マネされない(マネできない)戦略の作り方(ガリバー編)
戦略!
について考えています。
参画中のオンラインサロンでは
サッカークラブの「戦略」について、
毎日頭をひねって、
インプット済みの情報を絞り出しつつ、
あたらしい情報を取り込んで、
何が競争優位の源泉となり、
そのつながりはどんな構成要素によって、
太く強く長く結びついているのか。
ひとつひとつの構成要素が
「非合理」にみえても、
全体としてつながると「合理性」をともなって
マネされにくくなる(というかマネできない)など、
戦略の基本を学び直しています。
■ガリバー
という中古車販売会社がありますが、
ここの戦略が秀逸で、
僕の大好きな著書
「ストーリーとしての競争戦略」
でも紹介されています。
今日は勉強のために、
ガリバーの戦略をまとめてみたいと思います。
■コンセプトは「買取専門」
中古車販売って、
中古車を「販売」することで利益を確保するのですが、
ガリバーは「買取」に軸足を置きました。
※「販売」をゼロにするわけではありません。
中古車って値崩れが早いのに、
いろんな変数があって
(車種、色、グレード、オプション、走行距離など)
それらにマッチするお客さん(個人の)
を見つけるのが大変。
要はめちゃくちゃ売れにくくて、
売れ残ったら(在庫の6割も!)
オークションに。
いわゆる「損切り」で
なんとかかんとか利益を確定させるようです。
(仕入れから2か月後ぐらい)
オークションは最終手段なんですね。
さらに展示スペースの家賃、在庫管理、
プロモーション、人件費など
膨大なコストがかかって
とにかく非効率な「販売」
なのでガリバーは、
「別に必死に売らんでええやん」と
関西弁だったかどうかはさておき、
潔く中古車販売の常識を捨て去りました。
ここが業界的には「非合理」
販売は非効率なのですが
利益幅が大きいから、
一般的には
「やめられない」
「おいしい営業」
なんだとか。
■お店をかかげず、
仕入れた中古車を
鮮度が高いうちにオークションへ。
ガリバーにとってオークションは
最終手段ではなくもっとも優先される場所。
オークション業界からしたら、
ガリバーが持ち込む在庫は希少性が高い。
だって一般的には
「売れ残り」しか集まらないからです。
言うまでもなくガリバーの仕入れは
きれい残らず全部売れてしまいます。
しかも、オークションでは
どんな車がどれぐらいの価格で売れるか、
そのデータが確認できるので、
データに基づいて買取価格を決められて
「高価買取」が実現される!
いわゆる後出しジャンケンなんですが、
それもこれも「買取」に特化したから可能になる成り行き。
買取価格は本社が
一括で査定、決定するのですが、
透明性があってブレもないので
お客さんからの信頼を獲得できます。
普通の中古車業界だったら、
営業マンの「さじ加減」で
買い取り価格が決められたりしてグレーです。
お客さんの情報劣位につけこんだ査定基準は
「買い叩き」にあうかもしれませんね。
現場での相対査定は
お客さんとの交渉や取引の文脈に依存
するので中古車業者が圧倒的に有利。
それを捨てちゃうって
なんて「非合理」で「非常識」なんでしょ?!
■戦略は
「うまくいけば売れるかもしれない!」
という甘っちょろい
楽観的な期待に寄りかかっていません。
論理的な確信があって
再現性もあって、戦術のつながりの数が多い。
一石で何鳥にもなる構成要素
があるのがガリバーの特徴です。
「買取専門」から出てくる
複数の構成要素が相補的につながっています。
「在庫保有期間極小」
「店舗持たない」
「本部一括査定」
上で紹介した構成要素は、
「コスト優位」
という競争優位を生みだします。
個々は「非合理」でも
それぞれがつながれば
全体としては「合理的」になる理屈、
すばらしいと思いました。
業界の非常識をつつがなく稼働させるために、
業界の玄人を排除、
素人を社員として採用したと
いう徹底ぶりも見事。
■開業当初は笑われたそう。
「うまくいくわけない」
と評価されてしまったのも
無理はありません。
業界的には非合理で非常識だらけ
(に映った)からです。
でもだからこそマネされなかった
という成り行きは、
強力な合理性の中核に
「やるべきではない」というライバルから見ると
「一見して非合理」がある
という二面性がカギになりました。
シンプルに否定ばかりして
「なんで??」と考えることのない
ライバル企業たちの
好奇心の欠如によって駆動したガリバーの戦略。
その道にくわしくなると
あまりにも盲目的に常識にすがるので
イノベーションを起こしにくくなる
というのはどうやら真実のようです。
■ガリバーに先見性があったかと言われれば、
「そうだけどそれだけじゃない」
ということは上にみるロジックで納得がいきます。
先見性に寄りかかってしまうと、
戦略はただのギャンブルと紙一重。
「なぜ?」を突き詰めていくと
非合理がつながって合理が浮かび上がります。
これからのサッカークラブでは
どんな戦略を立てるべきか?
「プロセス専門」
はひとつのクリティカルコア(戦略の中核)
になりうると思いました。
そんなこんなを毎日のように
議論しているのがこちらのオンラインサロン。
今日登録していただくと
一か月無料で閲覧できます。
結構いい学びが得られると思います。
興味ある方はぜひ。
今日も最後まで読んでくれて
ありがとうございました。
それではまた明日。
おつかれっした!
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