第7章 ケーススタディと実践

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第7章 ケーススタディと実践

ファシリテーションの技術を実際に応用するためには、具体的なケーススタディや練習問題を通じて実践的な経験を積むことが重要です。この章では、実際のケーススタディを詳しく解説し、それに基づいた練習問題やワークショップの方法を紹介します。

7.1 実際のケーススタディ

ケーススタディは、実際の問題や状況を題材にして、ファシリテーションの技術をどのように適用するかを学ぶための効果的な方法です。以下にいくつかの具体例を紹介します。

7.1.1 ITプロジェクトのトラブルシューティング

背景: あるITプロジェクトでは、納期が迫る中で進捗が遅れており、チーム内でのコミュニケーション不足が問題となっていました。
ファシリテーターの役割:

  • 状況把握: チームメンバーとの個別インタビューを通じて、遅延の原因とコミュニケーションの問題点を明確化。

  • ワークショップの実施: チーム全員が参加するワークショップを開催し、問題解決のためのブレインストーミングを実施。

  • 解決策の立案と実行: 合意された解決策(例:定期的な進捗報告会の導入、コミュニケーションツールの統一)を実行し、その後のフォローアップを行う。

7.1.2 教育現場でのグループディスカッション

背景: 大学の授業で、学生が主体的に参加するグループディスカッションの場を設けたいという要望がありました。
ファシリテーターの役割:

  • 目標設定: ディスカッションの目標を明確化し、学生がどのような成果を得ることを期待するかを定義。

  • ディスカッションガイドラインの作成: 学生がスムーズにディスカッションを進めるためのガイドラインやルールを策定。

  • サポートとフィードバック: ディスカッションの進行中にサポートを行い、終了後にフィードバックを提供する。

7.1.3 医療現場でのチーム医療の推進

背景: 病院でのチーム医療の効果を高めるために、異なる専門職が協力して患者ケアを行う必要がありました。
ファシリテーターの役割:

  • 多職種カンファレンスの開催: 定期的なカンファレンスを開催し、情報共有と協力を促進。

  • 患者中心のアプローチの導入: 患者やその家族の意見を取り入れるためのワークショップを実施。

  • フィードバックループの構築: チーム医療の進行状況をモニタリングし、継続的な改善を行うためのフィードバックループを構築。

コラム: ケーススタディから学ぶ

「成功するファシリテーションの秘訣は、問題の本質を見極め、適切な技術とツールを用いて解決策を導くことです。多くの成功事例を学ぶことで、自分のファシリテーションスキルを向上させることができます。」

7.2 練習問題とワークショップ

ファシリテーションのスキルを磨くためには、実践的な練習問題やワークショップが効果的です。以下にいくつかの具体例を紹介します。

7.2.1 練習問題

問題1: 意見の対立の解決

  • シナリオ: チーム内で新製品のデザインについて意見が対立している。

  • タスク: ファシリテーターとして、どのように対立を解決し、全員が納得する解決策を導くかを考え、行動計画を作成する。

問題2: 効果的なブレインストーミングの進行

  • シナリオ: 新しいマーケティングキャンペーンのアイデアを出すためのブレインストーミングセッションを進行する。

  • タスク: ブレインストーミングを効果的に進行するためのステップを計画し、予想される課題とその対策を考える。

7.2.2 ワークショップ

ワークショップ1: 問題解決プロセスの実践

  • 目的: 問題解決のプロセスを実践的に学ぶ。

  • 内容:

    • 問題の特定と定義

    • 根本原因の分析

    • 解決策の立案と評価

    • 行動計画の策定と実行

  • 実施方法: 実際の問題を題材にして、参加者がグループに分かれて問題解決プロセスを実践します。ファシリテーターは進行をサポートし、必要に応じてアドバイスを提供します。

ワークショップ2: コンフリクトマネジメントのシミュレーション

  • 目的: コンフリクトマネジメントの技術を身につける。

  • 内容:

    • コンフリクトの種類と原因の理解

    • コンフリクト解決のためのアプローチ

    • 実践的なシミュレーション

  • 実施方法: 参加者がペアや小グループに分かれ、コンフリクトシナリオを演じながら解決策を考えます。ファシリテーターは観察し、フィードバックを提供します。

コラム: ワークショップの成功事例

ある企業では、定期的なファシリテーションワークショップを導入し、社員の問題解決能力とチームワークを向上させました。特に、コンフリクトマネジメントのシミュレーションが効果的で、実際の業務でも対立が減少し、生産性が向上しました。

まとめ

ファシリテーションのスキルを実践的に身につけるためには、具体的なケーススタディや練習問題、ワークショップを通じて経験を積むことが重要です。これにより、理論を実践に移し、現実の問題に対処する能力を高めることができます。次章では、ファシリテーションの極意について詳しく解説します。

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