部分的に見ると「正解」でも、全体で見ると「不正解」になる理屈
おしゃれなソファー、
上品な音楽、センスあるライティング、
そして香り豊かなエスプレッソ。
マックをたたきながら
優雅に時を過ごすことができるスタバは
僕も大好きです。
マックが似合うような
シュッとした容姿ではありませんので
僕の場合はいつも手ぶら。
もしくは本一冊程度ですかね。
考え事をしたり、ぼーっとしたり。
ぜいたくに時間を使えるときは
好んでスタバに行きます。
基本、
何もせずダラダラ。
それが僕にとっての
スタバの使い方です。
■いつのことだったか、
イライラしながら腕をくんで
爪をトントンさせながら
キャラメルマキアートを待っている
とても急いでる風の熟女に出会いました。
ご存知の通り、
注文してからしっかりと時間をかけて
商品を提供するのがスタバスタイル。
眉間にしわをよせ、
鋭い眼光でロックオンされた店員はおそるおそる
「お待たせしました(汗)」
浅野温子よろしく(古)
ワンレンをかきあげて(古いって)
カップを奪取した熟女は
カツカツ音を立てて
無言でその場を立ち去りました。
■結構な確率で、
かの熟女はスタバを利用しなくなった
のではないでしょうか?
「失礼しちゃうわ!」
と言ったかどうかはさておき、
スタバに対する評価はおそらくネガティブ。
一部始終を観察していた
性格のわるい僕は
ニヤニヤしながらそんな想像をしつつ、
「でもそれでええんや」
と深くうなずいたし、
スタバ的にも「それでいいのだ!」
ときっぱり割り切る潔さは確かにあるはず。
でもどうでしょうか?
「オペレーションを見直して
お客さんを待たせないようにしたら」
という意見もあると思います。
スタバって結構
「?」なポイントが他にも多々あって、
価格がやたら高かったり、
禁煙だったり。
一日中いても何も言われないどころか
ケーキの試食を出してくれたりもする。
「もっといてくれてもいいっすよ」
って言われてるみたいで、
僕は安心して読書に集中できるわけです。
■部分合理性の陥穽(かんせい)にはまった。
そんな表現があります。
木を見て森を見ず、
とでもいいましょうか?
陥穽=わな
といった感じですかね。
「お客さんを待たせる」
ところだけ見ると完全にアウト。
価格を安くすれば
学生にも人気が出そう。
喫煙可にすれば
サラリーマン需要を満たせるかもしれません。
それぞれ部分的に見れば
全部、合理的で正しい(ように見える)
でもスタバがそれをやらない理由は
確固としてあり、
森を俯瞰したときに、
それら木の部分にあたる部分は
一見して非合理に見えるけど、
全体の文脈では強力な合理性を持つわけです。
重視したのは
ターゲット顧客がスタバを利用する文脈。
仕事や勉強など、
強いプレッシャーを受けて猛烈にがんばって、
疲れ果てて家に帰るんだけど
ちょっとその前に、
疲れたメンタルをいやす時間がほしい。
家が「第一の場所」
オフィスは「第二の場所」
そして「第三の場所」がスタバ
というストーリーはスタバの生命線です。
誰に対して何を提供するのかが明確で、
いろんな意思決定をするときの
「立ち返る場所」
迷いがなくなって
決断の背中を押してくれるコンセプト。
それが「第三の場所」です。
■つまり、
急いでいる人のために
オペレーションを変える理由は
実はどこにもありません。
そもそも店員のスピードは
それほど遅くなくて、
むしろてきぱきと無駄なく、
ただし「工程」が多いので
多少時間はかかるけど、というぐらい。
それが我慢ならない人は
「お引き取り願います」
忙しい人には
「あえて」嫌われる選択
をしているんだと思います。
禁煙にした時点で
サラリーマンの多くを犠牲に、
価格が高いから学生は来ない。
でも「第三の場所」という
空間と時間を提供しようとすると、
確信をもって決断できます。
僕だってコーヒーが100円だったら
うれしいに決まってます。
でも静かな場所で
ゆっくりと考え事をしたいから、
そのお代として+200円を出して
スタバにいくわけです。
時間を空間を買うために
200円を支払っているという理屈です。
■こうやって
スタバを
丸ハダカにしてしまうと、
言行一致の「一貫性」がかっこよく、
魅力的に思えてきませんか?
「お客さまは神様です!」
という昭和ちっくな掛け声は
スタバのオフィスからは聞こえてきません。
(入ったことないけど)
忙しい人やサラリーマンや学生
を否定しているわけではもちろんなく、
サラリーマンでも学生でも、
急いでいる人でももちろん
お店に来ていただいてもいいわけです。
ただ、窮屈に感じたり、
イライラしたりして落ち着かないんだったら
「ムリして来ない方がいいかもしれません」
という極めて丁重な態度
を醸し出している。
そしてその潔いスタンスこそが、
僕のようなスタバファンにとって
いつきても同じ居心地のよさ、
「あ~やっぱり間違いないわ」
という感想が積み重なり、
「信頼」に昇華されていって
世界中の「+200円」が集まり
その先に巨大な利益となって
スタバの業績を支えている
といった成り行きでしょうか。
ベストプラクティスと称される所以。
それは明確なストーリーと一貫性
にあると僕は踏んでいます。
リーダー的な方や
組織をまとめる立場にある方、
経営者の方にとってすれば
みなまでいう話ではありませんでしたが、
あくまでも備忘、
そして自戒を込めてまとめてみました。
今日も最後まで読んでくれて
ありがとうございます!
それではまた明日。
おつかれっした!
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