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令和五年七月廿九日 黒酒落語会『初演三席』於・スタジオフォー

仕事が少ないと「これは稽古をするチャンス」といつも思うのだけれど、結局一席をゆったり覚えて休みを満喫してしまうので、
自分を追い込むために『初演三席』と銘打って、超ネタ下ろし落語会を開催する事にしました。
しかしながら会場はどこも埋まっていて、空いていたのは7/29の夜のみ。

今思えば隅田川花火大会の真裏だから空いていたんだろうな。

◎三方一両損
お奉行さまが合っている、と度々言ってもらえるので、
お奉行さまの出る大きいネタを覚えようという事で【三方一両損】。

この噺は、稽古をつけてくれたザ・江戸っ子の師匠の師匠が、キング・オブ・江戸っ子で、
その型を教わりました。
噺をポンポン勢いで展開していき、
会話に接続詞が少なくトントン進むので、
私なんかだとブレーキをかけながらやらないと、どこを喋っているかわからなくなったり会話がループしたりします。
慣れてきて、ブレーキをかけずにできるようになれば良くなるかもしれません。

何かを改善すれば大きく良くなるという噺ではなく、全体を少しずつ良くしていく噺なんだろうなと思います。

◎笠碁
【やんま久次】と【三方一両損】をやると決めていたので、この二つとは違う色の噺として選びました。
あと隅田川花火大会が雨で中止になったら、雨繋がりで【笠碁】はうってつけだなと。

連日の稽古に疲れ果て、現実逃避で『俺の家の話』というドラマをNetflixで全話一気に観ました。
西田敏行さんの演技が圧倒的。
あまりにもすごいので、だいぶ参考にさせていただきました。
めちゃくちゃ可愛いんですよ。

◎やんま久次
緊張しました。
言葉が決まっているし、ゆっくり喋るぶん誤魔化しが効かないという。
詰まったり間違えたりすると空気が壊れる怖さがあります。
なんだか綱渡りをしているような心持ちでした。
色々考えながらやっていたので、もっと噺が腹に入ってからが勝負ですかね。

持っている色んな武器が活かせる噺のような気がしました。
声のデカさとか。

◎たがや
この時点で9時を過ぎていたので、ありがた迷惑なんじゃないかという四席目。
覚えるつもりはなかったんですけど、『初演三席』と銘打って初演を四席やるとカッコいい気がしたんですよね。
できっこないをやらなくちゃ。
あと花火大会の日に【たがや】をやらないでどうすんだって。

死人が出ないバージョンでやってみました。
首が飛んで見物人が洒落で「たーがやー」のが面白いんですが、鮮明に想像すると結構グロい。
初心者や想像力が豊かな人には、最後にワーっと盛り上がったところで花火がドカーンと上がって、群衆が思わず「たーがやー」のほうがいいかなと思いました。
絵が綺麗だし、花火がちゃんと主役になる気がします。
まぁ「こういうのがあってもいいかな」程度に。

そしてこの【たがや】が2023年の黒酒の100席目の高座になります。
私の師匠が年間約500とかなので、それと比べると全然なんですけど、少しでも特別感を感じていただければ嬉しいです。


さて、今回はめちゃくちゃ頑張りました。
四席同時に稽古していると、一席稽古しているうちに一席忘れてしまいそうな不安がずっと付き纏います。
本番二日前からは偏頭痛、本番中には口内炎ができるという。
でもって四席ネタ下ろしすれば、通常のネタ下ろしの解放感の四倍を味わえるのかと思ったらそんなことはない。
自分で勝手にやっといてなんですが、二度とごめんかもしれません。
まあ、こういう熱量や狂気は面白いんですけどね。

だけど今回はネタ下ろしだから大変でしたが、覚えるだけなら一月半で四席はいけますね。
単純計算で一年で三十二席。
大ネタでなければもっと覚えられるはず。
そしてこれを五年続ければ、持ちネタ二百なんてゆうに超えます。
で、二百席覚えちゃうと覚えたい噺も無くなるそうで、そこまで行けば新ネタの稽古はもうしなくてよくなるそう。

5年頑張ってみようかな?

と思いましたが、これは相当暇だったからできたこと。
ずっと暇でいるわけにもいかないです。

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