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「儲け話」は、理屈と、そうでない部分をわけて考える


会社は、しかるべき価値を、しかるべきお客さんにお届けする営み。その過程で、お客様にお金をお支払いいただくことで成り立っています。「戦略」は、そんなプロセスを可視化したもの。優れた戦略は聞く人を魅了し、楽しませるからこそ昔から私たちは「儲け話」なんて言葉を使っているんだと思います。つまり戦略とは、「面白いお話」をつくるということ。

戦略というお話は、事業や会社の活動を説明した設計図でもあります。設計図にはAというプランがあり、Bというプランがあって、Cというプランもある。それぞれの構成要素は、どのようにつながって、全体としてどう動くか。それぞれが個別に成立する静止画ではなく、それぞれが生き生きとつながり、流れるような動画になるからこそ、人を惹きつけるような「面白いお話」になります。

逆に言うと、戦略を構成するさまざまな打ち手が、ストーリーとして自然につながり、流れ、動かなければ、本質的な矛盾や欠陥があるということになります。戦略にかかわるすべての社員、そしてお客さんも含めて全員が魅力を感じ、興奮し、突き動かされるような面白さを感じ、全体の動きと流れを実感できることが儲け話の必須条件です。

戦略の構成要素がどのようにつながって、全体としてどのように動き、その結果何が起きるのか。戦略を構成する要素がかみあって、全体としてゴールに向かって動いていく動画。会社で起きるあらゆる活動はすべてつながっていると考えず、別々に分けて議論しても意味がありません。全体として自分の仕事はどこでどんな役割を担っているのかを意識することが大切です。

もちろん、優れた戦略、儲け話、面白い話が確実に利益を生むというわけではありません。顧客の心理はうつろいやすく、昨日の成功パターンが今日はまったく通用しないということも頻繁に起きます。直接的にコントロールすることはできず、環境の変化も考慮すれば未来のことなんて誰も分かりません。こういっては元も子もないですが、ビジネスは「やってみなければわからない」としか言いようがありません。

コントロールできる範囲は3割程度。戦略やマーケティングといった理屈でコントロールできる範囲はその程度です。ですが、理屈の範囲、輪郭がはっきりと見えている人は、「何が理屈ではないか」も当然のことながら把握できます。ここからは「気合と根性」という精神論的な範囲の境界線が見えている。逆に言うと、理屈を知らない人は全部気合で乗り切ろうとしてしまう。当たることもありますが、外れることも多く、非効率なのは言うまでもありません。

そういう意味では、当たりはずれは置いといて「優れた戦略を持つ」ことは意味がある、どころか会社の生命線といっても過言ではないでしょう。商売は理屈ではありません。ですが理屈が大事。禅問答のようですが、戦略をたてる、面白い話をつくるといった理屈は、やっぱり大事だと思います。

先ほどまで、サポーターと議論していました。クラブの戦略、「私たちは何をしようとしているのか」を明確に伝え、一緒に来場者をもてなす試み。面白い話を「共創」するにも理屈でどうにかなる部分と、理屈ではどうにもならない部分を切り分けて考えたい。理屈の輪郭を知ればできることが明らかになり、効率的で生産性の高い取り組みができるのではないかと思っています。

久保大輔




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