異分野に飛び込む話

共同研究でやった内容で学会発表に応募したら採用していただいた。ありがたい話である。そして異分野のセッションに放り込まれてしまった。恐ろしい話である。

自分の得意なことと誰かの得意なことを合わせて研究を広げるのは、うまく行くと相乗効果が生まれる。自分の分野だともう共同研究ベースが半分以上なのではないかと思うし、たいへん良いことだと思う。人付き合いしないといけないけれど。著者が師弟二人の論文だとか、ましてや単著だとかはかなり珍しい。それはそうとして、技法+分野の組み合わせをやると思わぬ異分野に飛び込むことがある。今回がそうである。論文を書いたからにはそれなりに勉強したけれど、学会発表となると専門家から思わぬ質問が来るやもしれない。なのでもっと勉強せねばならない。勉強するのが嫌いなのでこういう機会がないとやらない。ある意味で自分を追い込んで機会を作ったとも言える。

遺伝学をやるとこういう機会がわりとある。順遺伝学なら表現型の責任変異をマッピングしたところで全然知らなかった遺伝子にたどり着く。付け焼き刃で勉強する。逆遺伝学でもノックアウトを作ってみたところ思わぬ組織に表現型が出たりして、付け焼き刃でその現象であったり機能の勉強をする。知ってましたが何か?ぐらいの顔をして進捗報告に出す。当然ラボの他のメンバーは自分よりさらに知らなかったりするので自然とラボ内の第一人者みたいな扱いになる。なんとか取り繕いつつハリボテの知識で論文にこぎつける。おかげでゆるゆると自分の引き出しが増えていく。

そういえば師事してきたボスとかは何かと色んな分野に知識があったなと思うけれど、みんなこうやって広げていったんじゃないかなと思ったりもする。そういうわけで今回も付け焼き刃の知識を増やしつつ3分間の質疑に耐えられる程度の鎧を装備する。


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