白熱のオーラスプッシュ 白鳥プロ編
いやーMリーグ面白いですね!二日続けての白熱したオーラスの押し引き。最高です!
”ん?二日って?石橋プロの白引いてのオリは覚えてるけど?”
色んな所で石橋プロの押し引きの議論を目にしますが、、、白鳥プロも、、たろうプロの親リーチに対して5mをズバッっと、、、どうしてもトップをもぎ取るんだ、、、と
冗談はさて置き、個人的には白鳥プロの押し引きのほうが難しいのではないかと思いました。(石橋プロごめんなさい。)なので今回は白鳥プロが今季初トップと獲った11月10日第2戦オーラス、たろうプロの親リーチを受けてどのくらいの牌まで押せたのかを考えてみたいと思います。状況は、
*牌譜画像は田中航プロのものを使わせていただきました。
簡単に場況を説明すると、ピンズ待ちはなさそう、残り筋が6本で、14mが薄いとみれば5本に近い。5mの放銃率は13%~16%。
”Mリーグはトップが偉いルールだから押しだよ、鉄!鉄!”
”ここで放銃したら最悪3着まであり得る、残り巡も少ないしオリかな”
いろいろな声が聞こえます。個人的には両面だし押しかな。(単純)っとこんなところで適当なこと言っても先に進まないので、出来る限り数学的なアプローチをしていきたいと思います。
統計データは、
みーにん氏著、「統計学のマージャン戦術」
Critter氏、麻雀順位予想計算機 http://critter.sakura.ne.jp/jun_keisan.html
以上を参考にさせていただきました。
何%の放銃率まで押せるのか?
前回の記事を見返してみて、数字の話をずらずら書くのはあまりにも面白くないと反省しました。(読んでくれた方、申し訳ないです。)なので今回は、図を間に入れながら出来るだけ簡潔に話していこうと思います。
白鳥プロの置かれた状況を図で表す
白鳥プロには、5mを押すか降りるかの選択肢があります。分かりやすく図で表してみましょう。まず押しを選択した場合です。
左から進んでくように考えてみてください。まず押しを選択すると訪れるのが5mが通るor放銃するです。次に、5mが通った場合は、あがり、放銃、被ツモ、横移動、流局の5つの出来事が起こります。同じようにベタオリ選んだ場合の図がこちら、
ベタオリを選択した場合はあがりと放銃を除いた3つの結果が待っています。(安全にまわってあがりを拾うということもあるかもしれませんが、現状巡目も深く確率が低い出来事と判断して省いています。)
それぞれ出来事の収支に確率をかけ、最終的に押しの期待値がベタオリを上回る”押しの期待値>ベタオリの期待値”になる5mの放銃率を考えてみようというのが今回の流れです。式にすると以下のようになります。
(5mが通った場合の期待値)× (1-p) + (5mで放銃した場合の期待値)× p > ベタオリの期待値
p=求めたい5mの放銃率
大まかな計算の流れ
これら期待値を求めるには、まず最終的な結果が起きた際の収支を知ることが必要です。図の、あがり、放銃、被ツモ、横移動、流局などです。本来は、次の局また次と続いていくのですが、以降の素点移動をフラットで考えると知りたいのは点棒状況変化によるウマオカの期待値です。順を追って説明します。まずどのように点数が変化するか?
点数状況変化
今回の主役は白鳥プロなので、白鳥プロ目線での点棒状況がこちら
左の欄にあるものが起こった後の点棒状況です。あがりに関してはその時点で終了なので自身の点棒状況だけ載せました。
*詳細 白鳥プロのあがりはツモロン比率、4:6。 親リーチロン7500点、ツモ10000点。テンパイ+1300、ノーテンー1200。堀滝沢両プロのテンパイノーテン率はそれぞれ17%と83%。流局時供託は1/4にして分配。
白鳥プロの順位率
続いて、Critter氏の麻雀順位予想計算機を使って点数変化後の白鳥プロ着順予測
結果別半チャン収支
最初に計算した点棒状況に、上記の着順確率とウマオカを掛け合わせた各パターンの半チャン収支がこちら
一番右の収支の欄がそれぞれの半チャン収支になります。仮に放銃したならば、この半チャンの収支は約+20ポイントと予測できるといった感じです。ポイントであってるのかな?半チャン終了後にアナウンスされる「渋谷アベマズ 白鳥翔 プラス20ポイント」のポイントです。
一旦図で見てみましょう!
5mが通った際とベタオリの期待値
後はそれが起こりうる確率を掛け、足し合わせることで5mが通った際の期待値とベタオリの期待値をそれぞれ計算できます。使用した確率がこちら
そのまま統計学の麻雀戦術から引用です。ベタオリの数値は視力2.0を駆使してグラフから読み取りました。14巡目のデータがあって助かります
そしてはじき出された期待値がズバリ!
”あれ?ベタオリを選択したとしても+42pか悪くない。”
いやちょっと待ってください。白鳥プロは何としてもトップが欲しいんです!
どこまで押すことができるのか?
状況をもう一度整理します。東場をなんとかしのぎ切りトップ目で迎えた南4局、怖い怖いたろうプロから親リーチが入りました。自身は平和ドラ1の14sテンパイを入れています。あがれば念願の今季初トップ。自模る手にも力がはいりま、、、、、っとここで危険牌の5mを引いてしまいました。テンパイを維持できれば+47pが期待できますが、放銃してしまうと+20pまで減ってしまいます。はたまたベタオリを選択してお茶を濁すと+42pです。さてどうする?おすおさない?という状況です。
いったん立ち止まって式で表してみましょう。放銃率をかりにpと置いてみると、押しの期待値がベタオリを上回るは、
46766 ×(1-p)+ 20400 × p >42344
となりこれを解くと、p<16.21% になります。16.21%以下の放銃率の牌の場合は押し有利と言えます。場況から見た5mの放銃率は13~16%と予想され、微差ですが押したほうが良いという結果になりした。実際、危険牌を押し切りあがりを決め白鳥プロは見事トップを勝ち取りました。素晴らしいです!
天鳳とMリーグ
もっともらしい計算をしてきましたが、今回の計算には穴があります。
”ここで使われてるデータは天鳳のものでしょ?Mリーグの試合での判断にはつかえないのでは?”
かなり痛い指摘です。だが私にも勝算があります。まずこの局面を見て直観で”両面なので押し”と考えました。ここでピンッと、”データは天鳳のものだが、天鳳で押しということが証明できればMリーグでも押しといえるんじゃないか?”これはあながち間違ってないと思います。
ウマオカなどはMリーグのものを使って計算しましたが、元になってるデータの行動パターンはラス回避麻雀です。言い方を変えると他力決着がより望めるフィールドでのデータということです。今局で考えると、2着目の堀プロは天鳳なら2着確の上がりを積極的に狙ってきたかもしれません。それを踏まえると実際の1位確率は今回計算されたものよりも低くなると思います。これはあがりという結果以外の被ツモ、放銃、横移動、流局すべてにあたりますが、確率的にその影響を受けやすのはオリを選択した時です。
5mを通した際と比較してベタオリの期待値がより下がるということは、押しのラインは上がるということです。実際の押し引き分岐の放銃率は20%かいくつかはわかりませんが、今回計算された16.21%よりか上だと想定でき、5mの放銃率がそれ以下なので押し優位は揺るがないと思います。
計算結果が放銃率12%までとか微妙だったらなんも結論出せず終わっていたのでよかったです、この記事もお蔵入りでした(笑)
余談ですがひとつ
もし白鳥プロの待ちが愚形だったどうだったのか気になったので調べてみたところ放銃率6.77%でした。前回書いた"リーチに対しての押し引き"と同様、両面と愚形による押し引き分岐の放銃率差は約10%という結果になりました。局収支、半チャン収支、両方で考えてみてもある程度近い数字が出るのかもしれません。
個人的に放銃率10%の差は大きいと思います。リーチに対して危険牌37残り筋10本or5本の状況を比べててもらえると分りやすいです。頻度が段違いで、両面に構えられてるだけで無筋5本分の余裕が持てることになります。平面的な牌効率も重要ですが、押し引きの観点から見て好形テンパイを目指す手作りも必要になると感じます。いずれにせよペンチャン嫌いの自分にとっては満足できる結果でした。
ここまで読んでいただきありがとうございました。何もわからないより何かわかった方がいいをモットーに書いてみました。
白鳥プロ今季初トップおめでとうございます!