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『あたらし』か『あらたし』か? 歌舞伎役者の言葉遊びの件(コサッシュは間違いです(笑))

土日はノンジャンルで、自由に徒然なるままに…
是非バックナンバーもご一読くださいね

さて、先日1/5(水)のブログ(UNIQLOで買い悩み(笑))の中で、『美容師さんが腰に提げているコサッシュをふた回り大きくした感じ』と表記したら、さる女性のお友達から、『ミスタッチかと思いますが、サコッシュがコサッシュになってますよ~』と優しいご指摘をいただきました!(現在はサコッシュに修正済です。)
自分では『サコッシュ』と打ったつもりが、手指の方は勝手に『コサッシュ』と叩いていたようです。気取らずに『シザーバッグ』と書けば良かったかな(苦笑)

ショッピングサイトで拾った『サコッシュ』例

私の伯母(母の姉)が大阪で美容師をしていましたので、物心ついた頃から伯母の美容室でカットしてもらっていました。知ったかぶりして何気なく打ち込んだのでしょうが、指摘を受けて、はて、『コサッシュだっけ? サコッシュだっけ?』と悩み込んでしまいました。

念の為、双方を Yahoo! で検索してみると…
『サコッシュ』が約6,980,000件、『コサッシュ』が約58,000件ヒットしましたので、やはり『サコッシュ』が正解であろうことは判明しました(元はフランス語で sacoche=鞄・袋)。
それにしても、1%未満とはいえ『コサッシュ』と誤認した記事が一定数存在するのが面白いところです。

試しにネットショッピング最大手の Amazon.comで検索してみると…
『サコッシュ』が 5,000件以上と表示される一方で、『コサッシュ』と表記された商品も 216件ありました(苦笑)

この状況、何かで聞いたことがあるなぁと記憶を手繰り寄せてみたら、
ちょっと強引ですが、『音位転換』というのを思い出しました!

有名なところでは、『新』の訓読みは『あらた』なので形容詞にした時は『あらたしい』となるはず。それが、江戸時代の『粋な人たち』の間で、文字を入れ替える言葉遊びが流行っていて、そこから『あたらしい』が定着してしまったとか…。
これ、『粋な人たち』ってその後の昭和のジャズマンみたいな感じで(さらにはテレビ局に棲息するギョーカイ人に引き継がれた…)、『メシ』を『シーメ』と言ったり、『スシ』を『シースー』と言ったりするのと同じノリだったらしいです。
ギョーカイ用語は業界人の間でしか通用しませんでしたが、江戸時代に流行った『アタラシイ』は、本家を駆逐してしまったわけですね。(上記の他に、『可惜し(あたらし)』との誤用との説もありますが割愛します…)

調べてみると、江戸時代の粋人による言葉遊びは他にもあったようで。
歌舞伎役者が『エンギが悪い』ことを『ギエンが悪い』と言い換え、それが縮まって『ゲンが悪い、ゲンを担ぐ』になったとか(漢字も、元々の『縁起』に対して『験』という字が当てられた)。

ついでにもう1個(笑)
芝居の客入りが悪いと早めに公演を中断することを『千秋楽に入る』と呼んでいましたが、それが縮まって『ラクに入る』に。さらに件の役者言葉で『クラに入る』と変換されたものが『オクラ入り』(後に当て字で『お蔵入り』)となったらしいですよ。


上記は『逆さ言葉(倒語)』というらしいですが、単純に言い易さを求めて文字が入れ替わってしまった事例も…。
例えば、『正確で秩序が保たれる様』をサンスクリット語で『修多羅(しだら)』と言い、その頭に否定語が付けば『ふしだら』なんだけど、語尾に否定語が付いた場合に『しだらない』、それがいつの間にか『だらしない』に変化していったとか。

その他、『山茶花』は『さんざか』と読んでいたのが『さざんか』に。
『舌鼓』は『したつづみ』であるはずが『したづつみ』に。
『秋葉原』も、『あきばはら』と読むべきが『あきはばら』にと…。


調べたら面白かったのでいろいろ書きましたが、最後に1つ!
下記は『音位転換』として定着しているとは言えず、『幼児言葉』か『恥ずかしい誤り』と見做されますので、呉々もご注意を!(笑)

・ふんいき (雰囲気) ⇒ ふいんき
・うらやましい (羨ましい) ⇒ うやまらしい・うまやらしい
・たかしまや (高島屋) ⇒ たかましや・たまかしや
・シミュレーション (simulation) ⇒ シュミレーション

最初の4つは可愛いけど、『シュミレーション』はそろそろやめましょうね! それこそ『趣味レーション!』(笑)、

最後まで読んでいただき、ありがとございます。
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