【音楽文】シュガーソングとビターステップが嫌いだ〜UNISON SQUARE GARDEN、彼らが“見つかってしまった”曲〜【再掲】

※この記事は2019年に投稿サイト「音楽文」に掲載された記事を加筆・修正したものです。





「シュガーソングとビターステップ」が嫌いだ。
曲ではない。立ち位置が。

アイドルでいえばセンター、野球でいえばエース。
彼らの持つ様々な曲の中心に立つ花形の存在。
 
ロック好きは大抵知ってる。
彼らが"見つかってしまった"曲。
 
10thシングルであるこの曲は、「血界戦線」第1期のEDテーマであり、アニメのヒットとともに、ユニゾンとしても異例のスマッシュヒットを叩き出した。

アニメの世界観に寄り添った歌詞、耳心地の良いキャッチーなメロディで、「UNISON SQUARE GARDEN」の名前を世に知らしめた。

名実ともに彼らの存在か確かなものになった瞬間である。
 
だが、時々思う。この曲がなければどんな未来が待っていたのだろうか?

いわゆる「シュガビタのユニゾン」と呼ばれることもある現在。

個人的にはそれが少しだけ納得がいかない。
 
「UNISON SQUARE GARDEN」にはたくさんの名曲がある。

彼らの代名詞の様な曲「フルカラープログラム」

現在のバンドの方向性を作り上げた「オリオンをなぞる」

ファンとの温度感を歌った「君の瞳に恋してない」

それ以外にも挙げ始めるとキリがないぐらいだ。

そんな素敵な曲の分だけ“勝手に”救われた人たちがいて、その事実が蔑ろにされている気がしてほんの少し寂しくなる。
 
そして、彼らはライブをこよなく愛している。周囲の期待が大きい以上、「シュガーソングとビターステップ」がセットリストの中核を担うのは必然だ。

けれども、その分披露されない曲があるわけで。
毎回セットリストに加わることには違和感を感じていた。
 
それは彼らも同じ気持ちだったように思う。

特にほぼ全ての作詞作曲を担当する田淵智也(Ba.)は、それ以降の活動には慎重を期した印象を受けた。
 
6thアルバム「Dr.Izzy」は、ユニゾンを解剖するをテーマに、シングルを1曲のみにし、様々な曲を散りばめて新たな魅力を発見するアルバムを完成させた。

11thシングル「10% roll, 10% romance」は、約2年の期間を置き、前シングルとはまた印象の異なる曲をリリースした。

そのとき彼らが選んだのは、揺るぎない“いつも通り”を行うこと。

いわゆる「売れる」ことを意識して、もっと聴き手に曲や売り方を寄せる方法もあった。

そうではなくて、自分たちのやりたいこと=僕らが求めるものに昇華させること。

最も理想的だけど、1番険しい道を選んだ。
 
それがどのような結果になったのかは、現在の彼らを見ればわかるはずだ。

実際にDr.Izzy以降、「シュガーソングとビターステップ」に囚われすぎることなく、彼らの音楽を鳴らし続けている。
 
最も顕著なのは、2018年4月から開催されたツアー「MODE MOOD MODE」である。

今までのツアーでは、セットリストの終盤に置かれていた「シュガーソングとビターステップ」が3曲目に披露された。

それはバンドにとって、この曲の立ち位置が明確に変化したことを証明している。

また、2019年6月に行われた「fun time HOLIDAY 7」では、彼らが主催するライブとしては、久々にセットリストに入らなかった。
 
2019年7月には、バンド初のカップリングのみを収録したアルバム「Bee Side Sea Side」が発売される。

9月には、それを引っさげてのツアーも開始される。

そのセットリストには、もちろん「シュガーソングとビターステップ」は入らない。

バンドにとって、未知の領域となるツアーを経て、この曲の立ち位置はどうなるのだろうか。楽しみでならない。
  

願わくば数年後に、「君瞳の~」、「mix juiceの~」とユニゾンが言われていることを願う。

いや、多分そうなっている。現在の3人を見ていると、それが確信を持って言える。

そして、最後にこれだけは言わせて欲しい。
 
シュガーソングとビターステップが大好きだ。
立ち位置じゃない。曲が。
 
甘くて苦くて目がまわりそうな4分13秒。南南西へは辿り着けそうにない。パーティが終わらないから。
 
一難去ってまた一興。

死ねない理由なら、連鎖になってリフレクションしてくれる。
 
今日もどこかで世界中を驚かせる夜が生まれる。





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はい、というわけで音楽文の再掲2作目です。

今回のテーマはUNISON SQUARE GARDEN最大のヒットとともに最も知名度の高い楽曲である「シュガーソングとビターステップ」です。

この文を書いたのは2019年の15周年イヤーの頃だったんですが…今でこそ頻繁にセットリスト入りすることはなくなりましたが、当時はユニゾンのライブ=シュガビタの構図ができるぐらいにセトリに入るのが当然といった立ち位置でした。

実際にフェスなんかじゃ大概がラストだったし、自主企画以外のツアーに関してはほとんどの確率でセットリストの良いところに置かれていたような気がする。

おそらく新規のファンも「シュガーソングとビターステップ」を聞きに来た…みたいなところはあったので、そうなるとセトリに組み込まれるのはある種の必然ということは納得できました。

当時のユニゾンもようやく活動が完全に軌道に乗った頃でしたし、まだまだ自由に音楽活動をしていくには心許ない時期だったようにも感じます。

それが15周年を経て、本当の意味での安定感を手に入れるわけですが、まだその時期ではありませんでした。

そうなってくるとライブの自由度も下がってしまい、必然的にセットリストから漏れる曲も出てきてしまう。(JET CO.とかJET CO.とかJET CO.とか)

稀に普段やらない曲をやってくれることもありますが、精々1.2曲が限界といった感じで、順番待ちの曲が長蛇の列を作っていました。

そんな当時の現状に少しだけ納得がいかないなかで書いたのが今回の文でした。

シュガビタは僕が初任給で買った思い出深いCDではあるのだけど、それでも名曲ばかりのユニゾンでここまでの優遇には違和感しかない…その思いが消えないなかで書き進めていきました。

タイトルにも強い気持ちを反映させたくて、「シュガーソングとビターステップが嫌いだ」なんてキツめの題にしてしまいました。(読み進めると意味がわかるようにはしていたつもり)

実際に投稿してみると、けっこう共感してもらえていたような記憶があります。

やっぱり物好きはみんなシュガビタ以外もライブで聞きたかったんですよね?

今思い返しても、あそこからセルアウトに舵を切らずに、自分たちがやりたい音楽を貫き通したのは英断だったと思う。

その結果"UNISON SQUARE GARDEN"という唯一無二の音楽性が確立できたのだろう。

好きな音楽を鳴らすために売り上げを含めた活動方針を決めていく、当たり前に見えてなかなか実現できることではない。

そうなった現在はどうなったのかというと、レア曲連発しまくりの超絶自由なライブが完成してしまったというわけですね。(やっぱりロックバンドのライブは楽しい)

その背景には、本編でも触れたB面ツアーの効果も大きかったように思います。

あれで「あ、好きにやっても大丈夫なんだ…」って3人に思わせてしまった感も多分にありそう。笑

「シュガーソングとビターステップ」も相変わらずフェスなどでは定番となっていますが、以前ほどの優遇さは影を落とし、あくまで数ある有名曲のうち1曲といった立ち位置に落ち着いたように感じます。

これでもしシュガビタに頼るようなライブをしていたら、現在のようなエネルギーを感じるバンドにはなっていなかったかもしれません。

そう考えると、本当にひとつのターニングポイントだったんですね。

あとこれは完全に余談なんですが、本来の音楽文では4分13秒を何故か3分54秒と書いて、曲の時間を間違えてしまったという。笑

これにはちょっとした理由があって、当時の僕のiPhoneに入っていた「シュガーソングとビターステップ」のCDがちゃんと取り込まれておらず、途中までしか再生できていなかったようなんです。

当時は「Dr.Izzy」やライブ音源でしかシュガビタを聴いていなかったため、それに気づくことなく投稿してしまったというオチでした。

そういうときだけ律儀にCD音源で確認したことが仇になってしまいました。

今回はちゃんとサブスク音源も含めてチェックをしているので、バッチリなはずです!笑






この文を投稿したのが確か7月頭だったはずなので、ほぼ3年が経過したことになります。

あれから色々なことがあったけれど、ユニゾンは進化したとしても、良い意味で変化がないまま歩みを止めずにいます。

何だかんだと20周年ももう見えるとこらまで迫っています。

個人的にはそろそろ万人に好まれる名曲が誕生する予感がしているのですが…周期的に。どうなんでしょう?

あえて田淵が意図的にそうしないようにしているかもしれませんが。

ではでは、今日はここまで。

次回の音楽文はそんな15周年の記念ライブについて取り上げていきたいと思います。お楽しみに!

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