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バイフィッターはこうやってサドル選ぶのです

自転車の乗り心地やペダリングなどを決めるのに重要なファクターである「サドル」これにこだわってこそ一人前!とも言えます。
最近は殆ど見かけなくなりましたが、プロ選手がハンドルやサドルはロゴを消したり契約メーカーのロゴを貼り付けたりして、支給外の製品を使ったりもしていました。
小僧である私スズキはそれを見て真似したりしたものです。
有名な所で言うと。。。

「ボントレガー柄のサンマルコ・リーガル」(パオロ・サヴォルデッリ)
「ボントレガー柄のサンマルコ・コンコールライト」(ランス・アームストロング)

昨今そう言った「サドルへの執拗なこだわり」が減ったようにも思えます。

実際の所は老舗メーカー以外のサドルメーカーやOEM先が解剖学を徹底的に研究した結果どの製品であっても「大ハズレ」「誰が使っても痛い」みたいな物が減ったのだと思います。でも折角だから「良いサドル」にしたいですよね?
そしてバイクの一番上にあるサドルはバイクのルックスも左右しますよ。

身体も乗り方も人それぞれ。フォームだって違います。
バイクフィッターとしてどうやってサドルを選んでるか?をお伝えしようと思います。

まずは身体のサイズを測ろう!話はそれからだ。

サドルが合わない!そう言う方の8割くらいは「適切なサイズでないサドル」を使っています。
「え?じゃあ何処のサイズで判断するのさ?」
そうなると思います。ヒップサイズを測るの?そうではありません。
オケツのデカさとサドルサイズには関係が無いのです。
関係があるのは「坐骨結節」と言う場所の幅になります。
坐骨結節というのは「座った時に接するお尻の骨の部分」です。要はヒップサイズはお尻の筋肉や、その周囲の脂肪を含んだサイズになるので、骨のサイズとは無関係なのです。

自転車の骨格の一部である「サドル」これとライダーの骨格の一部である「坐骨」この二つのパーツのサイズを最適化してあげる事がとても重要なのです。
サドルのサイズは測る事もできますし、何ならパッケージに書いてあったりしますね?
先ずはご自身のパーツのサイズを正確に知る事が大事です。

写真にあるような「シットボーンゲージ」というツールを使って計測をします。

計測に必要なフォームを取って測るとこのような感じでプリントされます。
サイズを測りやすくする為に、頂点の部分を見極めて指でマークしています。

スズキの坐骨幅を測ってみる


これはスズキの坐骨結節幅ですが112mmと言う事がわかります。ボントレガーのサドルで言うと中間のサイズである138mmもしくは145mmが適切と言う事になります。
当然男性と女性でも坐骨結節幅は違い、女性の方が広めになる事が一般的です。

サイズを測り各メーカーのチャートに当てはめれば、大体のサイズは判別ができます。
これによって「大ハズレ」は回避ができます。サイズを適切にしてあげれば、正直な話サドルの痛みのかなりの部分が解消するとも言えます。

ここからサドル選びの始まり


ただこれは入り口に過ぎません。ここから更に「どのサドルを選ぶか」のスタート地点になります。
坐骨結節幅は前傾が深くなると狭くなるという特徴があります。よくママチャリにしか乗車経験の無い方から「こんな狭いサドルでお尻痛くならないの?」と言われた事ありませんか?
ある種これは正しい意見で「ママチャリのような姿勢で乗るとサドルの幅は広くなる」なので、乗車姿勢の起きた乗り方をする場合は適正なサドルサイズよりも広くする場合があります。

この辺はバイクフィッターの腕の見せ所で「その人がどう乗るか」によって選ぶサドルが変わってきます。色々な要素があるのですが、ここでは一例を示しますね。

同じ幅でもサドルそれぞれ違うんですよ


この写真のサドルはそれぞれ別のメーカーのサドルです。それぞれの外幅は同じくらいです。チャート上で言うとスズキに合うサイズのサドルと言えます。
しかし、同じ坐骨幅から実際のサドル座面までの距離を見ると違うのがわかります。
左側のサドルの方が座面までの距離が遠いですよね?
つまり坐骨結節への有効度がこの2つのサドルでは異なります。取れる前傾の深さや、実際の坐骨幅の差異によって変わるのです。

何故坐骨結節でしっかりと支えられるサドルが必要か?というと脚の付け根である腰をしっかりと安定させたいからなのですが、体幹などの筋力が高く腰や胴体の安定度の高い人だと、広すぎて坐骨が支えられすぎると「ペダリングしづらい」と感じる場合もあります。その場合はモデルを変えたり、幅の設定を変更したりする事もあるんですよ。フィッティングの現場ではこういった事をしますが、自身の坐骨幅とライディングスタイル、サドルのサイズと形状を把握していれば「このサドルは自分の好みか?そうでないか?」は判別がつくようになります。

実際の自分の話になってしまいますが、バイクフィッターの勉強をする前から「好きなサドル」「苦手なサドル」「コレじゃないとダメ!っていうサドル」が存在しました。
ただ、その頃は「何故好きなのか?」が解らなかったのです。皆さんと同じように「買ってみて判断」というサドル沼に徹底的にハマった時期もあります。

なので1個のモデルに固執しましたし、自分に合うものを選ぶときは「博打」みたいな感じでした「使ってみないと判らない」と言う感じでしたから。
今はそうではありません。「大体コレは大丈夫そう」までは見ただけで分かるようになりました。

ライダーの皆さんとご相談をさせていただく場合も、こう言った経験値を元にお話をさせて頂いています。
バイクフィッティングを受けていただくのが一番ですが、サドルの購入相談なんかもお受けしてますのでいつでも気軽にどうぞ。

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昔はサンマルコ・ストラーダが大好きでした! スズキ