tari textile BOOK 後編 #11「素材にふれる丹波布」第4話
第4話
タリは押し入れからおもむろに謎の弓を取り出した。
「ついにこれを使うときが来たか」
この弓は、種を除いた後の綿の繊維を、ふわふわにほぐすための道具だ。柄の部分は竹製で、弦は弾力性の高い樹脂のような素材。床の上に綿の繊維を片手で掴めるくらい置き、弦を綿に当て、びーんびーんとはじく。「綿打ち」という作業だ。
「ところでわたねくん、もう今は種から分離した繊維の状態だけど、変わらずそこにいるんだね?」タリは弦をはじきながら尋ねた。
「うん、繊維もぼくの一部だか