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味覚を能動的に使う
ジャンクフードは人の味覚を受動的にしたと思います。味わう必要がないからです。
しかし、素材の味や繊細な味を発見したり楽しんだりするためには、味覚を能動的に使うことが大切だと考えます。
昔は毎食マクドナルドのハンバーガーを食べたいと思っていた
かつて大好物だったのはマクドナルドのハンバーガーです。えびフィレオやフィレオフィッシュといった魚介類系のハンバーガーをよく食べていました。それこそ「3食これが良い!」と思っていました。飲み物はファンタグレープ。ポテトも一緒です。
ポテトチップスなどのスナック菓子も好きでした。袋を開けてテーブルの上に置き、左手で食べながらテレビゲームをして放課後を過ごしました。ゲームに集中していても、コンソメや塩の味が舌を刺激するため手が止まらなかったです。
逆にお正月や誕生日などで祖父母の家へ行くと出てくる、かぼちゃや里芋の煮物が苦手で残していました。フライや唐揚げのほうに手を伸ばすことが多かったです。
味わう能力がないと、食に対して受動的になる
ハンバーガーやポテトチップスなど、味のハッキリした食べ物を好きになるのは、味わう必要がないからだと感じます。
味わうって面倒だと思いませんか。私は思います。少し通なお店に行って「この肉は塩で、次にわさびで、でも最初は何もつけないで素材の味を感じてください」と言われても「はあ、食べ方くらい自分で決めさせてよ」と思っちゃいます。ただ、本当に素材がおいしい場合、調理する必要はないのです。塩を少しふったり、わさびを付ける程度で十分な味になります。そんな素材本来の味を感じられるかというと、味に対して受動的では難しいです。素材自体はポテトチップスのように味をアピールしません。自分から感じない限りわからないでしょう。
だから味がハッキリしている食べ物は楽です。食べ物を味わうのではなく、食べ物が味わわせてくれるから。変な日本語ですね。
要するに、ジャンクフードのようなハッキリした食べ物を食べる時、人は味に対して受動的になっています。そして、それは楽だからです。
能動的になると何が良いのか
味に対して受け身だから悪い、とはなりません。気取って素材をそのままかじる必要もなければ、毎日高級レストランで有機野菜やらノーストレスな環境で育てられた牛の肉などを食べる必要もないと思います。
ただ個人的には、味に対して能動的になると食の世界が広がると感じています。1つ1つの食材の良さがわかるようになるのです。かぼちゃや里芋、魚や肉、豆腐などの味を感じられるようになります。たとえるなら、数学でいう数字、言語でいう単語です。食という世界を構成している食材。食材に対する理解が深まれば、食に対する見方も変わります。
なにより料理が楽しくなります。レシピフリーです。レシピを見ずとも手が動きます。なんとなくフライパンに油を入れて、肉や野菜、調味料を加えて一品作れちゃいます。素材の味や特徴を理解しているため、どれを組み合わせればよいか判断つくようになるのです。味の想像ができるようになるため、大きな失敗をしにくくなります。
どんな料理も味わえるようになるでしょう。家族に作ってもらった料理が自分好みの味ではなかった経験はあるでしょうか。昔は仕事から帰ってきた親が作る料理にケチをつける生意気な子供でした。今は大抵の料理を美味しく食べられます。それは料理の良い点を能動的に味わえるからです。
受動的だと嫌いな味がどんと来ただけで「ああ、これはおいしくないな」と即断してしまいます。しかし、能動的になれば優れている点、良い点、好きな点を見つけられるのです。それは発見する能力があるからで、嫌いな部分だけでなく好きな部分を見いだせるからだと考えています。
どうしたら能動的に味覚を使えるか
1. テレビを消します。
2. スマホをしまいます。
3. 「いただきます」と言って手を合わせます。
4. 黙々とご飯を食べます。
5. おかずも食べます。
6. よくかみましょう。
これだけです。食べることに集中しましょう。
舌で食べ物を受け入れ、よくかんで食べます。しだいにご飯のおいしさがわかります。調味料の味も、素材の味も気付けるようになるでしょう。
スーパーで売っている普通の食材で大丈夫です。「こんなに美味しいものを食べていたのか」と、驚く日がやってくると思います。
食の豊かさとは、食べるものが豊富にあることでも、美味しいものをたくさん食べることでもないと思います。
豊かな味覚を持ち、どんな食材にも良さがあることを理解し、さまざまな料理を美味しく食べられることだと思うのです。そこへ至るための一歩目が能動的に味覚を使うことだと感じる、今日この頃でした。
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