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アフガンと中国

中国がなぜアフガニスタン(以下、アフガン)を重要視するのか。

ざっくり言うと、
・「一帯一路構想」の要所であるから。
・国境を接する場所が新疆ウイグル自治区であるから
この2点が主だった理由なのではないかと考える。以下、簡単にまとめる。

「一帯一路」の要所としてのアフガン

中国がアフガンを重視する理由は、「一帯一路構想において、アフガンが地理的に重要な位置にいるため」である。

一帯一路構想とはなにか
中国が推し進める広域経済圏構想。旧シルクロードをイメージした線が「一帯」、南シナ海→インド→欧州へと続く線が「一路」。この線に沿って、①地理的に繋がった、②中国を中心とする経済圏を作るというものが、なんとなくの説明である。
ちなみに、アフガンは「一帯」に位置する。アフガンを通らないと、より西に線を伸ばすことができない(あるいは、迂回を強いられる?)

なぜ、地理的に繋がった経済圏が必要なのか。
さまざま理由があると思うが、最も私が重要と考えるものは、「この線に沿ってハードインフラの整備を行いやすくするため」ではないかと思う。石油パイプラインなどを国境を跨いで通すには、地理的なつながりが欠かせない。
中国は、「一帯」の線に沿って天然資源の獲得に向けたインフラ整備を推し進めているようだ。銅山や天然ガスなどもこれにあたる。ここ数年、近隣諸国の天然資源設備に対し多額の投資を続けている。

もしもアフガンが中国と敵対などしてしまえば、アフガン国内におけるインフラ整備が不可能になり、アフガン以西のハードインフラ整備が全て無駄になってしまう!

国境を接する国としての直接的な危険性

アフガンを重視する理由は、一帯一路構想だけではない。もっとわかりやすい理由がそこにある。
それは地理的な「近さ」である。
実は中国はアフガンと国境を接している。


わかりづらいが、アフガンから微妙に伸びた線が、中国とぶつかっている。このぶつかっている場所こそ、新疆ウイグル自治区にほかならない。

ウイグル問題については既に日本国内でも大きな問題となっているが、アフガンとの関わりでいうと、「ウイグル人がイスラーム教徒である」ということが非常に重要である。

下手にタリバンとの関係が悪化してしまうと、ウイグル人の解放などと銘打ってタリバンが新疆に攻撃を仕掛けてくる可能性も否定できない。

事実、日本経済新聞によると、
「王氏(筆者注:中国外相)はタリバン側に新疆ウイグル自治区の安全を脅かしていると中国政府が主張するウイグル独立派組織「東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)」と戦い、はっきりと決別するよう求めた。」
とあるように、タリバンのウイグル問題への干渉を懸念している。
(参照:[FT]タリバン代表団が訪中、米軍撤退後を協議:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB292SD0Z20C21A7000000/)


以上2点の理由から、中国はアフガンを重視する必要があり、かつタリバンに対し宥和的な態度を取らなければならないと考える。


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