ジントニック片手に大谷翔平選手がスター街道を疾走する傍らで咲く花の話を|谷口賢志
『マインクラフト』というゲームがある。
通称・マイクラ。世界にひとり放り込まれて、様々なブロックを駆使して、サバイバル生活をする。ただ、それだけのゲームだ。
緊急事態宣言発令により、外出を制限された去年。折角の機会だから久しぶりに腰据えてゲームするか!と始めたのが、このマイクラだった。強制的前向きに言えば、憎きコロナのおかげで出逢えた新しい世界・マイクラ。僕はマイクラが大好きだ。
皆様におすすめしたい点は沢山あるけど、泣く泣く三つに要約して、そのうちの二つを豪快に投げ飛ばして、ひとつだけお話しさせてもらうと….…「マイクラ即ち是人生なんだなぁ/まさお」である。いや、あるんだなぁ。
筋書きが存在しない世界に生み落とされたときに、「俺は自由だ!フリーダムだ!!ヒャッハー!!!」と、捉えるのか、「一体….…私は….…何をすれは良いんですか?….…ハテナー!!!」と捉えるのか….…のっけから現実世界同様の真理をぶち込まれ、コントローラーを握り締めながら、その人間性を問われる。
画面の中からブロックたちが問う。
ブロック「おまえック〜何をしても良いと言っているのにック〜お前さんはック〜誰かが既にやったことをやるべきことだとック〜説明書だと言い訳つけて生きるんかいック〜ほらック〜自由なんだよック〜どうするんだいック〜ジントニック〜」
と、木や石や溶岩のブロックたちに煽られる。
谷口賢志「人生の決断をする時に必ず思い出す言葉が三つあるんだ….…」
と、僕は返す。
これは豪快に投げず、三つとも話しちゃう。
(1)「違う違う、デカく育った奴だけが上に行けるの、で上手くなるの」中学の同級生バスケ部・A談
(2)「才能が無い奴がしがみ付く世界じゃないよ」元モデル先輩・B談
(3)「海賊王に、俺はなる!」麦わら海賊談
小学生から今に至るまでサッカー小僧として生きてきたが、一度だけバスケに浮気しそうになったことがある。「バスケとバレーボールをやれば身長が伸びる!」という都市伝説を信じるか信じないかあなた次第です状態に追い込まれたことが原因だ。高身長イコール女子にモテる時代。当時サッカー部キャプテンだった僕は、その邪な謀反を誰にも悟られないように、バスケ部のエースを呼び出し、噂の真相を聞いてみた。その回答が前述(1)であり、そしてさらに続きがある。
「だから、中学の間に身長が伸びなかったら、俺はバスケはやめるしかないね。この身長で今の上手さだったらダメだね」中学の同級生とは思えない大人びたバスケ部・A談
衝撃だった。
バスケやっても身長伸びねぇのかよ….…。
じゃなくて、とんでもなくバスケが上手いエース野郎が、バスケの対戦相手だけじゃなく、自分ではどうしようもない身長の成長なるものと戦っていたなんて。軽やかにドリブルして、楽しそうにシュートを決めまくってる裏側に、そんな絶望があったなんて….…。
やっぱり他の2つについては割愛して、天才・大谷翔平選手の話をする。
圧倒的な才能と、それを最大限に活かす恵まれた身体と、凡人の想像を遥かに超えるであろう努力と、そして会わずとも皆を魅了する人間性。
正に、スーパースターだ。
野球に興味の無い僕ですら、大谷選手のホームランを見ると幸せになる。凄まじい影響力だ。
小学生のとき、「すべての人間には、何かの才能の種が植えられています。だからみんなは、これからの長い人生でその種を見つけて、大切に育てるんですよ。それが人生なんですよ。人と言う字は….…」と言われた。
嘘だねーって思った。
じゃあ、先生は、先生の才能の種が植えられてて、大切に育てたから先生になったの?言いにくいけどね….…あまり面白くはないと思うけどなぁ、先生の授業。毎日受けてるけど、あまり才能があるとは思えないなぁ….僕がハブられてるの気がついてる?って。
ま、ややいじめられて、世の中斜めに見まくってたんで、このぐらいは許してください。いえね、じゃあ僕は、いじめられる才能の種を植え付けられてんのかよ!って思ってたぐらいだったんでね。許してね?ラブ。
すべての人間に何かしらの才能があるわけじゃない。なくたっていいじゃない。才能がないからってやっちゃいけないことなんてないじゃない。
だって、なんだかんだ自由なんだから。
もちろん才能がないと行けない場所はあるし、見れない景色はある。だけど、やりたいことをやっちゃいけないことはない。当たり前なことに突っ込まないでね。もちろん色々なことを守った上でね。
大谷翔平選手は野球の天才だけど、いきなりやめちゃって、サッカー選手になっちゃいけない理由なんてない。
バスケが無茶苦茶上手いのに、身長が伸びなくて、未来がないことをわかってるからってバスケをやめる必要なんてない。必死に練習を続けて、試合で点を取りまくるエースはすげーかっこよかった。
僕に役者の才能があるのかどうかなんて知らん。僕が役者をやってることで誰にも迷惑をかけてないし、どんな時でも誰か他人の所為にして逃げることもしない。
やりたいからやるだ。やり方がどうとかこうとかじゃないんだ、俺は俺のやりたいやり方でマイクラをやる。マイクラ王に、俺はなる。
画面の中からブロックが催促してくる。
ブロックたち「答えはまだかいック〜」
コントローラーを置き、僕は静かに答える。
谷口賢志「とりあえず….ジントニック」
さておき、大谷翔平選手のホームラン王に期待している。
谷口賢志
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