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王冠の舞台少女、星の舞台少女

私の記事を読んで下さる方なら、このタイトルですぐ気付いてくれると思います。またしても「劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライト」のお話であるのは当たり前で、今回はその中でも愛城華恋と神楽ひかりの二人に関して主に私の妄想を語らせて頂きたいと思います。

スタァライトが好きな皆さんの殆どがそうだと思いますが、スタァライトは今まで数えるのが無意味なくらい見て見て見てしまったアニメなのに、不思議にも見る度にキャラクターの解像度が高くなる底知れなくて恐ろしい作品です。劇スは多くのファンから人間としての愛城華恋が描かれるお話だと言われてますが、私もそう考えてる一人です。この映画を通して華恋の解像度がFullHDから4K HDR映像並みに変わってると言っても過言ではありません。

劇スはお話の中でずっと聖者、即ち華恋は人間だったと観客に話しています。で、逆にTVアニメまでの愛城華恋は『運命の相手と再会する事で情熱を取り戻し、それからは約束の為に真っ直ぐ、絶対諦めず、倒れても立ち上がり、ブレない、主人公そのもの、人間味のなかった』とも言われています。それが劇スでは華恋も悩みを抱えている一人のただの人間だったと言う解釈です。概ね頷けるお話ですが私見そもそも華恋は最初から完全無欠な超人ではなかったと思います。聖者などの偉い肩書よりは、おっちょこちょい主人公らしい主人公キャラだと思っていました。初登場から寝坊するし、生活前半まひるに迷惑かけてる事も想像つくし、髪留めなしにはちゃんと喋る事も出来ないし。典型的とも言える、ちょっとおばかさんの主人公として描かれてました。そのようなキャラクター特有の親近感も備えていたんです。まるで身近にいるような、観客でしかない私の隣で一緒に笑い合ってる友達のような親近感です。でも人間としての愛城華恋を見せてくれた劇スからはどうやら消えてました。人間の華恋は、私に友達ではなかったんです。

華恋は5歳の時から劇団に入り、クラシックバレエを始めに声楽、モダンダンス、ジャズダンスを学び、小学生の頃にはもう主演に抜擢され、ずっと演者の道を歩いてきた、走ってきた人です。5歳からです。私は5歳の時、ロボットアニメを見てるだけでしたよ。それどころか小学校に入ってからも別に話せる事なんて何もありません。私は華恋は勿論、聖翔音楽学園の舞台少女たちとは遥かに遠い人生を生きてました。劇場版スタァライトから知ってしまったんです。
「本当は知ってた」
敢えて考えなかっただけですよね、華恋は普通の生き方なんてしてないって事。本当は作中でも実力があって誰もが凄いと認識してる真矢とやクロディーヌに限る話ではなかったんです。彼女達は皆、言わばエリートに当たる者達でしょう。日本全国60万の同い年の少女たちの中で、たっだ30人しか入れない倍率30倍の聖翔音楽学園に入学出来た人材達だと既にわかっていた筈なのに、華恋の性格や人間性の柔らかさだけを見ていた私は、そういう事に目を背け頭の中から消しました。ですが私なんかが忘れるだろうがなんだろうが、愛城華恋が選んで走って来た人生の道は、それはもう王者になる道です。
はい、華恋は「王冠の舞台少女」なんです。

王冠は王者の物、舞台の主役で、主人公で、舞台のセンター、ポジションゼロに立つ者の象徴。華恋はそんな人間になりたくて頑張って来たんでしょう。それは何故?それは、ひかりちゃんとの約束があったからです。華恋は自分でそう言ってました。では華恋は、いつから王冠の似合う少女と生まれ変わったのでしょうか?

王冠を選んだのはひかり、星を選んだのは華恋(8話)

5歳の時、スタァになって舞台の上で再開するまでの、何時までになるか誰も知らない別れが決まった時、二人は髪留めを買って運命のチケットとして交換しました。華恋が何時も着けていた王冠の髪留めを選んだのはひかりです。

劇場版スタァライトを観た最初から私はずっと思ってました。「華恋、大人過ぎる」って。TVAの姿では全然想像出来ない幼い頃ですよね。8話で描かれた二人の子供の頃でも、華恋はちょっと泣き虫な性格なだけで、それでも5歳の時なら普通そうよねってくらいの、現在の華恋から想像出来るくらいの子供でしたから。でも映画での華恋はどう見ても引っ込み思案で内気な子でした。お母さんの後ろに、幼稚園の先生の後ろに隠れ、不器用で、仲良くなっても友達に合わせるだけで、自分がしたい事なんてわからない、周りに合わせるだけの子。劇スを観る前まで知っていた華恋とは全然違います。観客が知っていた華恋はもっとこう、文字通り「主人公」してた子です。「王冠」の似合う少女です。それで私はこう思いました。華恋は「ひかりちゃんがくれた、この王冠に似合う人になろう」って決めたんじゃないかな?と。

また上の画像に戻って見ましょう。二人は東京タワーで「運命の舞台のチケット」を交換しました。華恋はひかりの為に、ひかりは華恋の為に選んだチケットをです。二人は所詮5歳しかなってない子供。お互いの為だと考えても、自分の好みで選んじゃうものではないでしょうか?自分が一番いいと思ったものをプレゼントしたって何も変な事はありません。だから私はどうしても二人が本当に好きなものは「華恋は星」「ひかりは王冠」だったのではないかと考えてしまいます。

幼い頃の華恋と、ひかりと運命のチケットを交換した後の華恋は本当に別人になっています。内気で引っ込み思案の華恋から、劇団の主役に。髪はポニーテールに結んで格好いい男役もこなしてました。今目指せる一番、王になろうと生きた証です。約束を交わす前までは「隅でこっそり輝く星に憧れるような子」に描かれてた華恋が、王様になったのです。

では、ひかりはどうでしょう?ひかりの5歳はどうでしたか?好きな事には無我夢中になり、ちょっとは好き勝手で、わがままで、涙なんて見せない芯の強い子。どっちかと言えば、ひかりこそ王冠が似合う子だったと、ひかりが生まれ持った性格は自分が選んだ王冠に近いと思いませんか?ですけど、そんなわがままだったひかりも、華恋と二人で運命の舞台のチケットを交換して「凛々しい」少女に成長しました。それは実に「星の髪留め」が似合う、クール&ミステリアスな子です。手が届かない空の向こう、どんなに遠く離れていても、その距離なんて関係なく輝くスタァ、宇宙の上で一番凛々しく輝く星のシンボルが似合う人、それはどう考えても華恋が選んでくれた「星」が似合う少女です。ひかりもまた華恋との約束があったから、星の舞台少女を目指していたと、勝手ですが私はそう思ってます。

二つの髪留めの行方は、皆さんご存知の通りです。二人の運命の舞台が開かれその舞台が終演する事でそのチケットは効力を失い各自の道に進む事になった。そして劇ス「最後のセリフ」までの道のりを経て「レヴュースタァライト」を演じ切った二人はもう王冠の舞台少女と星の舞台少女である必要もなくなり、王冠と星は弾かれ、最後にはなりたいスタァになる道、次の役を探しに行きます。これからも無くなる事のないだろう運命の舞台に立った思い出、髪留めと一緒に。

はい、この記事で話したかったのは大抵話せた感じです。考えてただけだったのである程度形になった文章にするのも簡単ではありませんね。ディスコでまとまらない勝手な考察を下手くそに喋ってみただけなのに、すごくいい反応を貰えたのが嬉しかったのでこうしてやって見ました。私の2022年最後の記事がこれになったのも偶然ですが嬉しい限りです。

次の舞台には行きたくありませんが、次の年には行くしかありません。個人的に2022年は良い年でした。皆さんの23年もそうであるよう祈ります。ほぼいないと思いますが23年、もしくはその後にこの記事を読んで頂く方にも良い年がやってくる事を祈ります。ありがとうございました!


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