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「技術的に遅れている」という不安から抜け出すために

これまでITエンジニアの端くれとして仕事をしてきた中で感じてきた事ですが、世の中に存在する様々なテクノロジーやサービスについて周囲のエンジニアの会話を聞いたり、IT系ニュースサイトの記事タイトルを見るにつけ、

「あれも分からない、これも触ったことが無い... 自分の知識や技術レベルは周りと比べてあまりに遅れているのでは...?」

と不安を感じることが多々あります。
そんなある日、ひとつの解決策でもありとても共感できる記事に出会いました。

このツイートで引用しているのは Quora という海外の Q&A サイトに投稿された内容の翻訳なのですが、駆け出しのソフトウェア開発者である質問者からの「技術変遷が激しい業界で覚えることも多く何から学んでよいか困っている」という質問に対して、シニアエンジニアが回答したのは「3つのリストを作れ」というものでした。自分自身の解釈を交えつつ以下に解説します。

(1) 使い方を知っていて、最小限の調査で済む技術

これは「履歴書のトップに書けて、それで飯を食っていける」レベルに分類されるものです。当然ながらここに書けるスキルが多いほど専門性が上がり、市場でも価値の高い人材になれると思われます。

「最小限の調査で済む」というのは一度その技術を深いレベルで習得しているため、いざ実際に求められる場面が来ても自分が持っている知識と最新情報の差分を確認するだけで済むという意味です。

(2) 企業の現場で使われていることを知っている技術

これは「〇〇をいつ、なぜ使うかは知っているけど、実際にそれを使ってたことは無い」あるいは「ちょっと触ったことがある」というレベルのものです。

これはリスト (1) と同じぐらい重要とされており、それは例えば何かを作り上げる時にどのようなアーキテクチャを採用するのかを自分の中で検討したり、あるいは顧客や同僚とコミュニケーションをとってゆく中で、このリスト (2) に入るレベルで理解していればそれについて議論をしたり意思決定をすることができるからです。

(3) 聞いたことはあるけど何者なのか見当がつかない技術

このレベルの技術が会話に出てくると、自分が業界の技術動向に追いつけていないという不安や焦り、ストレスを感じることと思います。またその数が複数に渡ると完全に周囲から置いて行かれている感覚に陥り、前述の Quora の質問者のような状態になることが予想されます。

とにかくリスト (3) → (2) に移す

分からない事だらけで絶望している状態から脱却するには、リスト (1) のような尖ったスキルを身に着けることは一旦置いておいて、日々少しずつでも時間を使って小さな単位でも良いので分からないものをひとつひとつリスト (3) からリスト (2) に移してゆくことが大事です。
それは別に責任をもって現場に提供できるようなレベルでなくても良いので、例えば「チュートリアルを進めてみる」、「無償のトライアル版を利用してみる」、プログラミングで言えば「Hello World までやってみる」などです。
リスト (2) → (1) に移すことに比べたら必要とされる時間は圧倒的に少ないはずですが、これをするだけでもその技術について「あれは前にちょっと触ってみましたけど○○な感じですね」等のようにコミュニケーションを取る事はできます。全く何も知らない状況と比べると心理的にはだいぶ違いますよね。

企画やコンサル、技術選定する立場の場合は特にリスト (2) が重要

個人的には、業界や職種によって (1) と (2) のリストの比重が変わってくるのではないかと考えています。例えば私は今勤めている会社で社内の情報システム担当者として従事していますが、現場から寄せられる様々な課題や問題をどう解決するかということに対して、一般的なデファクトスタンダード  を把握していたり、業務要件や会社の予算に応じたベストな提案できるかが価値となってきます。つまり、リスト (2) をどれだけ潤沢に持っているかが武器となってくると考えています。技術選定後に実際に実装したり現場へ展開するフェーズについては、リスト (1) のレベルで自前で実装・運用できるに越したことは無いですが、ベンダーや外部のリソースに協力を得るという選択肢がある場合が多く、すべてを自分自身で究めなければならないシーンは少ないと思います。

まとめ

立場や職種によっても様々ではありますが、上流工程やサービス選定に携わるお仕事をする場合においては選択肢は多ければ多いほどよい訳ですし、また心理的安全性を保つためにも色々な技術を甘噛みしてみるのは良いことなのではないかと思います。

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