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静かな鎌倉
しらばらく外へ出掛けていないため、この日は鎌倉へ1人で出掛けることにした。行きたいお店は事前にネットで調べた。意外と歩いているだけじゃ見つからないお店というものがある。
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鎌倉駅に着くとGW前だというのに人で溢れかえっていた。お土産屋さんのお兄さんが「暑いでしょ。ここで涼んでいきな〜!」と中高生に声をかけていたが、わたしの目の前にいた男の子たちはあまり乗り気ではなさそうだった。
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あまりの人の多さにわたしはトボトボ前を歩くしかなかった。携帯のマップを見てみたら、小町通りを歩くのは遠回りだったと気付く。
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ようやく通りを抜けて、傍道に入ると、人気は一気に減り、鳥の鳴き声がよく聞こえた。
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小町通りの人混みを見ていたので、線路沿いの人の少なさには驚いた。
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しばらくして目的のお店に着いた。「開いているのだろうか?」と心配になって、恐る恐るドアを開けると、2名の店員さんが出迎えてくれた。「よかった、お店間違っていなかった」と表情は硬かったと思うが心の中で安堵した。
2階がカフェスペースとなっており、1階はパンの販売を行っている。履き物を置くスペースは階段の途中にあった。
わたしは勘違いして、置いてあったスリッパを履いて2階に行くかと思ったら、それはお手洗いなどの用があるとき、2階から1階に降りて、いちいち靴を履き替えずにするためのものだった。「勘違いしちゃいました。すみません」と謝り、スリッパを元の位置に戻した。
2階に上がると、お客さんは1人しかいなかった。わたしは窓際の椅子に腰をかけた。まだ4月の後半だったが、この日は薄手のロングTシャツで過ごしても暑い日だった。顔の汗をハンカチで拭き、コーヒーフロートを頼んだ。
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溶け切る前に写真を撮る。しばらくしてランチを食べ終わったお客さんが1階に降りた。カフェスペースを使うお客さんは、わたしだけに。下から「いつもありがとうございます」という声が聞こえてきた。
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2階で1人、ホトトギスの鳴き声、電車の走る音、下の階から聞こえる店員さんの会話、それらを聞きながら、本を読んだ。
ハエの飛ぶ音がした。どうやら外に出たがっているみたいだ。わたしは窓際の席にいたので読書を中断して、窓を少し開けて出口を作り、ハエを逃して、窓を閉めるということを計3回くらい行った。本当は4匹目もいたが、どこかで外に出られるよう祈った。
お店に滞在して3時間後、そろそろ帰るかと1階に降りる。お会計の際、大したことではないけれど店員さんに1つ質問ができたのがうれしかった。いつもは遠慮してしまうのだが、今回は、ほんのちょっと勇気を出してみた。今年はやりたいのは、通いたいと思う場を見つけることと、できるだけ目の前の人との縁を大事することなので、これからもちょっと頑張ってみる。
4匹目のハエは外に出られただろうか。
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