第2章 ファシリテーションの技法

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第2章 ファシリテーションの技法

ファシリテーションの技法は、会議やワークショップを効果的に進行し、参加者全員の意見を引き出すための具体的な手法です。この章では、アイスブレイキング、ブレインストーミング、意思決定の手法について詳しく解説します。

2.1 アイスブレイキング

アイスブレイキングは、会議やワークショップの冒頭で行うことで、参加者同士の緊張をほぐし、リラックスした雰囲気を作るための活動です。効果的なアイスブレイキングを行うことで、参加者の関与を高め、コミュニケーションを円滑にします。

2.1.1 アイスブレイキングの種類

  • 自己紹介ゲーム: 参加者が自己紹介をしながら、他の参加者についても学べるゲームです。例えば、「名前と好きな食べ物」を紹介するなど、シンプルな形式で行います。

  • 共通点探し: グループに分かれて共通点を見つける活動です。共通点が多いほどチームの一体感が増します。

  • ユニークな事実: 各参加者が自分に関するユニークな事実を一つ共有し、それについて他の参加者が質問する時間を設けます。

2.1.2 アイスブレイキングの効果

  • 信頼関係の構築: 参加者同士が互いに知り合い、信頼関係を築くきっかけになります。

  • リラックスした雰囲気の醸成: 緊張をほぐし、リラックスした雰囲気を作ることで、議論が活発になります。

  • コミュニケーションの促進: 参加者同士のコミュニケーションが促進され、以後の活動がスムーズに進行します。

コラム: 世界のユニークなファシリテーション技法

イタリアのオープンスペース技法、アフリカのパルクール会議など、世界各地の独自の技法を紹介します。これらの技法は、文化的背景や社会的文脈に応じて発展しており、多様なファシリテーションの方法を学ぶことで、新しい視点やアイデアを得ることができます。

2.2 ブレインストーミング

ブレインストーミングは、創造的なアイディアを引き出すための技法で、参加者が自由に発言できる環境を提供します。評価や批判を排除し、思考を広げることが目的です。

2.2.1 ブレインストーミングのステップ

  • 準備: 明確なテーマや問題を設定し、参加者に事前に共有します。必要な資料や情報を事前に用意します。

  • 発散: 各参加者が思いついたアイディアを次々と出していきます。この段階では、量を重視し、質や実現可能性は後で評価します。

  • 収束: 出されたアイディアをカテゴリーごとに整理し、最も有望なアイディアを選び出します。

2.2.2 成功のポイント

  • 自由な発言を促す: 批判や評価を避け、全員が自由に発言できる環境を整えます。ファシリテーターは参加者がリラックスして発言できるようにサポートします。

  • 時間制限: 一定の時間内にアイディアを出し切ることで、集中力を高めます。時間が限られていることで、参加者が積極的に発言しやすくなります。

  • ビジュアルの活用: ホワイトボードや付箋を使って視覚的にアイディアを整理すると、議論が活性化します。視覚的な情報は参加者の理解を助け、議論の流れを把握しやすくします。

2.2.3 ブレインストーミングの効果

  • 創造性の促進: 制約を取り払うことで、自由な発想が生まれやすくなります。参加者が思いもよらないアイディアを提案することができます。

  • チームの一体感: 全員がアイディアを出し合うことで、チームの連帯感が高まります。共通の目標に向かって協力する姿勢が強化されます。

  • 迅速な意思決定: 多くのアイディアが短時間で出されるため、意思決定が迅速に行われます。選択肢が多いことで、最良の解決策を見つけやすくなります。

2.3 意思決定の手法

意思決定の手法は、グループでの合意形成をスムーズに進めるための技法です。以下に代表的な手法を紹介します。

2.3.1 コンセンサスビルディング

コンセンサスビルディングは、全員が納得する決定を目指す手法です。合意形成のプロセスを通じて、参加者全員が決定に対して責任を持ち、実行に移しやすくなります。

  • 意見交換: 各参加者が自分の意見を表明し、他の意見にも耳を傾けます。意見の相違点と共通点を明確にします。

  • 調整: 異なる意見を調整し、共通の合意点を見つけるプロセスを行います。ファシリテーターは、妥協点や折衷案を提案する役割を担います。

  • 確認: 最終的な合意内容を全員で確認し、全員の了承を得ます。合意が得られたことを明文化し、全員が納得できる形にします。

2.3.2 多数決

多数決は、意見が分かれた場合に最も多くの支持を得た意見を採用する方法です。迅速な決定が求められる場面で効果的ですが、少数意見が反映されにくい欠点もあります。

  • 議論: 各意見について十分に議論し、利点と欠点を洗い出します。議論を通じて、全員が十分な情報を持って意思決定に参加できるようにします。

  • 投票: 各参加者が一票を投じ、最も支持を得た意見を採用します。投票の結果を公正に集計し、結果を全員に共有します。

  • 結果の受け入れ: 少数意見の参加者も結果を受け入れるよう、フォローアップを行います。ファシリテーターは、少数意見に対する配慮とサポートを提供します。

2.3.3 意思決定手法の効果

  • 迅速な意思決定: 多数決などの方法を用いることで、迅速に意思決定を行うことができます。緊急性の高い状況や、短時間で決定を下す必要がある場面で効果的です。

  • 合意形成の促進: コンセンサスビルディングにより、全員が納得する形で意思決定を行うことができます。これにより、実行段階での抵抗が減少し、スムーズに進行します。

  • 多様な視点の取り入れ: 様々な意見を取り入れることで、意思決定の質が向上し、よりバランスの取れた結論を導き出すことができます。

コラム: 世界の意思決定手法の比較

例えば、スウェーデンの「フィーカ」文化では、コーヒーブレイクの間に意見交換が行われることが多く、自然な合意形成が図られます。一方、日本の「根回し」文化では、事前の非公式な話し合いを通じて合意形成を進めることが一般的です。これらの文化的背景に基づく意思決定手法を理解することで、異なる状況や文化に応じた適切な方法を選択できます。

まとめ

ファシリテーションの技法は、参加者全員が積極的に関与し、最良の結果を導くための重要なツールです。アイスブレイキングで緊張をほぐし、ブレインストーミングで創造的なアイディアを引き出し、意思決定手法で合意形成を促進することで、効果的なファシリテーションを実現できます。次章では、これらの技法を支えるコミュニケーションの技術について詳しく解説します

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