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2023年1月31日(火)

大晦日ぶりに新文芸坐へ。「日本最終特別上映」と銘打たれた、イングマール・ベルイマンの特集上映に駆けつける。『ファニーとアレクサンデル』を観たのも、新文芸坐だった。今回は『沈黙』を観る。インテリの姉と奔放な妹の確執。本筋も面白いが、小人症の劇団員たちが印象に残った。帰宅後、NWR『コペンハーゲン・カウボーイ』を観る。レフンが全開だった。

2023年2月1日(水)

昼過ぎに歯科検診。健康的な口内環境で一安心。杉並区役所に向かい、真造圭伍の展示へ。『ひらやすみ』の原画がたくさん。カラーの原画に感動。水彩の淡さ、やわらかさ、ぬくもりが作品にぴったりだった。来場者は、年配の方も多かった。もちろん、杉並区の雰囲気を纏うカップルも。
夕方、マーティン・マクドナー『イニシェリン島の精霊』を観る。びっくり。終始、おじさんたちの地味な大げんか。解決策は簡単で、ひとりの時間の捻出だ。しかし、退屈を繰り返す親友のルーティンの中に組み込まれる自身のリミットと生活。これを打ち破る苦肉の策が凄まじい。めちゃくちゃ。コリン・ファレル、バリー・コーガンの共演が嬉しかった。
帰途、行きたかったお店へ。ハードルが高いお店だったが、思い立ったが吉日。西荻窪〈酒蔵千鳥〉に立ち寄る。綺麗なカウンターにうっとり。料理も丁寧で、菜の花の辛子和え、銀鱈の煮付け、おでんをいただいた。完璧な休日だった。

2023年2月5日(日)

植本一子『かなわない』を読み終える。良し悪しがわからない。良くも悪くも、過剰に赤裸々だった。子どもに当たる描写を読むのは苦痛だが、子育ての幸福な瞬間には羨望も湧いた。植本さんの生活には、家族以外の他者の存在が大きい。多くの友人たちと、家庭のストレスを解消する手段の多さに「東京」の強みを覚える。

2023年2月8日(水)

職場のゴミ箱に花束を捨てる女性を見かける。冷え切った形相だった。上司に「怨念が籠ってるかも」と脅されるが、拙宅に持ち帰った。ユリ、ガーベラ、ミモザ。オレンジとイエローの花たち。部屋が明るい。

2023年2月9日(木)

早起き。菊川の映画館、ストレンジャーに向かう。菊名と混ざり、場所が曖昧だったが、墨田区だった。意外と近い。東京都現代美術館も徒歩圏内の立地。ゴダール、クローネンバーグ、ドン・シーゲルなど、尖った特集上映も面白い。年齢層は高かった。
ドン・シーゲル『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』を観る。満員だった。去年、ジョージ・A・ロメロ『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を観たときにも思ったが、古典を観るのは楽しい。お決まりの展開だが、きっかけはここからなのだ。使い古された展開の始祖。派手な演出は少ないが、役者の演技、物語のテンポが素晴らしい。リメイクも観たい。
鑑賞後、併設のカフェで休憩。ポークサンドが美味しい。腹ごなしに周辺を歩いた。東京都現代美術館の付近には女性が多く、お洒落な人が目立った。ディオールの企画展は大人気だ。清澄白河の周辺も一時期は流行ったが、現在はどうなのだろうか。相変わらず、ブルーボトルには列が。未だに混むのか。適当なお店は少なく、錦糸町に移動。喫茶店に逃げ込む。隣席に座る男の子たちの会話が愉快で、読書が捗らず。嬉しそうに固めのプリンを味わい、一方の男の子が「喫茶店に行ける男の友だちはありがたい」と言った。そうだよねと、ひっそりと頷いた。
友人と会う。一年ぶりくらい。近況と、お互いの趣味の話など。ひとつの話題を振れば、プラスアルファの返事が戻る。聡明な友人のひとりだ。楽しかった。帰りしな、二人組の男の子たちに呼び止められる。居酒屋の勧誘と思いきや、MCバトルの観戦を求められた。バトルとは無縁に思える低姿勢な男の子たち、丁重に断る友人、呆気に取られる私。許可は不要だ、呼び止めた瞬間に戦え。

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