アフガン情勢まとめ

アフガニスタン(以下アフガン)をタリバンが征圧した話について、
・なぜアフガンの情勢が最悪なのか?
・なぜタリバンが政権を握ることが問題なのか?
の2点に絞って説明する。
基本的に昔お勉強した内容だけで書いているので、色々間違いはあると思うのであとで新聞やら本も読んでほしい。

なぜアフガンの情勢が最悪なのか?

一言で言うと「米ソの介入により内戦が長期化した結果、テロリストの温床となったから。」
以下詳しく説明する。

なぜタリバンのような組織が中東で生まれたのか?そもそもタリバンのような原理主義組織が誕生したのは20世紀の話である。昔からイスラームに危険なテロリストが大勢いたわけではない。簡単にアフガンのここ50年の情勢とタリバン誕生のきっかけを振り返る。

①冷戦(1950年代〜)
第二次大戦が終結してからは、米国率いる西側陣営(資本主義国家)とソ連率いる東側陣営(社会主義国家)が各地で睨みあう「冷戦」の時代になる。なぜ「冷たい」のかというと、一番のボス同士の米国とソ連が直接対決することがないから。だいたい世界各地で「資本主義vs社会主義」の戦争が起こり、そこに米国とソ連が介入するという「代理戦争」スタイルがとられる。

②アフガンでの代理戦争(アフガン内戦)(1979年〜1989年)
70年代、アフガンには社会主義政権が樹立していた。しかしながら、社会主義に抵抗する武装組織が誕生。革命を起こすため武装蜂起しアフガン内戦が始まる。(1979年)
ここにソ連が介入し始める(社会主義国家を守るため)。ソ連が介入したら、もちろん米国も介入する。これにより内戦が国際化。めちゃくちゃになるわけである。
米国は抵抗運動組織に対して多額の資金援助&武器供給などを行い支援。内戦は10年に及ぶ長期戦になる。

③アフガン内戦の終結とそれ以降(1989年〜)
最終的には89年にソ連がアフガン撤退を表明。名目上は抵抗運動組織・米国側の勝利のように見えるが、内戦によりアフガン内政は大混乱。
この内戦によって各地に難民きゃんぷができるわけだが、その難民キャンプの中の神学校で極端なイスラーム主義教育が行われるようになる。こうして生まれたのがタリバン。「俺たちの故郷は米国やソ連の思惑によってめちゃくちゃにされた!資本主義や社会主義ではなく、イスラームによって統治された国を作るぞ!」という思想のもと活動を行う。(ここらへん適当。ごめんなさい)
彼らはアフガン内戦時に米国から得た資金援助と武器供給により強大化。各地でテロ活動を行う。おかげで中東はテロ・イスラーム主義の温床となる。

④同時多発テロと米国の介入(2001年9月11日〜)
そんなわけで中東は「テロリストの温床」「反米感情の増幅」状態となる。これらが爆発したのが、2001年のアメリカ同時多発テロ。ハイジャックによって旅客機がアメリカのビルに激突して多数死傷者が出る。
こうなったら米国もたまったもんじゃないと、中東に対して「対テロ戦争」と銘打って戦争開始。アフガニスタン及びイラクに侵攻。テロリストの温床とされる地域を征圧!その後、アフガンには米軍が駐留するようになる。アフガンに安定した政権が樹立されるまでは、米軍が治安を守るということになった。

⑤米国の撤退表明とタリバンの台頭(2021年4月〜)
そんなわけで2001年から米軍はアフガンに駐留しているわけだけれど、いい加減米軍を撤退させてもいいんじゃね?という米国内世論やら何やらで、トランプちゃんとかバイデンちゃんは、アフガンから段階的に米軍を撤退させるようにしていた。ここらへんは米国内政治が絡んでくるのでめちゃ複雑。俺もよくわからない。
で色々あって、バイデンが今年4月に、アフガンからの米軍完全撤退を表明。アフガンの情勢は安定していないにもかかわらず!
この隙をついて、タリバンがアフガンの現政権を打倒して実効支配したのが昨日8月15日というわけです。

なぜ、タリバンが政権を握ることが問題なのか?


一番の大きな理由は「テロリスト集団が国を占拠してしまったから」。


タリバンは、いわゆる「イスラーム原理主義者集団」であり、極端な宗教思想を持っている。かつてタリバンが行ったことは、①他文明の遺産を破壊する②極端な女性差別を行う(女性教育施設の破壊など)③西暦600年頃のイスラーム初期時代の立法を現代にも適用しようとする(罪人への石打ちなど)など。

さてここでイスラーム原理主義とはなにか。よく言われるのが「イスラーム原理主義」という言葉。「原理」と言っているとおり、初期イスラーム世界のときのような世界を作ろうという思想。具体的には、「国の最高指導者は宗教指導者である」「我らの存在を脅かす異教徒は敵なので戦うこと(いわゆる「ジハード」と呼ばれるもの)」「一夫多妻制OK」「男性は働き、女性は家を守るべき(これがいきすぎて女性への教育を禁止)」など、ちょっと現代にはそぐわないような思想である。ちなみにこれらは、イスラームの教典である「クルアーン」に書かれており、これほど攻撃的ではないにせよ当時(西暦622年頃)はこのような統治がされていたことも事実。当時の(今も?)イスラーム教徒にとっては「クルアーン」に書かれていることが全てであり、全ての律法はクルアーンの記述から派生して生まれる。

この「イスラーム原理主義」がどうして国際社会から危険視されているのか。色々理由があるが、とりあえず2点に絞って説明する。

①戦争行為が正当化されやすい。上述のとおり、クルアーンによって「異教徒との戦争(ジハード)」が認められているので、何かと理由がつけば簡単に戦争が可能。事実、2001年9月11日に米国で起きた同時多発テロは、タリバンとも関係のあるテロリスト集団「アルカイダ」による「ジハード」であった。バーミヤンの石像破壊もジハードの一環かな?


②女性差別。イスラームに限らずかつての世界は男尊女卑の世界。こうした状況が、ここ数十年で改善されつつある中、タリバンはじめイスラーム原理主義者は、622年のあの時の統治をしようとしているのだから、当然女性の権利が脅かされる。「女が教育を受ける?そんなことがあっていいわけないだろう!」→女性の教育施設が相次いで空爆される。有名な話だと、東南アジアで女性教育を推進していたマララって人が数年前有名になったけど、あの人は学校帰りにイスラーム原理主義者から狙撃されてる。

他にもいろんな理由があるけれど、個人的に問題視してるのは上の2点。

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