わたしが当事者になってしまったとYahoo!ニュースで知りました。芦原妃名子さんと小学館の件。

 芦原妃名子さんとは一面識もありません。「セクシー田中さん」を2巻まで読んで「おもしろいな! また続きが出たら読もう!」そう思ってそのまま忘れていました。家にはテレビがないのでドラマも見ていません。たんなる一読者です。

 芦原さんの悲しい出来事が起きてしまって思うところはありましたけれど、言葉にすることはありませんでした。わたしは部外者だからです。関係ないのにアレコレ言う資格はありません。ただ作家のはしくれとして言わせてもらえるなら、当事者の方たちがそれぞれに最高の作品を作ろうとした時に、人数が多すぎてズレが生じたのかな……と思います。全員が最高に面白い作品を作ろうとしているのに、価値観のちがいで大きなズレが生じてしまった。

 イラストレーターさま、デザイナーさま、担当さま、校正さま、編集長さま、そしてわたし(作家)……わたしが経験した作品作りの参加者はこれだけです。それでも価値観の違いでガチの言い争いを何度もしました。全員が最高の作品を作りたいと思うから、本気ですし譲りません。テレビドラマとなればもっとたくさんの人が関わりますから、争いの頻度は格段に多かったはずです。

 けれどもわたしがそれを言って、なんになる? わたしは部外者です。部外者は静かにしておくのが一番。そう考えて意見を表明することはありませんでした。

 ところが思わぬところで影響が出てきた。小学館の不買運動の気運が高まってきた。これは…………ちょっと…………。

 以前のエッセイで公言していますけれどわたしの生活費には、いま書いている本の印税がガッツリ折り込まれています。印税をもらえなかったら生活が破綻する。印税を払ってくれるのは「小学館」です。小学館の不買運動が実際に起きたら、わたしの生活を直撃する。わたし、終わったかも……。

でもそれを言ってなんになる? 芦原妃名子さんは、もっとずっと辛かったはず(今は苦しんでいないことを心から願っています!)。それに関係者の方だって、もっとずっと辛い。わたしは自分でなんとかすればいい。部外者はすっこんでおくのが一番! でも自分の生活が破綻するのはしんどいな……。一人でクヨクヨしていました。

昨日もクヨクヨしつつ、それでもバイトでアタフタして、クタクタに疲れて眠りにおちました。朝になって目がさめてスマホを手に取り、寝ぼけまなこでYahoo!ニュースを見ていると、小学館の第一コミック局が今回の件について声明を出したと書いてあった。そして小学館のいろいろな編集部が公式サイトでその声明を引用することで、各自の想いを表明しているらしい。どんな声明なのかな? 後で見てみよう。そう思いながらニュースを読んでいると、引用した編集部の中に「ジュニア文庫」と書いてある!! わたしの本を出してくれたところだ!! どういうこと!?

あわてて第一コミック局の声明をネットで探す。内容は真摯で胸を打ちました。声明を考えた方たちの想いを想像すると泣けました。あまりに真摯なので、ここで内容をお伝えするのはやめておきます。わたしの誤読で間違った内容を皆さまへお伝えしたくないので。よかったらお探しになって、ぜひご高覧ください。

ジュニア文庫のサイトを見ると、声明文のURLがトップにありました。そして第一コミック局の声明と同じように「作家の皆様 読者の皆様 関係者の皆様へ」と書いてありました。これを見てわたしは泣きました。

出版社にとって一番大事なのは「読者さま」です。本を買ってくださる「読者さま」が一番大事。それなのに一番大事な読者さまが、ここでは二番目に書いてある。そして「作家」が一番先頭に書いてある(涙)。読者さまもご覧になるのにこの並びで書くには、並々ならぬ決意が必要です! 少なくともわたしは、読者さまを二番目にする勇気はない! それなのに作家が一番になっている……。この書き出しで、声明を公表した方たちの本気が伝わりました。そして同じく引用したジュニア文庫の皆さまの本気も!! この方たちは本気で作家を守ろうとしている! そして二度と悲劇が起きないよう心を砕いてくださっている!

会社が声明を出さないと公言した後で、一部署が声明を発表するのは正気の沙汰ではないと思います。会社にケンカを売ってるようなものですし、表明しても社外から非難を浴びる可能性だってある。会社から見放されて社外から非難されるかもしれないのに、それでも公表に踏み切った。そして社内の各部署が、それぞれの想いを持って公式サイトで引用している。共倒れになる可能性が高いのに、それでも作家を守ると表明してくださっている。そしてわたしがお世話になっているジュニア文庫が、危険を冒して引用している。

この時点でわたしは当事者になりました。ジュニア文庫の作家として、できることはないか?

編集者の方たちが危険を犯して「作家を守る!」と表明してくださいましたけれど、わたしは「編集者を守る!」と言えるほどの力はない。でも、それでも、きっとなにかできるはず。皆さんの本気に応えなければ!! 

ない知恵を絞って一生懸命に考えた一文をリポストしました。

(以下引用)

プチコミックの声明を載せてくださって、ありがとうございます。
ジュニア文庫と関わる一作者として、感謝しています。

二度と悲劇を起こさないため、作家にもできることを考えてゆきます。

あの方が今は心安らかでいてくださるよう切に願っております。

(引用終わり)

Xなので文字数の制限があって、これが精一杯でした! 本当は編集の皆さまにとても感謝していること、作家サイドにもできることがあるはずだから、みんなで一緒に考えていきたいこと、まだ芦原さんのご冥福を祈るほど気持ちは落ち着いてないけれど、芦原さんが今は心安らかでいられることを心からお祈りしていることなどを書きたかったのですけれど!!

わたしのリポストを見て「ソウは実際のところ、どう思ってるんだろう?」と思う方が世界に一人くらいはいらっしゃるかもしれないので、いまこの記事を書いています。

あの悲劇は二度とあってはなりません! 悲劇を起こさないためわたしにできることがあれば、全力でやってみます! そしていつか、わたしが編集さまをお守りできるくらい強くなりたいです! 待っていてください!! 

ここまでお読みくださって、本当にありがとうございます。
あなた様がしんどい時にちょっと笑える楽しいお話を書けるよう、今後とも精進してゆきます。今日はあまり楽しいお話じゃなくて、すみませんでした。それなのにお読みくださって感謝しています。

あなた様が心安らかな一日をお過ごしになりますように。


サポートも嬉しいですけれど、拙書「姫さまですよねっ!?」をぜひご笑覧くださいませ(^▽^)/ 愉快で楽しい本です♪♪