見出し画像

突然呼び出してみた

仕事が忙しい一週間だった。

正直、忙しいほうがいい。会社に対して、また自分自身に対して将来の不安が積み重なっているところだった。

そこへ来て小さなトラブルは毎日ある。それを乗り越えるのも私の仕事。一々動じては行けない!と思いつつイラついていた。

夕方、親友にLINEしてみた。

急すぎて無理だと思うけど、今夜でてこない?

彼女には1歳半の子が1人いて、ご主人も会社の役員さんで忙しいので予定をちゃんと決めて会うべきと認識してたのだけど、ダメ元で連絡してみた。

ダメならダメで、1人で映画でも見に行こう。でもそんなに見たいものも無いけど·····なんて考えつつ。

会いたい!夫が帰宅してからだから遅くなるけどいい?

勿論!ということで私も一旦帰宅。

お互い食事は簡単に済ませて、バーに行くことに。

普段は滅多に行かないバー。お酒は好きだけどめっきり飲まなくなった。たまに食卓に並ぶのはビールもどきだし、なんならアルコールフリーを選ぶ時も少なくない。

夕飯は素麺。茹でた豚肉と冷凍の刻みオクラを塩こうじとごま油で和えて、そうめんにぶっ掛けたものを食べた。我ながらこういうものを作るのが得意·····

最近買ったばかりのワンピースに着替えて、セットで買ったカーディガンではなく和えてリネンのオーバーサイズな白シャツを羽織った。

我が家の近くに彼女が来てくれた。子供を寝かしつけて、ご主人に許可(許可って違和感あるけど)を取り私に会いに来てくれた!

それがとても嬉しい。

訪れたバーは初めてのお店。

Bees bar byNARISAWAが23時までだったので、終電までに彼女を帰すことを考えても丁度いいと思って選んだ。

そこはあのナリサワシェフが出しているお店らしく、敷居が高いのでは?と心配したけど、かなりカジュアルで照明は明るく、バーに慣れない私たちでも入りやすい店内。

バーテンさんは女性。なんだか新鮮。

私の仕事の愚痴をぶちまけながらカクテルやワインを飲んだ。話したりなかったけどリフレッシュ。彼女は自分のことように、私の受けたストレスに怒ってくれる。

愚痴ったからリフレッシュしたように思ったけど、友人が飛んできてくれたことが嬉しいのだと思った。

お互いまだ話し足りない気持ちのまま、閉店時間になった。

友人は目の前にある外苑前駅は使わずに乃木坂駅まで散歩したいと言った。なるべくゆっくり歩きながらおしゃべりは続いた。

終電大丈夫?と聞くと「いい、タクシーで帰ることにした」と言って、また経路を変えて外苑東通りまで歩き続けた。

通りに出てタクシーを拾おうとしたとき、彼女が言いづらそうに打ち明けてくれた。

実は2人目妊娠したんだ·····

予想外の告白に、またタイミングに戸惑ってえええ!?と大きな声を出してしまった。

彼女なりに、自分の将来のことをいつも考えているようだったから、今回妊娠したことには少し困惑しているようだった。

妊娠したことを困惑するなんて、と思う人もいるかもしれないけど、女性の現実だ。抱き締めてあげたくなった。気持ちの整理が必要なことがある。

「もっと早く言ってよ。私の仕事の愚痴なんてどうでもよかったよ!」

そうか、だからか。

「バーに行きたい」と言ってたのにノンアルコールのカクテルを飲んでた。少し引っかかったけど、私自身、コンディションが悪い日はノンアルコールにすることはよくあるから、その程度に思ってた。

彼女はバーの雰囲気が味わいたかったのだ。

これからはお酒も飲めないし、どんどん時間や行動範囲が制限される。働き方についても考えてるだろうな。

割増になってないタクシーを捕まえて、彼女を乗せ見送った。

つづく


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?