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いのちの星屑

施設では、さまざまな家庭事情により、両親と一緒に暮らせない子どもたちが、スタッフと一緒に共同生活を送っていた。
いるのは二歳から高校生まで六十五名の子どもたち。いくつかの班に分けられ、班ごとに二段ベッドのある部屋を割り当てられており、ひとつの班は、縦割りで小学一年生から中学二年生までの子どもたちがひとつの部屋でともに生活をしていた。
僕たちを束ねていたのは、スタッフでもなければ、中学三年生でもなく、中学一年で地元ヤクザの組長を父にもつウシオマコト先輩だった。
ウシオ先輩は、中学一年で傷害事件を起こし、手がつけられないほどのワル。初等少年院に二度収容され、両親からも匙を投げられ、無理やり施設に連れて来られたと、仲間のひとりが教えてくれた。
「将来、オレがオヤジを助けてやるんだ!」
それがいつもの先輩の口癖で、週刊プロレスやヤクザの抗争の記事が載っている週刊誌が先輩の愛読書だった。でも、みんなに隠れてよく読んでいたのは、”フランダースの犬”とあとで他の先輩から聞かされたことがある。
つづく

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