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知的に怠惰な生活に堕することなく

サーバントリーダーシップ

という言葉をご存知でしょうか。以前読んだ本に出てきた言葉です。サーバントとは「召使い」の意。リーダーシップとは真逆の単語です。一体どういうことなのでしょうか?

サーバントリーダーシップの本質は「支援」 近年、年長者が会社や社会にもたらす貢献のあり方として提唱された概念です。日本独特の終身雇用制度に安住せず、知的に怠惰な生活に堕することなく学び続け、学んで得た結晶としての「叡智」を若い世代に広げるという姿勢。それが次世代のリーダーのあり方、サーバントリーダーシップのエッセンスです。

現代のように、知識や情報に容易にアクセスできるようになったのはここ十数年の話。しかしかつて「知識」「経験」「情報」は特定の人が多くを有することができた貴重な資源でした。いうまでもなく特定の人とは「年長者」のこと。大昔は「長老」的な人が村のすべてであり、その他大勢にとって長老が持つ稀有な「データベース」は、生きる道しるべでした。

年長者がコミュニティの、知のリーダーであるという歴史はおそらく何万年も続いてきたはずです。そんな規範を本能レベルで組み込まれてきた私たち。ところがこの価値観が薄れつつあるのは、情報の民主化が確立されたあたりからでしょうか。コミュニティ、村、会社、社会を存続させる重要なデータベースを持つ年長者の価値は、相対的に減少傾向にあるといって差し支えないでしょう。

このような状況下、つまり年長者だからというだけで、若者より優れているとは多くの人が考えなくなった時代において、年長者が組織や社会にもたらす貢献は何か?地位にかかわらず、他者に奉仕する。協力して目標を達成し、信頼関係を築き、部下の自主性を尊重する。部下の話を傾聴し、コーチングから部下と共に学び、個人のやる気を重視し、組織の成長と調和させながら、責任を明確にして、失敗から学ぶ環境を作ること。

環境変化に合わせた知識のアップデートを怠るような知的に怠惰な管理職の知識や経験は、すぐに腐って不良債権化します。腐った知識をもとに部下に指示を出して、その指示通りに部下が動けば、組織のパフォーマンスは低下するのは火を見るよりも明らか。リーダーは人格、見識、知識、経験において部下より優れていて、リーダーが指示を出し、部下は指示を実行するというモデルはもはや崩壊していると言っても過言ではないでしょう。

部下の状況を短時間で文脈ごと包括的に把握し(もしくはそのような姿勢を常に持ち)、困りごとの類型をすぐ発見できるたくさんのデータやエピソードを持ち合わせていること。対話を通して、部下のリアルタイムの不安や心配、希望や欲求を理解し、適切なタイミングで的確に発言できること。発言に対する部下の反応を見ながら微調整をくり返し、部下が納得、満足する最適解を掘り当てられる力量

そんな年長者になりたいと、「劣化するオッサンの社会の処方箋」を再読しながらいろいろ考えていました。

久保大輔




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