは皆さんも実感したことがあるのではないでしょうか。逆に期限がなければ、ダラダラと先延ばしをしていつまでたっても資料が完成しないことは想像に難くありません。

営業担当者であれば、毎月の売上ノルマがあるからこそ、日々の営業活動に気合が入ることは間違いありません。ノルマなしに積極的に営業活動ができる人は、ゼロではないにしても少数派?ちなみに私はノルマがない環境は苦手です。時間制限がなければ適切な計画を立てられず、決められた目標数値がなければ、成果をあげることも難しいと感じます。

今年もはや、半年が過ぎようとしています。期日なく、目標なく、のらりくらりと過ごす方は多くないと思いますが、より厳しめの「制限」を設けることで創造性が高まることは多くの研究で示唆されていて、科学的信憑性も高い。上半期をしっかりと振り返り、下半期に備えていきたいと思います。

久保大輔




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