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資本を積み増して安定的な売り上げをつくる「仕組み」を


昨日は
「なぜミッションなのか」と題して、

クラブのあり方(=顧客への価値提供)
を規定することは、

クラブ内においては
施策の一貫性を、

クラブ外においては
共感や信頼を創造して

成果につながると記しました。


これに関する発信は、

数年前からnoteやブログ、
SNSを通して行ってきました。

京都や横浜FCでも
社員に説いて実践に努めました。

ところがなかなか浸透せず、
中途半端に終始することも少なくありませんでした。

ということで今日は、

ミッションマネジメントの重要性が
理解されづらい理由

を解剖してみたいと思います。

■時間がかかる

社員やステイクホルダーに
ヒアリングをして、

社員はクラブで働き、
何を実現したいのか。

ステイクホルダーはクラブと関わることで
どんなベネフィットが得られるのか。

それぞれの意見の類似性、
妥協可能性を探って

最大公約数を掘りあてることで
ミッションが固まっていきます。

おそらく少なく見積もっても
1年はかかりそうな仕事です。

さらにこのミッションを
クラブ内外に浸透させるべく、

クラブ代表(社長)が
毎日情熱的に発信し続けていくわけですが、

こちらに「終わり」はありません。

目まぐるしく変化する社会情勢が、
人々の価値観やクラブの働き方に影響を与えます。

昨今のコロナウイルスによる
劇的な変化を迫られるときは分かりやすいですが、

平時の「緩やかな変化」を察知する
センスの醸成に努めつつ、

変化に即した発信
が求められるからです。


■今年の数値必達

ところがクラブの社長からすると、

「そんなこと言ってられない」

のが本音なのかもしれません。

多くのクラブにはオーナーが存在し、
年次ごとの予算が与えられ、

その完遂を指示されるのが社長です。

ミッションを語る、
などという悠長なことに時間を使っている暇があったら、

ひとつでも多くの企業を営業して
キャッシュを確保したい。

外注する経費がもったいないから、
デザイン、印刷、配布を内製化
して

試合告知、チケット収入アップ
につなげたい。

グッズの棚卸をして在庫をチェックし、
売れない商品は半額セールにして

売れない商品は半額セールにして
グッズ収入を少しでも…

そんな声なき声が聞こえてきそうです。


オーナーが存在しないクラブにも
Jリーグライセンスの監視は容赦しません。

下手に赤字を出して
ライセンス停止となれば

人々への価値提供とは?とか
毎日地道に発信する、とか

正直やってられない、
クラブがつぶれたらどうするのよ?

と言われれば
返す言葉に窮してしまいそうです。



■長期的視点で「資本」積み上げを

社長の考えは
痛いほど分かるのですが

ですが思いっきり無視してでも
ミッションマネジメントを推し進めたい

というのが持論です。
もう少し詳しく説明していきます。


意識したいのは、

バランスシート(BS)上の資本を手厚くして、
収益を生み出す「仕組み」を構築し、
損益計算書(PL)上に利益を供給する

という流れ。

クラブがミッションをかかげ、
周囲に発信し、共感を得ていくこと。

言行一致を続けることで
信頼を獲得すること。

ファンの数を増やすこと。

これら「資本」を分厚くするための活動、
それがミッションマネジメントです。

ミッションの実現(目的地)
に対する経由地点が年次のPL。

1,000万円の利益を残した
という1年の成果は、

最終目標に対する「KPI」
でしかありません。

目的地へ向かう中で、
PDCAを回すための

客観的な情報、進捗の把握
に使われる数値

であるという捉え方が大事です。


■投資回収

信頼をキャッシュに換金すること。

信頼という資本が積み上げられ、
仕組み化された資本は、

安定的な売上を確保するようになります。

顧客からの売上は、
顧客の喜びの総量。

売上が上がれば上がるほど、
多くのお客さんの喜びが増えていくということです。

そして

「できるだけ早い段階で」

資本が積み上がっている状態
にするほうが、

人々が喜びを享受できる時間
が増えることになる

ということことも忘れずにいたい。


50代でMBAを取得するのと、
30代で取得するのとでは、

投資回収期間に
差が生まれるのと同じ。

福利は
運用期間が長いほど効果を発揮します。

若いときの投資ほど
回収期間が増え、

複利運用において
有利になる。

クラブもできるだけ早い段階で
資本の積み増しに着手できるかどうか。

それが地域社会の喜びと
クラブの売上増大につながります。


■時間管理

資本を積み増しつつ
PLもできるだけプラスに。

そんな難しい仕事をなし遂げるためには、

何を差しおいても
「時間管理」です。

時間はクラブのBSに
レバレッジをかける存在。

お金をかけてでも
時間を生み出す

という強い意志が求められるのです。


上述したような専門分野
(デザイン、印刷、発送、在庫管理など)ほど

アウトソースすべき。

これら仕事はなぜか
「やった感」があるので

「仕事」をしているように感じ、
周りからもそう評価されがちですが、

実は単なる「作業」に過ぎません。

PL上の経費削減になるので
手を出しやすいところですが、

できるだけ少しずつでもいいので、
外に出していく。

そして時間を生み出すのです。
時間をお金で買うということですね。

空いた時間は
資本の積み増しにあてる。

ミッションを語り、信頼を獲得し、
ファンを増やすことこそが

本来、時間をかけて取り組むべき
「仕事」であるということは、

既述で示した通り。

自分がやらなくていい「作業」に
時間をかけるべきではありません。


また、
アウトソースをいかに組み合わせるか、

その継続的な創造力と
仕組み化を考えられる組織

にならなければなりませんね。

世の中の変化に対応する
柔軟性も必要です。

自分の時間を使わない(売らない)
で済む仕組みをいかに考えて、

迅速かつ柔軟に取り入れることができるか。
社長の腕の見せ所です。


■まとめ

今日は、

ミッションマネジメントの重要性と、
実行に移しづらい理由について論じてみました。

ミッション構築と浸透に要する労力を
今年の成績(予算必達)に費やしたい

という社長の思い(焦り)

BSとPLの性質、違いを知り、
ミッションがどんな役割を担うのか、と

投資回収期間時間管理
についての理解が促進されればむしろ、

ミッションマネジメントを行わない方が恐ろしい、
と思ってしまうのは私だけでしょうか。


クラブに出向している社長の任期は数年。
そんな事情が

長期視点を損なわせてしまうのは
避けがたいことなのかもしれませんが、

地域に永続する公共財を、
短期的思考で経営することで被る損失

があるということも
頭の片隅に入れておいてほしい。

引き続き私も
発信を通して訴えていきます。


※本稿は以下文献を参考にしました。
稼ぐ人が実践している お金のPDCA(冨田和成)




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