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バンド・アーティストのリリースはどのように行うのがいい?ディストリビューションサービスでの自主リリースとレーベル委託を徹底比較!

音源のリリースを予定しているものの、事務所やレーベルに所属しておらず、「誰に頼めばいいかわからない…」と悩むバンド・アーティストの方も多いのではないでしょうか?

現代はApple MusicやSpotifyをはじめとした各種サブスクリプションサービスの普及により、多くのアーティストが配信で音源をリリースしています。

音源配信代行サービス(ディストリビューションサービス)は、会社によって配信にかかる手数料や利益率も異なるため、慎重に検討する必要があります。

また、自分たちで配信をするのではなく、レコードレーベルに音源配信を委託することにどのようなメリットがあるのか気になっている方もいるはず。

本記事では、インディーズ・アマチュアで活動しているアーティストが、音源を配信でリリースする方法やそれぞれの手段のメリット・デメリットを詳しく解説していきます。


音源をリリースする方法

自作音源を配信リリースする方法は、おおまかに以下の2つに分けられます。

①自分たちでディストリビューションサービスを利用して配信する
②レコードレーベルに委託する

それぞれの方法について、代表的なサービスを比較しながら簡単に紹介していきます。


①自分たちでディストリビューションサービスを利用して配信する

配信で音源をリリースする際には、まずは自分たちでディストリビューション(音源配信代行)サービスを利用して配信することを検討するべきでしょう。

ディストリビューションサービスとは、音源やジャケット写真など、必要情報を申請することで、Apple MusicやSpotifyなどのサブスクで音楽を配信できるサービスのことです。

各ディストリビューションサービスごとに、配信にかかる手数料や再生数ごとの収益還元率が異なるため、自分たちの活動方針や予算に合わせて適切な会社を選択しましょう。

ここでは、代表的なサービスをいくつか紹介していきます。

BIG UP!

BIG UP!は、エイベックスが運営する音楽ディストリビューションサービスで、日本国内外の主要な音楽ストアやストリーミングプラットフォームへの配信をサポートしています。

シンプルな料金体系が特徴で、基本的に初期費用や配信手数料はかからず、ストリーミングで再生された収益の30%を手数料として引かれた残りの70%がアーティストに還元されます。

Apple Musicなど各サブスクの1再生あたりの収益は0.8~1円程度なので、1再生あたり0.5~0.7円程度の収益が見込めるでしょう。

さらに、配信楽曲のプロモーションやフィーチャーの機会も提供されるため、特に日本市場に強い影響力を持つ点が魅力です。

また、初心者にも分かりやすい操作性やサポート体制が整っており、アマチュアミュージシャンにとって利用しやすいサービスともいえます。

TuneCore JAPAN

TuneCore JAPANは、世界中の主要音楽プラットフォームへの配信を可能にするディストリビューションサービスです。

配信する作品ごとに、シングルだと約1,500円、アルバムだと約5,000円の年間利用料が必要ですが、収益の100%がアーティストに還元されます。

配信先はApple Music、Spotify、Amazon Musicなど多岐にわたり、日本市場だけでなくグローバルに音楽を届けたいアーティストに適しています。

また、アナリティクスやレポート機能が充実しており、リスナーの動向を把握しやすい点も魅力です。

Frekul

Frekulは、株式会社ワールドスケープが運営する日本国内向けの音楽ディストリビューションサービスです。

配信手数料は無料で、収益の60%がアーティストに還元されます。

配信先は主に国内のストリーミングサービスが中心で、有料でJOYSOUNDカラオケへの配信も可能であり、特に日本国内での認知度向上をめざすアーティストにおすすめです。

また、楽曲の登録や管理などはバーチャルアバターとの会話形式で行え、初心者にとって使いやすい点もメリットです。

LANDR

LANDRは、カナダ発の音楽ディストリビューションサービスで、配信先は世界中の主要ストリーミングプラットフォームに対応しています。

年間約6700円のStandard Planであれば、無制限のリリースが可能で、収益の100%がアーティストに還元されます。

音源制作ソフトのプラグインやプロモーションツールも揃えている点が特徴で、音源制作から配信までトータルなサポートを求めるアーティストに適しているといえます。

また、申請から楽曲配信開始まで最短2営業日と迅速な対応も魅力です。


②レコードレーベルに委託する

ディストリビューションサービスの中には、レコードレーベルが運営しているものもあります。

レコードレーベルのディストリビューションサービスは、配信にあたって審査が必要である一方、プロモーションなどに強く協力してくれるというメリットがあります。

レコードレーベルに委託というと、事務所にデモを送付して、審査に通れば音源を一緒に作るというイメージを持たれている方も多いかもしれません。

しかし、サブスクリプションが普及している現代では、以下で紹介するようなレコードレーベル運営のディストリビューションサービスの利用を検討するのがおすすめです。

FRIENDSHIP.

FRIENDSHIP.は、ライブハウスやクラブシーンなど音楽現場の前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信している日本のディストリビューションサービスで、インディーズアーティストや新人ミュージシャンに特化しています。

FRIENDSHIP.の特徴は、配信のみならず、アーティストのプロモーションやブランディングにも力を入れている点です。

PRやマーケティングのサポート、プレイリストへの掲載など、幅広いプロモーション手段を提供しています。

また、アーティストごとの専任担当者がつき、戦略的なアドバイスやサポートを受けられるため、初めてのリリースでも安心して進められます。

early Reflection

early Reflectionは、ポニーキャニオンが運営するディストリビューションサービスで、特に自主制作のアーティストやインディーズバンドに焦点を当てています。

early Reflectionは、配信のみならず、マスタリングやミキシングなどの音楽制作支援サービスも提供しており、クオリティの高い音源制作をサポートします。

さらに、アーティストの成長をサポートするためのマーケティングやプロモーションも行っており、アーティストが自分の音楽を効果的に広めるための総合的なサポート体制が整っています。

AWAL

AWAL(Artists Without A Label)は、インディーズアーティスト向けのグローバルな音楽ディストリビューションサービスで、Kobalt Music Groupの一部として運営されています。

AWALは、データ分析に基づいた戦略的なプロモーションサポートや、グローバルな配信ネットワークを活用した広範なリーチが可能な点が特徴です。

さらに、アーティストごとの専任マネージャーが付き、キャリアの成長をサポートします。

プレイリストへの追加やメディア露出、ライブブッキングなど、多岐にわたるサポートを提供しており、プロフェッショナルな環境で活動を広げたいアーティストに最適です。


ディストリビューションサービスで自分たちで配信する場合の特徴

ここでは、自分たちでディストリビューションサービスを選択して配信する場合のメリット・デメリットを紹介していきます。

メリット①:費用を抑えられる

ディストリビューションサービスの中には、年間手数料や初期費用がかからないサービスも多く、費用を抑えられるというメリットがあります。

CDやレコードなどのフィジカル製品を制作するには、プレス代やジャケットおよび盤面のデザイン費用などがかかり、出費が大きくなります。

費用をかけずに、手軽に音源をファンの元に届けられるのは、ディストリビューションサービスを利用しての音源配信の大きなメリットといえるでしょう。

メリット②:自分たちのスケジュールでリリースができる

自分たちでディストリビューションサービスを利用して配信すれば、自分たちの活動ペースに合わせたスケジュールでリリースが可能です。

レコードレーベルに委託して配信してもらったり、配信にあたって審査を通らなくてはいけないサービスだと、なかなか自分たちの望むタイミングでの配信はしづらいものです。

その点、ディストリビューションサービスを利用すれば、音源リリースに向けてPR映像を制作したり、リリースに合わせたイベント開催を企画するなど、計画的にリリースを進めやすくなるでしょう。

メリット③:収益率が高い

自分たちでディストリビューションサービスを利用して配信すれば、Apple MusicやSpotifyなどから得られる配信収益の多くを自分たちで受け取れます。

ディストリビューションサービスによって収益率は異なりますが、年間手数料がかかる代わりに収益還元率100%のサービスも多く存在します。

YoutubeやSNSなど音源以外の部分でファンを多く獲得しており、音源配信による反響が多く期待できる場合などは、収益率の高さから自分たちでディストリビューションサービスを選んで配信するのが効果的でしょう。

デメリット①:自分たちでプロモーションをしなくてはいけない

自分たちでディストリビューションサービスを利用して音源を配信リリースする場合は、SNS上のプロモーションなども自分たちで行わなくてはいけません。

多くのファンに楽曲を届けるためには、リリースに向けて継続的に告知をし続けたり、WEB媒体などに宣伝を依頼するなどの努力が必要になるでしょう。

デメリット②:プレイリストに入りづらい

配信で音源をリリースする上で、Apple Musicなどの公式プレイリストに楽曲が入ることは再生数の増加が見込める大きなメリットです。

ただし、レーベルなどのプロモーション協力が受けられない自主リリースの場合は、プレイリストに楽曲が入ることは難しく、デジタル配信ならではの恩恵を感じづらいと言えます。


レコードレーベルに委託する場合の特徴

レコードレーベル運営のディストリビューションサービスを利用したり、レコードレーベルに配信を委託する場合のメリット・デメリットについても触れていきましょう。

メリット①:プロモーションをしてもらえる

レコードレーベルから音源を配信することの強みは、なんといっても音源のプロモーションをしてもらえる点です。

レーベルの担当者と関係性が築ければ、一回のリリースだけで終わらず、今後の活動方針やライブブッキングなどに関しても、アドバイスやサポートを受けられる可能性も高まります。

メリット②:プレイリストに入りやすく再生数が伸びやすい

FRIENDSHIP.やearly Reflectionなどのようにレーベル運営のディストリビューションサービスで配信すると、公式プレイリストにも入りやすくなります。

プレイリストは世界中多くの方が聞いているため、通常の配信ではなかなか届かない層にもリーチでき、新規ファンの獲得につながる可能性が高いでしょう。

デメリット①:審査があるため誰でも利用できるわけではない

レコードレーベルへの委託は、手数料さえ支払えば誰でも配信できるというわけではありません。

レーベルの担当者は、音源のクオリティや活動の実態など、さまざまな要素から総合的に審査をしたうえで、配信をしてもらえるかどうか決定します。

当然審査に通らなければ配信はしてもらえないため、自信を持って売り出せる音源が出来てから申し込みましょう。

審査にどの程度の期間を要するかは公表されていないケースも多く、レコードレーベルへの配信委託を行う場合はスケジュールに余裕を持って申し込む必要があることも覚えておきましょう。


まとめ

レコードレーベル運営のディストリビューションサービスは、配信におけるプロモーション力が強く再生数の増加や新規ファンの獲得に繋がりやすい一方、審査があるため気軽に利用するのは難しいかもしれません。

そのため、まずは自分たちでディストリビューションサービスを利用をして費用をかけずに配信をして、二作目以降で自信を持って世の中に発信できる音源が出来た際に、レーベルの審査に出してみるのが良いでしょう。

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