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主戦場

 つい最近、この映画がアマプラで見れることを知りました。「主戦場」…あの例の日本会議系の右翼のみなさんが、上映差し止めを請求して裁判してたアレです。
 去年の末あたりに、裁判結果が出て、別に上映してもいいよ。ってことになったことは知ってました。

 そういう「話題」の映画なので、500円課金してみましたよ。めっちゃ面白かったです。
 右翼のみなさんは、いつものよく見かける主張をしてるだけで、別に目新しいことを言ってる訳ではありません。これを差し止めにするんだったら、出演してるテレビとかYouTube番組も全部差し止めにしなきゃなんないんじゃないの?…って感じです。

 で、この映画のキモが、その皆さんの「いつものご意見」がその筋での「専門家」によっていちいち論破されるって構成ってあたりでした。
 いつもは、内輪で楽しく「そうだそうだ!」とか油断しながらワイワイやってたことが、いきなり平場に引きずり出されて、知らないところで論破されてる…っていう。
 まあ、こりゃ差し止め請求したくなるわな。

 ちなみに、「従軍慰安婦」を軍に設置しなきゃなあ~とか思ってた戦中の軍人たちに「悪気」がなかったのは、私にもわかります。
 なぜなら、歌舞伎とか、文楽とか、あるいは落語の演目では、自分の嫁とか娘を遊郭に売る話が「今でも」(!!)普通に演じられてるからです。
 これ…。歌舞伎とか見てる人ならよく知ってると思いますけど、びっくりするほど「普通」に女性が遊郭に売られるんです。その嫁とか娘とかも、ナチュラルに
「お金がないから、遊郭に行きます~」
とか言います。
「この演目は今やコンプラ的にアウト」とか、伝統芸能の人たちはいまだかつて思ったこともなさそうです。

  そんな「常識」な日本なので、それが「女性の人権を無視した行為」だとか、まったく気づかない人たちがたくさんいても不思議はありません。
 たとえ首に縄をつけて引っ張って行った、わけでもないとしても、それは完全に人身売買だし、仮に当時の国内法では合法だったとしても、それが海外の女性だった時点で、当時の国際法にも反するということでした。
 
 そういう、いまだに明治憲法を復活させようと運動している人たちの一人が
「こういうの、フェミニストがやってんでしょ? フェミニストって全員ブスでしょ。男にもてないからこんなこと言うんでしょ?」
とか言ってたので、思わず苦笑しました。そういう問題か。
 あっ、そんなことを言われるから上野さんって、あんなにモテ・アピール凄かったのかぁ。とか、全然関係ないところで全然関係ないことに合点がいってしまいました。そう思うとなんだか微笑ましいな。
 ちなみに、こんなことを言ってたおじさんは、ハンサムからは1光年ほど遠かったです。(だからと言って、ブサイクで女にもてないからミソジニーなんだろう、とかいう差別的なことは私は言いません)

 まあ、映画としては面白い構成でした。最後の結論は、結局のところ、女性の人権に鈍感なミソジニーのレイシストたちを利用してこれを政治問題化させる人たちがいて、またそれを逆に利用しようとする人たちのお陰でなかなか解決しない問題になってしまった。とかいうようなことでした。
 理由がミソジニーでレイシズムなんだったら、もう何をどう「論破」したところで、この人たちの説得は不可能なんじゃないの?…とか、若干絶望的な気分になりましたよ。
 
 それにしても、普通にこういう映画が家で寝っ転がりながら見れるのも、オリンピックの談合でいっぱい人が逮捕されるのも、全部。清盛さんが亡くなったお陰なのかな~。とか思いました。この流れだと、これから平家は没落するんですかね?
 壇ノ浦はもうすぐなのかな~?

 

 

 

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