直立する卵の話
From 安永周平
「コロンブスの卵」の話は有名なので、既にあなたもご存知でしょう。クリストファー・コロンブスは新大陸を発見し、帰還した後、スポンサーであったスペイン女王イザベル一世の晩餐会に招かれました。ところが、その席でコロンブスは、彼の功績を妬んだ招待客から難癖をつけられました。
「あなたがやったことは大した事ではない。ただ西へ西へと船を走らせ、新しい土地を見つけただけではないか」
するとコロンブスは、食卓の上にあった卵を差し出し「立てて見せてくれないか」といいました。意地悪な客は「よし」と応じましたが、楕円球形の卵をテーブルの上に立てることなどできませんでした。他の人たちも次々に挑戦してみたものの、卵はやはり立ちません。ところが、コロンブスはこの卵を立てることができたのです。
どうやって卵を立てたのか?
コロンブスは黙って卵の底を割り、立てて見せました。そして、あっけにとられて「それなら、誰だってできるではないか」と憤慨する招待客たちに向かって、こう言いました。
「私が新大陸発見でやったことはこれと同じだ。誰かが成功してしまえば、それはあまりに簡単に見える。しかし、それが誰かによって成し遂げられるまでは、他のだれもそれができるとは思わない」
そう、誰かが達成した後には当たり前のように見えますが、その前には到底不可能と思えることが世の中にはあります。「創造」とか「イノベーション」と呼ばれているものの中には、意外とこうしたものが多いのです。新たなビジネスモデルの構築とか…完成したものを理解するだけなら簡単です。でも、最初にそれを成し遂げるのは大変なんですね。
スタバが日本で成功するなんて…
スタバが初めて日本に上陸した時、成功すると思った人がどれだけいたでしょうか? 喫茶店文化が根づいている日本では、スタバのような店はウケないと思った人も多かったでしょう。しかし、1996年の8月2日に1号店が東京・銀座にオープンしてから20年以上…今やスタバの国内の店舗は1300店を超えています。
最近は「クラウドファンディング」が当たり前のようになってきましたが、あれも少し前までは世の中に無かった仕組みでしょう。今では多くの人が使っている(当たっている)から「なんだ、そうか」と思うのです。でも、誰かがやるまでは、他の誰も思いつかなかった…そう考えると、最初に始めた人の勇気とリーダーシップはやはり称えられてしかるべきではないでしょうか。
物事の「認識力」と「解像度」
少し話は変わりますが、以前、僕は本当に自分の未熟さを感じる出来事がありました。尊敬する経営者の方々と話をしていた時のことなんですが、話の中で「同じ情報」を得ているはずなのに、その情報を「どう認識しているか」が全く違うのです。明らかに僕の理解は浅い、表面的、その情報の背景を知らない。だから、物事を「点」でしか見ることしかできない。
同じ世界を見ているはずなのに、世の中に対する”認識力”が全く違うんです。その経営者の方の言葉を借りれば、世の中を見ている「解像度」が違うのだと。たとえば、分かりやすい例で言えば、政治家の汚職事件をマスコミが報道したのを見て、単に「許せない」「辞めろ!」「金返せ」と思う。これは、世の中に対する解像度が低い状態です。
そうではなく、歴史や政治的な背景を学び「こうした業界の構造や人間力学が働いているからこんな事件が起こる」と認識するのが「解像度」が高い状態です。時代背景を勉強し、物事を”点”ではなく”立体的に”理解することで、世の中を見る解像度を上げることができます。それは、物事の「認識力」の向上につながります。
認識力によって判断が変わる
重要なのは、この認識力によって「意思決定」が変わるということです。そして、リーダーの立場にいる人が意思決定を間違えば、それはそのチームは間違った方向に進んでしまうことを意味します。たとえば、あなたがある会社の株を買ったとします。しかし、「1ヶ月後にその会社が倒産する」という情報を得ていたら、株を買ったりはしなかったでしょう。
まぁ普通はそんな倒産情報は入ってきません。しかし、仮にその会社の経営者の記事や書籍を読んで、時代の流れと照らし合わせて「どうも危険な方向に進んでいるな…」と感じたら、株を買わない判断をするのではないでしょうか。こうした判断ができるかどうかは、その人の「認識力」によって変わるはずです。リーダーの立場にいる人ほどこの能力が問われます。きっとコロンブスも、この能力が高かったのではないでしょうか。
一流の人から学ぶことの大切さ
ですから、僕らも重要な意思決定において判断を間違わないようにすることが大切です。適切な情報に触れ、その情報に対する認識度を上げたうえで意思決定を行い、チームを率いていかなければいけません。そのためには具体的にどうすればいいのでしょうか。もちろん、これに対する答えは1つではないでしょう。
僕が考える1つの答えは「一流の人と出逢い、彼ら彼女らから学び、影響を受けること」です。独学だけでは気付かないこと、言われて初めて気付くことが世の中にはたくさんあります。世の中を見る「解像度」や物事への「認識力」なんて、まさにその最たる例だと思います。一流の人たちから学び、影響を受けることで自分が成長する…実はこれが1番カンタンな方法だと個人的には思っています。
PS
紹介でビジネスを成長させるにも、一流の人から学ぶことが大切でしょう。
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