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7 Things I Learned About Paris -N-

7ヶ月間で出会った沢山の、あの道、あのお店、あの人。
パリの街を大嫌いにも、大好きにもなった。
まだまだ知らないことばかりだけど、2020年時点の私にとっての、

「パリ 7つのこと」。


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1. Diversité

移民大国フランス。パリにも色んなルーツを持った人がいて、街もたくさんの文化が入り混じって形成されてる感じ。日本、中国、韓国、アフリカ、インド、ベトナム、などなどほんとに多様。
面白いのが、それぞれの文化圏がそれぞれのエリアを築いていること。よく考えてみると日本も同じことが言えるけれど(横浜の中華街とか新大久保のコリアンタウンとか)、パリのそれはもっと多様。
パリの北の方、18区とか19区のあたりはアフリカ系移民のエリア。白人は本当に少なくて、初めて行くとちょっとびっくりするかも。人も、街の雰囲気も明らかに異なっていて、違う国に来たよう。私の家の近くにもインド人のエリアがあって、その通りだけ匂いが強烈だった。ルーブル美術館からも近い1区のあたりには日本食レストランが立ち並んでいて、いつもたくさんの人で賑わってる。

それと、フランス人の間にもエリア別の個性があるのがさらに面白い。16区の人たちは、優雅なブルジョアという感じ。街も閑静で、全体的にハイソな雰囲気が漂ってる。反対側の4区、11区はもっと若くてエネルギッシュ。古い価値観に囚われない若者たちの街。
パリ地図は、類が友を呼んだ結果出来上がった、という感じがする。
大都市はどこだってそうじゃないか、という気もするけれど、日本で生まれ育った私にとってはすごくこの街の多様性が印象的だった。東京よりも全然小さいのに、こんなにもたくさんの異なる文化が詰まっているなんて…なんて忙しい街だろう!通りの角1つ曲がるだけで、驚くほどに雰囲気がガラリと変わる…まるでディズニーランドのよう。本当にパリは飽きることがない。

異なる人が街を行き交う様子を見ていると、これからの日本はどうなるのか〜なんて想像する。今の日本は、明らかに日本人の国。中国だったり韓国だったり近隣のアジア文化はあるにはあるけど、やっぱり存在感は大きくない。国同士が地続きで、人種がごちゃまぜなヨーロッパのように多様化して行くのだろうか…。多様化するのはいいことなのか悪いことなのか…。一概には言えない問題だろうけど、どこかしらの方向に向かって日本だって進んで行くんだろうな。「今の日本」はもう未来には存在しないのかな、なんて考えてちょっとしんみりな気分にもなったり。


M: 確かに、隣り合わせのブロックでも生活の軸となる衣食住とか考え方とかが違うって日本では感じられないことだよね。なるは、日本人留学生としてパリの街にいて、自分の立ち位置はどんなふうだって感じた?
N:どこのコミュニティにいても、自分は「永遠に外国人」だって思うことが多かった。だからパリのどの地域を歩いてても、自分の立場っていうのは常に「そとがわ」で、変わらないって感じだったな。
M:ライフスタイルによって「類は友を呼ぶ」って感じでできたエリアには例えばどんなのがあるの?
N:例えば、ヘルシー志向の人たちとかお店が集まるところとか。当たり前のことかもしれないけど、そうやってカルチャーマップみたいなのができて行くんだなって思った。



2. Bio

フランスのスーパーでよく見かけるのが、「bio」のマーク。どこのスーパーにも必ずあって、広く棚を占めているし、bio専門のスーパーもかなり多い。bioとは「オーガニック」のことで、「自然環境に配慮してより健康的な商品を生産する方法」のこと。生産過程全てにおいてできるだけ自然由来の原料・方法を使わなくてはいけなくて、bioに認定されるにはかなり多くの基準をクリアしなくちゃいけない。
日本でもたまに「有機野菜」だったり、「オーガニックコスメ」を耳にすることがあるけど、フランスではもっとずっと一般的。野菜やコスメだけじゃなくてポテチやチョコといったお菓子だったり、お酒、選択洗剤、服などなどお店にはbioの表示がたくさん。レストランのメニューにもbioマーク付きのものがある。
結構過激なデモ団体があったりするほど、欧米では環境への意識がすごく高い。たくさんの人が日々の自分の選択にもっと責任を持とうとしてる。口にするもの、身につけるもの全てにおいてできるだけ、地球を傷つけないものを選びたい、という人が多いみたい。
もちろん全員が全員、環境のためを思っているわけじゃないだろうし、「体に良さそう」くらいのイメージでbioを選んでる人もいると思う。
でも、気軽にその選択をできるってことが大切だな、と思った。一部の人だけの「意識高い系」のムーブメントではなくて、すべての人にとって身近な、いつもの商品のすぐ隣にある選択。日本はまだオーガニックが、お洒落な流行でしか無いような気がする。早くそれが当たり前の身近な選択肢になるといいな。
そのためには市場が拡大しないといけないんだろうから、たまには遠くのオーガニックスーパーに足を伸ばしてみようかな。


M:子供たちはどういう風にBioっていう考えと出会うんだろう。教育現場でもよく扱う話題なのかな?
N:どんな教育があるかはわからないけど、選択肢としてどこに行っても当たり前にあるっていうことがすごいなって思ったんだよね。日本ではわざわざ選ぶ物って感じだからね。
M:パリをはじめとするヨーロッパって、どうやって環境問題に対する興味関心が高まったんだろう?多文化共生の中で文化的や宗教的に、「食べないものがある」っていう考えが常にあったことも関係してるのかな?
N:それもあるかもしれないね。きっかけとなった出来事は諸説あるけど、動物の飼育環境とか食品の製造方法に改善できることがあるって考える機会がきっとあったのよね。


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3. Style Parisien

「パリジャン / パリジェンヌ・スタイル」。誰が聞いたって「お洒落な人」を連想するはず。

実際、フランス人はお洒落な人が多かった。
個人的な好みの問題もあるだろうけど、やっぱりセンスの良い人が多い。
街中にある美術館が、フランス人の美的センスをあげることに貢献しているのかな…。
見たこともないものを着てるわけでもないのに、着こなし方が新しく感じる。
色使いだったり、シルエットだったり、全体の雰囲気だったり…街を歩いていると、「真似したい!」と思う素敵な人が多すぎて大変。
パッと目をひくお洒落な人がたくさんいるのと同時に、「普通なのに素敵」な人が多いのも印象的だった。ラフなお団子ヘアに、大きなストールを巻いて、トートバッグ。それだけなのにかっこいい。
素敵な人全員に共通しているのが、「当たり前にそうしている」ところ。
遊び心溢れる小物や、カラフルなアイテムを身につけてるお洒落な人だって、着飾っている感が全くない。その格好がその日の気分や予定、その人の好みこだわり、ライフスタイルに合っているから「当たり前にそれを選んでいる」よう。

街を歩くお洒落な人たちを見ていて、「パリジャン / パリジェンヌ・スタイル」なんてものはないんだな、と思った。
どの人もその人らしいスタイルを持っていて、自分らしさも大切にしてるところがとっても魅力的。
ファッションって、自分らしさの表現なんだな、と改めて思った。
やっぱり、自分らしいスタイルは、どこにいようと自分で掴み取って行くしかないみたい。
「これは変かな?」とか細かいことは考えずに、自分の選びたいように自由に選びたいな。


M:パリジャン・パリジェンヌスタイルなんてものはなくて、っていうの素敵だね。じゃああえてパリのファッションを一言で表すとしたらなんて表す?わたしはなんとなく、「タイムレス」かなって思った。流行に囚われない「じぶんらしさ」ってタイムレスだなって。
N:それは絶対あると思う!難しい、一言で表そうとも思いつかない感じだからね。あえて言うなら、「その人らしい」ってことかな。とにかく自分を大切にしてるって感じられる。全部のアイテムを選んだ理由が「自分発信」って感じに、少なくともわたしからは見える。
M:とは言っても、やっぱり外から見て有名な「パリジェンヌスタイル」とかってあるじゃん?ボーダートップにベレー帽にカゴバッグ、みたいな。そういうステレオタイプのことパリの人たちはどう思ってるのかな?
N:そういう外からのイメージを受けて、それを再構築して自分のファッションに取り入れてるって感じがする。


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4. ODEUR

フランスにいて一番苦痛なのが…悪臭。2年前にちょろっと来た時はあまり気にならなかったんだけど、ちょっと長く暮らしてみると気になって仕方がなかった。
汚い駅の近くとか、ホームレスの多い地域とか、メトロの中とか!本当に臭い!!
もちろんどこもかしこも臭いわけじゃないけど、
いたるところに臭いポイントがあるパリでは「肺いっぱい空気を吸い込みたい」だなんてとても思えない(大気汚染もかなりひどいし)。
手続きがやたらめんどくさいとか、みんな全体的に雑とか、ストライキで交通機関ゼロとかはまだいいけど…この悪臭はきつい。ある期間我慢すればいい問題じゃなくて、ずっと付いて回るもの。パリに住む以上は永遠に逃げられない…。


M:それパリに行く前になるに聞いてたからどんなもんかと思ったけど、わたしは気にならなかったな。
N:それはあんまり臭いとこに行ってないからだよ!笑 ほんと、ここはトイレですかって思うような匂いの場所があるの。パリで暮らすことになったらこういう場所も避けては通れないんだなって思うと、うーん、って思う。



5. Musée

日本では正直、美術館が日常からは遠い存在だった。学校のレポートのために、思い腰をあげてわざわざ行くところ…そんなイメージ。たくさんの絵を観ながら、壁に沿って何部屋も歩くのはかなり疲れるし。だから同年代の若い人達が当たり前のように「美術館行かない?」って話してるのにはびっくりしたな。至るとこにある美術館が人々の憩いの場所になっていて、人々の日常生活にしっかり溶け込んでた。
バイト先のオーナーが、「パリは街全体が美術館みたい」って言っていた。その人は変化がなくてつまらない、という意味で言っていたけど、私はすごく素敵なことに感じた。フランス人には自分たちが、今までの伝統文化をこれからも守って行く立場にある、という意識が強いように思う。日常生活の色んなことをアートとして、文化として大切にしてる。パリの街は、今までの伝統がちゃんと生きていて、そして新しい作品が生まれていく場所なんだなと思った。

パリでは私も美術館に行ったりしたけど、やっぱりすごく疲れる。(興味深そうにずっと作品を鑑賞してるおじいちゃんやおばあちゃん、なぜ疲れないんだろう…。)
芸術を鑑賞するための教養に乏しいことには変わりなかったけど、それでも前よりはずっと美術館を好きになれた。家族連れとか、学生とか、カップルとか色んな人たちがいて、エネルギーに満ちた場所だった。
美術館は私がイメージしてたような、過去の遺物を集めた、「時間の止まった場所」なんかじゃない。過去から今、今から未来へ続いていく、動的な時間の流れる場所なんだな。これから人間は、どんなことをどんな風に表現していくんだろう。


M:一人一人が文化を守って受け継いでいくっていう当事者意識があるのって大事なことだよね。伝統文化を守りつつ、新しいものはどんな風に取り入れられてるのかな?
N:それぞれの中に、歴史のあるものを守る意識と、新しい物に触れてその価値を測るっていうのが別軸で存在してるんじゃないかな。
M:その話を聞いてると、パリでは文化が個人レベルで作られて再構築されてるのかなぁって思う。


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6. Boulangerie

パリのパン屋さん。日本に帰って来た今、これが一番恋しい。
バターを贅沢に感じれるクロワッサンに、小麦のいい香りがするバゲット、色とりどりのフルーツで飾られたタルト…。
お店の雰囲気とか全部含めて、フランスのパン文化は本当に大好き。

地元の人たちがパンを買っている姿って、やっぱり最高にフランス人!って感じ。私たちがコンビニで買い物をするくらい日常的で当たり前のことなんだろうけど、「かっこいいな〜」って思わずにはいられない。(日本人がコンビニでおにぎりを買う姿は、外国人の目に「超日本人!ワオ!」って映るのかな?)
私も滞在中はおいしいパンを買いにパン屋さんに行くわけだけど、やっぱりフランス人のようにスマートにはいかない。
フランスのパン屋さんは、日本の一般的なパン屋とはシステムが違う。
一番大きく違うのは、選ぶ時間がないこと。
陳列棚から自分で取って行くスタイルの日本とは違って、フランスでは店員さんにこれくださいっていうスタイル。列ができてる時とか、陳列棚を最後まで見る前に「何にする?」って聞かれちゃうから「えっと…」ってまごまごしちゃうことが多々あった。
あと、大体の店は袋をくれない。バゲットとか大きいパンには小さい紙袋をくれるけど、クロワッサンとか小さいパンは、A4くらいの紙で挟まれて渡される。カバンに入れたいときにちょっと困る。すごく無駄がなくていいな、と思うけれど、日本のパン屋に慣れた私にとっては、「紙で挟んで渡す」という選択自体が結構衝撃だった。

いくら無愛想な店員さんでも、カバンの中が小麦粉だらけになっちゃっても、フランスのパン屋さんが大好き。


M:確かに、紙に挟んで渡されたね!ビニールどころか紙袋もないんだ。
N:ビニールはもう完全にっていうくらい使われてなくて、紙袋もかなり減らされてる。日本で、包装にどれだけの資源が無駄遣いされてるか気がつかされたよ。
M:最近袋の有料化も進んでるけど、日本ではまだ「袋いりません」がオプショナルだもんね。


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7. Temps

ヨーロッパ最大の欠点は、冬の気候。日の出時間が信じられないほど遅くて、日中も薄暗いし雨が多い。ずーっと灰色。鬱。
前に授業で先生が、「フランス人は冬、太陽を求めて南に行きがち」って行ってたけど納得。本当に太陽がない。とにかく鬱。
その点日本はいいな。冬は晴れの日が多いし、空気が澄んでて遠くまで綺麗に見える。冬の朝日って本当に気持ちいい。
ヨーロッパの街並みって素敵だし、歩いてるだけでワクワクするけど、冬の天気はほんとに最悪。いっそ冬眠してしまいたいと思うくらい。
だけどその反対に、夏は日がめちゃくちゃ長い。夜遅くまで暗くならないからずっと遊んでられる。最高。空気もカラッとしてるヨーロッパの夏は日本よりも絶対に良い。

友達と気候の話をしてた時、冬の日照時間がほぼ無くて、しかも寒さが厳しい北欧の話になった。北欧では、冬に外ででいることなんてほとんどないから、多くの人がほとんどの時間を家で過ごすらしい。その結果、お家時間充実のためにインテリアデザインが発達してるんだって。当たり前のことだけど、同じように季節がある地域でも過ごし方が全然違って、それぞれに合った文化が発達してるのが面白い。
グローバル化でいくら物が移動してたって、地域の気候に合ったライフスタイルとかは変わることは無いんだな。


M:なるにとって寒いことってネックだよね、どれだけ街が素敵でも。笑
 でも冬のパリってもっとロマンチックだろうなぁ。
N:え、灰色だよ?笑 やっぱり暖かいとこに住みたい❤︎




たくさんの雑誌で取り上げられるパリ特集。パラパラっとページをめくってみると、どの雑誌にも、自分が見てきたよりもはるかに魅力的なパリが満載。まだ自分はこれっぽっちもパリを知らない、と改めて思った。マルシェで買い物したかった…こんなおしゃれなお店がこの地区にあったなんて…もっと街を練り歩いて、沢山の発見をしたかったな。
エッフェル塔に凱旋門にルーブルに…パリ観光は3日くらいでできる、とも言われるけれど、
パリの街を100%楽しむには、10年かかっても足りなそう。


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Fin, Naru.

N:Check out what Mana wrote what she thinks about Paris!

“7 Things I Like About Paris -M-“ 





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