人生で一番後悔した一言のお話。(あぁ、言うんじゃなかった!)

レシートは大事です。お店でもらうレシートです。すぐにお財布がパンパンになる、邪魔にしかならないあのレシートです。

「ソウは作家だから? 作家だから確定申告にレシートを使うから?」

ちがいます! どなた様にもレシートは必要です! もらえるレシートはもらってください!

以前に大失敗しました。お世話になっている方から上等の傘をいただいたのです。使うのがもったいなくて大事にとっておいたのですけれど、その方にお会いするときに雨が降っていたので、満を持して使うことにしました。約束の場所までタクシーで行ったら、タクシーに傘を置き忘れてしまった! レシートをもらってないからタクシー会社がわからない! 新品の傘は一度も使うことなくどこかへいってしましました(涙)。

これで学習すれば良かったのですけれど、アタマのわるいわたしは同じ過ちを繰り返してしまいます。またタクシーに忘れ物をしたのです。バカだ!! レシートはもらわなかったものの、タクシー会社はおぼえている! 電話をかけるぜ! 忘れ物を取り戻すぜ! しかし忘れ物は戻ってきませんでした(涙)。

その忘れ物とは「新品のお財布に入った6万円(!!)」です(涙)。カードや身分証明書は入っていなくて、真新しいお財布(ブランド品)と6万円だけ。もしカードや身分証明書が入っていたら、手元に戻ってきたかも。でも入っていなかったのでダメでした(涙)。

6万円も勉強料をお支払いしたので、さすがのわたしも学習しました! レシートは大事! レシートはもらわなきゃダメ!!

そして年月は流れ、わたしは大人になりました。その間にもらったレシートは膨大な数になると思います。しばらくすれば捨てるのですけれど、何かあった時のためにもらい続けていました。

ある日ボロアパートでのんびりしていると、ドアをノックする音がした。はてさて? 誰だろう? ドアを開けてみると鋭い目つきでくたびれたスーツ姿の男性が…………。知らない人です。どなたですか?

男性:警察です。
ソウ:(げ!?)

刑事さんは身分証をチラリと見せてくれましたけれど、警察手帳を見る機会なんてないので本物かどうかわからない。

刑事:昨夜、近所で死亡事件がありまして。
ソウ:げ!?(←ビックリしすぎて声が出た)事故ですか!?
刑事:わかりません。
ソウ:(げ!! 殺人事件かもしれないってこと!?)
刑事:男性が車にはねられたんですが身元のわかる物を持っていなくて、何者かわからないんです。
ソウ:はぁ……。でもわたしは一人暮らしなので、わたしの家族ではありません。
刑事:そうですか。ところで車はお持ちですか?
ソウ:はい。持ってます。

急に話が変わったので戸惑った。なんでわたしの車の話になるの? …………(考えている)…………げ!! わたしが犯人だって疑われてる!!

ソウ:わわわ、わたしは何もしてませんよ! 何にもわるいコトはしてません!!

焦ればあせるほど挙動不審になる。わたし、落ち着け!! 刑事さんは疑わしい目つきでわたしを見ています。

ソウ:そ、それはいつの話ですか!?
刑事:昨日の午後〇〇時です。
ソウ:ちょ、ちょっと待ってください!

わたしはダッシュでお財布を取りに行き、刑事さんの目の前でレシートの束を取り出しました。

ソウ:きのう……夜の……〇〇時くらい…………あった!

取り出したのはスーパーのレシートです。

ソウ:見てください! 昨日のその時間、わたしは遠くのスーパーへ買い物に行っていました! そこから事件のあった時間に家へ戻るのはムリです!

刑事:そうですね。無理ですね。

すんなり納得してくれた! やったああああ! この日のために長年レシートをもらい続けて本当に良かった!

そもそも刑事さんは、わたしを疑っていなかったようです。だからすんなり納得してくれた。まぁ警察が本気を出せばわたしが車で人をはねたかなんて秒でわかるでしょうから、当たればラッキーくらいの軽い気持ちで疑ったのだと思います。でも秒でアリバイ証明できたわたしは偉い!! 

自画自賛していると刑事さんが写真を取り出しました。

刑事:亡くなった方の身元がわからないので、知っている人を探しています。この顔に見覚えはありませんか?
ソウ:その方って、亡くなった……んですよね……?
刑事:はい。
ソウ:その写真、見なきゃダメですか?

わたしは昔から(今も)知り合いが異常に少ないので、知っている人だとは思えない。亡くなったのはお気の毒だが、わたしがお役に立てる確率はほぼゼロです。それなのに亡くなった方のお顔を見ないといけませんか? 見逃してもらえませんか?(涙)。

刑事:安心してください。まだ生きている時の写真ですから。

なにを安心するのさ!? けっきょく亡くなった方なんでしょう!? 今は亡くなっていると知っているのに、生きてる時なんて言われてもなぐさめになりませんから!!

ソウ:…………見ないと…………ダメですか…………?
刑事:お願いします。

薄目にして(←見たくないから薄目にしたが、バッチリ見えているので意味はない)見た写真は〇〇が〇〇で〇〇した30代と思われる男性の写真でした(涙)。(←血がニガテな方のためにマイルドな表記にしています)…………(涙)…………やはり見たくなかった…………(涙)。赤い……(涙)。夢に出そう…………(涙)。

ソウ:…………(ショックで泣くのをガマンしている)やはり知らない方です。
刑事:この辺で家族が家に帰ってこないという話は聞いてませんか?
ソウ:近所に知り合いはいないので聞いていません。

ここでムクムクと知りたい気持ちが湧いてきた! これは作家になる前からです。わたしはなんでも知りたがる! 思えば作家になれたのは、この野次馬根性が一役買っています。ぜんぜん自分に関係ない話でも、すごく聞きたい!

ソウ:その方って、どういう状況で(お亡くなりに)?
刑事:現場の前にコンビニがあるので、おそらく買い物に。酒を飲んでいたので、酒を買いに行ったのかもしれません。
ソウ:あぁ、あのコンビニですか。ポツンとあるコンビニだから、道路は暗いですものねぇ(←田舎なのでコンビニは一軒しかない)。
刑事:横断歩道もないですし、暗い色の服を着ていたので見えなかったと思います。
ソウ:この辺で歩いている人なんて、めったにいませんしねぇ……。
刑事:そうなんですよ。はねた人もまさか人がいるとは思わなかったでしょう。ポケットに現金だけ入れていたので、免許証などの身元がわかるモノがないんです。ですからどこの誰かわからず捜査が難航していまして……。
ソウ:それは刑事さんもお気の毒ですね……。お役に立ちたいのですけれど…………、

お役に立ちたいわたしはこの時、その後の人生で一番後悔する一言を言ってしまったのです。あんなこと、言わなきゃよかった! 今でも後悔しています! その一言とは…………、






「でも30代の男性に知り合いはいませんから、わたしは知らない方です」

写真で見た男性は30代に見えたから、何気なく言いました。この一言で刑事さんの目つきが変わった!! 言うんじゃなかった!!

刑事:30代!? 男性は50代と思われます!! この写真は車にはねられた直後で全身打撲で〇〇が〇〇だから(←エグいので自己規制)顔が腫れているんです! もう一度ちゃんと見てください!! あなたの知っている人かもしれません!!

ソウ:イヤです! 見たくないです!
刑事:ダメです! ちゃんと見てください! 知ってる人かもしれない!!

目の前にエグい写真が突き出されます! いやああああああ!!

刑事:ちゃんと見てください! 〇〇が〇〇だから(←表現がエグい!!)顔が腫れているんです! 顔が腫れてないところを想像してください! 知った顔じゃありませんか!? ちゃんと見て!!

見たくない! 見たくないけど見なきゃならない! 血が付いてなくてバンバンに腫れた顔をしぼませて50代だと想像して…………(涙)。

ソウ:知りません(涙)。知らない方です……エグ……(←ショックで泣いている)。
刑事:本当に知らない人ですか!? 間違いないですか!?
ソウ:知らないです! 50代にも知り合いはいませんから!!
刑事:本当に?
ソウ:本当です!!

やっと刑事さんにお帰りいただいて事なきを得ましたけれど、今でも後悔しています! 30代なんて言わなきゃよかった! いらんコトを言ったせいでトラウマ級の写真をガン見する羽目になってしまった!! わたしのバカ!!

後日、町のウワサで事件の結末がわかりました。男性は短期間だけ工場へ派遣された工員さんで、近所のマンスリーアパートに住んでいたそうです。県外から来た方で日も浅く、誰も知り合いがいなかったから身元がわかるのに時間がかかった。お気の毒です。ご冥福をお祈りします。

はねた人も後に判明しました。真っ暗な道で大きな音がして何かにぶつかったものの、イノシシだと思って停車しなかったらしい。わたしも近くでイノシシにぶつかったことがあるので、お気持ちはわかります。まさか人とは思わなかったでしょう……。

今日のまとめ
・レシートは大事!!
・いらんコトを言うと後悔する!!

でもバカだから、すぐにいらんコトを言ってしまうのですよ……。直近の失敗は昨日です(涙)。バイト先でポロリと「彼氏と別れた」と言ってしまった。それまでプライベートな話をまったくしなかったので、皆さんの喰いつきがすごかった!! 帰り際に言ったので「お疲れ様でした~!」とダッシュで逃げましたけれど、今日バイトに行ったら私生活のことをアレコレ聞かれると思う……。

聞かれれば正直に答えるが、作家をしていることは知られたくない! noteで記事を書いているのがバレたら書けなくなってしまう!! でも「バイトだけじゃ食べていけないでしょう? なんのお仕事をしているの?」そう聞かれたらどうしよう!? ウソはつきたくないが、本当のコトも言いたくない!! でも兼業していたら上司に何の仕事をしているか報告する義務があるのですよ……。どうしよう?? 

あぁ、いらんコト言わなきゃよかった! やっぱりわたしはバカだ!!



サポートも嬉しいですけれど、拙書「姫さまですよねっ!?」をぜひご笑覧くださいませ(^▽^)/ 愉快で楽しい本です♪♪