失敗から学ぼう!「失敗の本質」に学ぶ組織運営〜③ガダルカナル編〜
「失敗の本質」とは、1955年より行われた、防衛大学と一橋大学での6人の学者による第二次世界大戦の失敗分析です。
表紙に「なぜ日本人は空気に左右されるのか?」とある通り、「空気を読む」ことが得意な日本人の性質が悪いほうにばかり作用し、第二次世界大戦の大失敗に繋がったことが分析されています。
終戦から約80年経った2024年現在も「空気を読む」ことは続けられており、今なお多くの経営者が絶賛する本です。
私のいるIT業界でも愛読書に挙げられることが多い書籍です。
ガダルカナル作戦概要
米軍が当時日本領であったガダルカナル島に侵攻し、それを奪還する作戦です。日本軍は32000人中21100人が死亡し、一方米軍は60000人中1000人しか死亡しませんでした。(1942年)
「・・・路傍には、からっぽの飯盒を手にしたまま斃れた兵が腐って蛆がわいている・・・」
挙げられている失敗原因
今回も27点ほど失敗が指摘されています。
日本軍900人vs米軍13000人で全滅(p118)
重火器が輸送できなかった(p120)
日本軍5600人vs米軍16000人で半壊(p120)
大隊長が大怪我の中、実行不可能な命令が下されていて、それを前提とした作戦になっていて破綻した(p124)
兵糧が奪われ、現場に「あの朝、もう2つ握り飯があったら」と言わせた(p127)
適切な報告を上げた部下川口に対し「卑怯者、腹を切れ」と怒号(p124)
報告「飢え」を無視(p128)
報告「疲労」を無視(p128)
報告「地形峻険」を無視(p128)
報告「航空力不足」を無視(p128)
報告「火力不足」を無視(p128)
報告「レーダー不足」を無視(p128)
「右翼隊の信念」として一度失敗した作戦を再度実行(p129)
上司辻は、部下川口の相談を無視した(p130)
上司辻は、その上司に相談することなく、部下川口を罷免した(p131)
誤報に踊らされ祝杯を挙げていた(p132)
損切りが出来ず被害率が50%を超えた(p133)
上司辻は、報告で撤退を名言しなかった(p134)
背景には、弱音を吐くと攻撃されるという風潮があった(p135)
その会議から実際に天皇が撤退を決裁するまで1ヶ月6日かかった(p134)
米軍の侵攻作戦を誰も分析していなかった(p136)
米軍は陸海空から攻めたが、日本軍には陸海しかなかった(p137)
兵糧を敵軍よりの奪取か現地調達しか考えておらず、防衛では足りなかった(p137)
燃料が無く、零戦21型でも15分しか飛べなかった(p138)
無線通信システムが貧弱で、各組織単位内でしか通信出来なかった(p138)
現場からのフィードバックは全て拒否され学ぶ姿勢が無かった(p139)
本部の人間は現場に行ったことがなかった(p140)
整理
これらを注意深くまとめて、今風に言い換えると、以下のようになるかと思います。
ストレス耐性の低さ
人の言うことを聞かない、不都合な真実に向き合えない、現場に足を運ぶ労を惜しむ、敵に作戦は無いと決めつけちゃんと分析しない
脳死
何もかも不足しているが実行、15分しか飛べなくても実行、見切り発車、一歩立ち止まって考えられない、精神論・美辞麗句の多用、二度同じ過ちを繰り返す、都合のいい誤報を検証しない、味方に航空機が無いことに疑問を覚えない、無線通信システムが貧弱なことに疑問を覚えない
病的なプライド
損切が出来ない、即断即決出来ない、弱音を口に出来ない、現場に対する徹底的な上から目線、部下への見下し、実現不可能な目標の強制、恫喝、現場のフィードバックから学べない、一方的かつ非合理な罷免、失敗に備えない
結論
以上をまとめると、
「病的なプライドに冒された上司が、ストレス耐性の低さから非現実なプランにしがみつき、部下が報復を恐れて耐え続ける組織は不健全で、大失敗する」
ということだと思います。
対策
じゃあどうすればいいの?
この本の勉強会は、以下の構成で行われています。
ケーススタディ:ガダルカナル作戦
ケーススタディ:インパール作戦
ケーススタディ:レイテ海戦
ケーススタディ:沖縄戦
失敗の本質(共通点の研究)
失敗の教訓
となっており、最後にどうすればよいか考えるということになっています。
でもそりゃそうでしょう、日本社会は当時から80年あまり大きくは変わっていないわけで、そんなにやすやすと結論が出るわけはなく。
最後までやっていくので面白いと思ったらいいね・シェア・勉強会参加への声掛けいただけると嬉しいです😊
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?