tari textile BOOK 後編 #12「素材にふれる丹波布」第5話
第5話
ガラッ。
硝子戸を開け、颯爽と染色室に入って来たタリと綛になったわたねくんたち。タリはキュッとエプロンの紐を締め、まずはささっと作業台とコンロ周りを軽く拭き掃除。忘れがちなガスの元栓も開け、準備は整った。
「わたねくん、まずは精練で汚れを落とすね。みんなで育てた綿だからそんなに汚れてないと思うけど」
「うん、でも精練は汚れを落とすためだけではなくて、繊維の1番外側にある撥水性の膜を取り除く意味もあるんだよ」
「え? そうなの? そんな膜があったの?」