『東京リベンジャーズ』を恐れている男の不良に憧れた情けなくも尖った過去|谷口賢志
最近、『東京リベンジャーズ』の名前をよく聞く。
舞台版に、仲間が多く出演している影響が大きいと思うけれど、それだけには収まらない勢いをビンビンに感じるから、「今の時代に選ばれる魅力がある作品なんだろう」と、遠く離れたところからメンチ切ってる。あ、メンチを人数に合わせて切り分けてるんじゃなくて、必要以上に睨んでるってこと。注目してるし、ムキーと思ってるってこと。うざいってこと。
「ヤンキー」という言葉や、「不良」という言葉や、「昔やんちゃ」という言葉を今の時代に使って良いのかわからないけど、ダメだったらごめんなさい。
で、僕らの世代にも、いわゆる「ワル」が出てくる名作がたくさんある。
『ビーバップハイスクール』『ろくでなしブルース』『特攻の拓』『湘南爆走族』などなど、名作が多くてとても書ききれないけれど、それは夢中になって読んだ。
その中でも、意外だと思う人がいるかもしれないけれど、『スラムダンク』もマイリストでは同じカテゴリーに入っていて、登場人物のひとり「水戸洋平」が無茶苦茶好きだった。
どれぐらい好きかというと、水戸洋平が劇中、仲間のために複数人に囲まれ因縁をつけられたとき、ベラベラ喋り脅してくる相手に対して、「口喧嘩しに来たのか?おしゃべり・・・来いよ」というキラーワードからサラリと解決するカッコ良さに痺れ、台詞を丸暗記し、ある日、長々と説教してくる数学の先生に、その台詞をそのまま言ったことがあるくらい好きだ。もちろん、ちゃんとその後に「来られて」、倍以上怒られたけど。
あくまで僕の意見だけど、男は「ワル」に憧れるのではなくて、「強さ」に憧れるんだと思う。それは、見せびらかしたい強さじゃなくて、現実的に、大切な人を守れる強さに。
僕は大金(確か5万円)を持って初めて原宿に買い物に行ったとき、お札を靴下の中に隠して持って行った。会計のとき店員さんに「あらまあ」と笑われた。そんな男が、好きな子に「原宿デート行きたい!」と言われたときの何とも言えない恐怖と、堂々と連れて行けない情けなさったらない。俺が水戸洋平なら行けるのに。
もちろん、すべてを争い事なくスマートに解決出来る男の方がカッコいいのはわかる。暴力は野蛮だ。だけど、すべてが話し合いや回避することで解決出来るのであれば、世界中でこんなに暴力を含んだ争いは起き続けていない。そして理解もする。この世界に不条理で理不尽な暴力は存在する。だからこそ、大切な人を守れる強さに憧れるんだと思う。簡単には手に入らないけど。ちなみに僕はひとり公園で、薬師寺の目隠しアッパーを練習したことがある(『ろくでなしブルース』より)。意味無かったけど。
何が言いたいかと言うと、今は『東京リベンジャーズ』を見るタイミングじゃないってこと。
なぜなら・・・すでに僕の生い立ちを知ってもらい説明不要だと思うけど、この「ろくでなし影響されやすい爆走族総長・特攻の谷口賢志」が、そんな面白くてカッコいいヤンキーマンガを見てしまったら、たちまちあの頃を思い出して、43歳で痛々しいやんちゃリベンジャーズになる可能性高いからだ。スピードの向こう側に行っちゃいそうだからだ(『特攻の拓』より)。
やんちゃは、役だけでいい。
ワルは、サーP38だけでいい。
今は、家で領域展開してるぐらいが丁度いい。
それでは、みなさん・・・
無量空処!!!(『呪術廻戦』より|五条悟)
●出演情報●
舞台『RUST RAIN FISH』
『BANANA FISH』The Stage -後編-
●ファンコミュニティ●
谷口賢志の『独演会』
今日も人生を彩ろう。
谷口賢志
いつもサポートありがとうございます。余す所なく血肉に変えて、彩りを返せるよう精進します。心より深謝。