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久しぶりに読書。

 秋は読書の季節だそうです。私も、最近あんまり見たい映画もないので本でも読んでみるか。みたいな感じです。

ブラッドランド

 先だって、ジャーナリストの烏賀陽さんがYouTubeで「ブラッドランド」って本をお勧めしてくれてたんですけど、ちょうど近所の図書館にあるみたいなので借りてきました。

 ちなみに、見たところ購入されてからこのかた誰にも読まれてない本みたいでした。なんせ、しおり紐が全く使われた形跡がありません。
 まあ、昨今のようにウクライナ危機がないかぎり、こんな本を手に取る理由もありませんからね。

 本自体は別に難解でもなんでもない本なんですけど……ただ…どうにも…悲惨で悲惨で残酷で残酷で、途中ちょっと挫けました。
 しかも、なんだかちょっとウェットな文章です。あれです。たとえるなら、ひめゆり部隊の話をする沖縄のおばあさんの話、みたいです。主観的で「思い出」とかが入ってる感じ。(翻訳の仕方の問題なのかわかんないですけど)

 スターリンが終わったと思ったらヒットラーが。ヒットラーがやってる間にもスターリンが、って感じにこの地域に大量殺りくが繰り返し行われる。ウクライナとか旧東欧諸国が今回の戦争でどうしてあんなに必死なのがよくわかりました。
 こんな悲惨な目に遭わされるのだとしたら、どこかの国に支配されるのはそれこそ「死んだほうがまし」ってことなのかもしれません。

日本大王国志(東洋文庫)

 徳川家光時代に日本の出島で住んでいた、ベルギー生まれでオランダ国籍のフランス人(?)フランソワ・カロンが、日本について問われたことに答える、って本です。

 中に徳川家光さんが男色のせいで、子供を作らせるのに周りがものすごく苦労してる。とかいうのも書いてあったりして、それって(出島の外国人ですら知ってるほど)そんなに世間に有名なゴシップだったんだ。とか、感心しました。

 あとは煌びやかな大名行列とかの様子とか、町の様子とか色々と書いてあって、当時の日本が西洋に比して全く引けを取らなかったことがわかりました。幕府が当時のスペイン領のフィリピンに遠征する計画もあったそうです。へー。

 いやいや、これは中々面白い本です。

 ただ、訳者が明治の人のせいで、文体が古いです。ま、慣れればさほど苦にはなりませんけど。(本自体は昭和23年初版)

 そういった数々の問に答える形式が終わって、最後にキリシタン迫害の様子の報告がついています。この本が出版されるときに必ず付録についていたそうです。
 いや、これがなかなかヤバい。

 当時からこんな報告があった、ってことは西洋の人は事件発生当時からこのことを知ってて、それで放置してたってことですよね。だからといって、そんな日本に対してなんら手出しはできなかったわけですから、日本が西洋に対してもある程度の強国だったことがわかります。

 キリシタン迫害は本当に酷いです。最初、キリシタン教徒とかポルトガル人神父たちを捕まえてすぐに処刑してたそうですけど、キリシタンの教えが「殉教すると聖者となる」ということなので、逆に信者たちは喜んで死に、死んだ後に崇められる、ということが分かって方向性を変えたそうです。

 そういうわけで、いかに苦しみを長続きさせるか、虐待と拷問をひたすら続けて、死にかけたところで医者に治療させて、治ったところで虐待するっていうのを延々やったそうです。
 そして、全員棄教させることに成功したという。

 正直、こんな目に遭わされるとしたら、近頃の「死刑になりたいから人を殺す」なんてこと、絶対なくなるよね?とか思いました。
 もちろん。現代でこんなこと、許されるわけがありませんけど。

 キリシタン迫害自体は「ポルトガル人が、信者を利用して日本国内で内乱を起こさせて、それに乗じて日本を征服しようとしてる」と、オランダ人が幕府に注進した、という「噂」があった。そうです。

 昨今の旧統一教会の話にしても、そういう宗教を使った外国勢力の進出って、何世紀か昔のキリシタンの時代から日本人をヒステリックに激昂させるもんなんだなあ。
 とかある種、類似のメンタルを感じました。

 

 

 

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