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パナソニック スチールフレーム(FRCC13)はどんな人に向いているのか?

正直なところ「美味しいもの」って沢山食べられなかったりしませんか?頭の中に味覚の情報で溢れてしまうような。そしてそれが記憶の中にずっとあるせいで、同じような料理なのに「味は濃くても味わいが感じられなくなってしまう」そんな経験でありませんか?

今正にそんな感覚がしています。
誤解の無いように最初に言っておきます。
トータルで見たら現代の最新型のフレームで組まれたバイクは「速い」ですし「効率」も良いです。同じ力を速力に変換する能力は確実に高いです。
ただ、限られたシチュエーションではスチールバイクは組み方によって速いのですが
それが全てにおいて有効であるとは言いません。

今回この試乗車を組むのに当たって目指した所は「可能な限り現代的なパーツも組み合わせて、スチールフレームの魅力を性能面でも妥協せずに引き出す」だったのです。
フレームの持つクラシカルな雰囲気に合わせた、ビンテージ寄りなパーツチョイスをする事も可能でした。その方がパーツの持つ操作感などと相まって、バイクの味わいの総合力を上げる事は出来た筈です。

ただ、それって色々な方が既にやられている事です。
そしてこれが悔しい事に格好良く仕上がってる訳ですよ(笑
ちょっと天邪鬼で別な事をやりたかったと言うのも事実です。
でも折角だからこのFRCC13の性能を最大限に引き出すやり方をしたかったのです。
よくご覧いただくとフレーム・シートポスト・ステムを除くとリムブレーキのカーボンバイクに組み付けられるようなパーツ構成になっています。本当はステムなどもカーボンを使用し軽さを目指すべきだったのでしょうけれど
やはり「雰囲気」を壊したくは無かったのも事実です。
あくまでも比較対象は現代的なカーボンフレームに対してどう違うか?
についてお伝えしたかったのです。



「なんて言うのかモガきたくなる自転車」

これに尽きるんですよね。乗ってみて思いついたキャプションでこれを上回る物が出て来ませんでした。恐らくこのバイクの最大の特徴は「比類なきペダリングフィールの良さ」なのでは無いかと。
殆どのパーツ類を現代的な物で構成したからこそ明確に感じ取る事が出来たと言えます。この部分に関してはカーボン製バイクでも再現するのが難しいポイントです。

恐らく初めて乗られる方はペダリングが「モッサリ」感じられるかもしれません。
悪く言うならばカーボンだと剛性の低いフレームの様に感じる人も居るでしょう。
ところが暫く走ると印象が一変してしまいます。ペダリングのリズムを非常に掴みやすいのと入力できる時間が長いのです。
巡航状態から加速をしていくようなシチュエーションだとバイクが「伸びていく」のを感じられる筈です。これはスチールフレーム特有のフィーリングで、多くの人を虜にしていく特性でもあるのです。

決して重量は軽くはありません。超軽量と言われるスチールでもフレーム重量は1キロ台後半になります。完成車重量ですと7キロ台に入れるのは中々大変な筈です。実用重量ですと8キロ台がバランスが良いかと思います。セカンドグレードのカーボンディスクロードと同じ位か少し重たい筈です。リムブレーキの点を考慮するとデメリットはあるかと思います。

それでもやはり「比類なきペダリングフィールの良さ」これがスチールバイクを手に入れるメリットだと言えます。

数年経ったらニューモデルが出てきて興醒めする世界から離れられる

日々開発が進みテクノロジーも進化して、手に入れた時は最高性能だったバイクが数年後にはそうで無くなるのが現代のロードバイクです。
大人の趣味としてそれはそれで楽しいのも事実なのですが、もう少し自分の歩幅で楽しみたいと思う方も居るでしょう。でも「ゆっくりのんびり走る」のは少し違うという方も居るのでは無いでしょうか。そんな方にとってメインストリームから少し外れたバイクは楽しいかもしれません。
もう20年近く変わらない「自転車らしいスタイリング」も眺めていて飽きません。それでも今回のバイクの様に最新の仕様を完全に捨てる必要もないのです。
タイヤの太さに制限はありますが走行性能への影響が大きいタイヤも26〜28Cのチューブレスは選択が可能です。

自転車にとって空力性能は切っても切り離せない問題ですが、割とフォームによる影響も大きいので工夫次第ではそこまでマイナスにはならない可能性はあります。ただ最終的には影響があるのは否めませんが、そんな時は最新式のバイクも買ってしまいましょう(笑)

手元に置いておいて楽しみながら維持できるのが魅力です。鈴木が推奨する所有の仕方は「今まで使ってたリムブレーキバイクのパーツを流用したセカンドバイクとして所有する」です。カラーオーダーも出来ますから、思い切り好みの仕様にして大事に手元に置いておくのがオススメです。
これは不思議なスチールバイクの魅力ですが、小傷や凹みなども金属フレームの場合は何となく「使われている証」として許容できてしまう気がするのです。末長く楽しめるバイクとしてお使いいただけるのではないか?と思いますよ。