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『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』がおもしろかった

今になって平成ガメラ三部作を観た。

評価が高いと常々聞いていた平成ガメラは前から気になっていたけどなかなか観る機会がなくこれまで過ごしていた。(平成ガメラ1作目の公開日の5日前に生まれてその後の3作目のときですらまだ4歳だった)
暇だったし、自分が契約しているU-NEXTで配信があったので観てみた。

平成ガメラ1作目『ガメラ 大怪獣空中決戦』、2作目『ガメラ2 レギオン襲来』も面白く観ていたけど自分は3作目の『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』が一番好きだった。

ガメラ3を再生しはじめてしばらく経った頃から「前2作とは作品のトーン、雰囲気が全然違う…!」と感じた。
序盤の渋谷でのガメラ対ギャオスのシーンで逃げ惑う市民目線で見上げたガメラの姿だったり、市民たちが犠牲になる瞬間がしっかりと描写されていたりと“しっかりと怖い”のだ。(同じように戦闘から逃げ惑う市民の姿をリアルに描いたものだと『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』もとてもよかった)
小さい頃にガメラ3を観ていたらちょっとしたトラウマになっていたかもしれない。

ガメラ3では「人類の味方である怪獣が悪の怪獣を倒すためとはいえ街中で戦い、その結果として市民の犠牲は許されるのか?」という問題がテーマとなっている。それを踏まえてこれまでの2作と比べてさらにハードでシリアスな雰囲気を纏っている作品となっていた。
またガメラ3は1999年に公開された作品ということもあってオカルトの要素もあったり世紀末感、終末思想が漂っているように感じた。「ノストラダムスの大予言」があったり、「エヴァ」の放送以後に公開されたこともあってそのあたりからの影響もあるかもしれない。

ガメラ3はいろんな要素が渾然一体となっているところも面白かった。
当たり前だけどまず「怪獣モノ」でしっかりとした「ミリタリー」描写があったり、先ほども述べたとおり「オカルト」の要素もある。そしてこれらに加えて「ボーイミーツガール」「セカイ系」的な要素まであって90年代末という公開当時の時代の匂いを感じさせる。

戦闘シーンのルックもめちゃくちゃかっこよかった。
序盤のギャオス戦の舞台となった渋谷のミニチュアセットのリアルさ、作り込みの細かさがとてもすごい。そして繰り返しになってしまうが逃げ惑う一般市民が炎に焼かれるシーンはとても怖い。

燃え盛る京都の古風な街並みの中でガメラとイリスが相対するシーンは構図もバチバチに決まっていてとても美しかった。

そして最終決戦の場所となったJR京都駅が爆破されるシーンの大迫力っぷりが凄まじかった。
京都駅の中でガメラとイリスが戦うのだがどうやら怪獣映画で初の屋内戦となったシーンらしい。

今作の主人公のひとり、比良坂 綾奈(ひらさか あやな)を演じた前田愛の存在感、透明感があってとてもよかった。

イリスが綾奈を取り込もうとしたシーンは完全に“それ”のメタファーにしか見えなくてなんだかドキドキしてしまった。

綾奈の4年前を実の妹の前田亜季が演じていたりして90年代後半の前田姉妹の勢いも凄かったんだろうな〜と思った。

そのほかにもチョイ役ではあるが仲間由紀恵、生瀬勝久、八嶋智人、津川雅彦、上川隆也、伊集院光、といったキャストの若かりし頃が見られたのも面白かった。


怪獣映画でいうとゴジラは自分が小学生の頃にもちゃんと劇場公開されていて親に連れて行ってもらった思い出があるがガメラはこれまでなかなか馴染みがなかった。
しかしある程度大人になって作品のストーリーやテーマなどもある程度理解できるようになったいま観れたのもよかったかもしれない。

そしてガメラシリーズに最近動きがあった。2023年9月から『GAMERA -Rebirth-』という新作アニメが全6話でNetflixで配信されるらしい。こちらも気になってきた。

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